【下請企業必見】元請と対等に交渉するための契約戦略
下請企業の経営者様、「いつも元請けの言いなりになってしまう」「契約書の内容が一方的で、どうすることもできない」
そんな悩みを抱えていませんか?
かつては、元請けとの関係は「上か下か」という風潮が根強くありました。しかし、近年、状況は変わりつつあります。公正取引委員会による下請法(下請代金支払遅延等防止法)の厳格な運用に加え、働き方改革や建設業法改正によって、下請け企業との健全な関係構築が元請けにも求められる時代になりました。
この流れに乗るには、下請け企業自身が「契約を理解し、交渉する力」を持つことが不可欠です。それさえあれば、元請けと対等な立場でビジネスを進め、会社の未来を大きく変えることができるのです。
本記事では、下請け企業が元請けと対等に交渉するための具体的な「契約戦略」を解説します。
第1章:なぜ、今、契約戦略が必要なのか?
建設業界における元請けと下請けの関係は、長年にわたり「一方的な力関係」になりがちでした。その結果、下請け企業は様々なリスクにさらされてきました。
- 支払い遅延:工事が完了しても、なかなか代金が支払われない。
- 追加工事費の未払い:元請けの指示で追加工事を行っても、費用が支払われない。
- 過度な瑕疵担保責任:本来は元請けが負うべき責任まで下請けに押し付けられる。
このような不公平な取引を防ぐため、国は下請法や建設業法第19条などで、元請けの不当な行為を禁じています。しかし、法律の存在を知っていても、契約内容を深く理解せずにハンコを押してしまうと、後から「こんなはずじゃなかった…」と泣きを見ることになりかねません。
契約戦略を立てることは、これらのリスクから自社を守り、健全な経営を行うための必須のスキルなのです。
第2章:下請契約で「必ず」チェックすべきポイント
契約書は、元請けが一方的に作成することが多いため、元請けに有利な条項が紛れ込んでいるケースが少なくありません。以下のポイントをしっかりチェックし、必要に応じて修正を提案しましょう。
1. 契約金額と支払期日
- 元請けに有利な典型例:「支払いは工事完了後、元請けへの入金が確認できた時点とする」
- 下請けが主張すべき修正案:「工事完了後、下請法の規定に基づき、◯日以内に支払うものとする」
- 下請法では、受領日から60日以内の支払いが義務付けられています。この点を明確に盛り込みましょう。
2. 追加工事や設計変更時の取り決め
- 元請けに有利な典型例:「追加・変更工事は、元請けの書面による指示があった場合にのみ、別途協議の上決定する」
- 下請けが主張すべき修正案:「追加・変更工事が発生した場合は、事前に協議し、費用と工期について合意の上、書面にて合意するものとする。口頭での指示による追加工事は、費用が支払われない可能性があるため、必ず書面での合意を求めましょう。
3. 瑕疵担保責任の範囲
- 元請けに有利な典型例:「本工事に起因する瑕疵は、元請けの工事全体に及ぶものも含め、全て乙(下請け)の責任において補修するものとする」
- 下請けが主張すべき修正案:「本契約の施工範囲に起因する瑕疵についてのみ、その責任を負うものとする」
- 自社の施工範囲を超えた責任まで負う必要はありません。責任範囲を限定することが重要です。
4. 損害賠償条項や違約金の設定
- 元請けに有利な典型例:「乙(下請け)の責に帰すべき事由により、元請けに損害が生じた場合、乙は一切の損害を賠償する」
- 下請けが主張すべき修正案:「損害賠償額の上限を、本契約の請負金額の ◯% までとする」
- 損害賠償額に上限を設定することで、万が一の事態に備えることができます。
5. 契約解除条項
- 元請けに有利な典型例:「元請けは、いつでも本契約を解除できる」
- 下請けが主張すべき修正案:「元請けが本契約を解除する場合は、少なくとも◯日前に書面で通知するものとし、乙(下請け)に生じた損害を賠償する」
- 一方的な契約解除を防ぎ、自社の被害を最小限に抑えましょう。
第3章:交渉を成功させるための実務戦略
契約書のチェックポイントがわかったら、次は実際に交渉を進めるための準備をします。
1. 疑問点は遠慮せず質問する
契約書にわからない点があれば、「なぜ、この条項が必要なのですか?」と、臆することなく質問しましょう。曖昧なまま進めると、後々トラブルの原因になります。
2. 「相場」や「法令」を根拠に修正を提案
交渉では、感情的にならず、客観的な根拠を持って臨むことが重要です。「一般的にはこうなっています」「下請法では◯日以内の支払いが原則です」といったように、「相場」や「法令」を盾に修正を提案しましょう。
3. 全てのやり取りを書面で残す
追加工事の指示や契約内容の変更など、重要なやり取りは必ず書面(メールも可)で残しましょう。口約束は、後から「言った、言わない」のトラブルになりかねません。
4. 公的機関のサポートを活用する
交渉が難航した場合は、一人で悩まず専門家に相談しましょう。
- 弁護士会、行政書士会
- 建設業協会
- 下請かけこみ寺(下請け企業向けの無料相談窓口)こうした機関のサポートを受けることで、交渉を有利に進められる可能性があります。
5. 事前準備を徹底する
交渉を有利に進めるには、事前の準備が鍵となります。
- 見積根拠資料:単価や工数の内訳を明確にし、なぜこの金額なのかを説明できるようにしておく。
- 労務単価の最新データ:国土交通省が発表している最新の労務単価などを参照し、自社の見積もりが適正であることを証明する。
元請に嫌われるのでは?という不安について
「強く交渉したら仕事が減るのでは…」という心配は多くの下請企業が抱えるものです。
しかし、下請法や建設業法は下請を守るために存在しており、正当に主張することは権利の行使にすぎません。むしろ、法律に沿った契約を結ぶことは元請にとっても安心材料となり、結果的に信頼関係を深めることにつながります。大切なのは、冷静に、そして根拠を持って伝えることです。
第4章:交渉で使える!実践フレーズ例
交渉時に具体的な言葉として使えるフレーズをいくつかご紹介します。
- 「下請法の規定では、受領日から60日以内の支払いが原則となっていますので、支払期日を明確に◯月◯日とご記載いただけますか?」
- 「追加工事や設計変更は、都度、費用と工期について事前に協議し、書面にて合意するという取り決めを入れていただければ、安心して工事を進められます」
- 「万が一の際の損害賠償額について、請負金額の◯%までと上限を設けていただくことを提案します」
第5章:交渉力は、下請け企業の成長そのもの
契約交渉力を高めることは、一時的なトラブル回避のためだけではありません。適正な契約を結び、資金繰りを安定させ、利益率を改善することで、会社の経営基盤はより強固になります。
そして、長期的には「選ばれる下請け」になることが重要です。
「技術力」「信頼性」「情報収集力」を高め、元請けにとって「この会社でなければ困る」と言われるような存在を目指しましょう。
まとめ
契約戦略は、下請け企業の生存戦略そのものです。
「法律を盾にする」ことと「信頼関係を築く」ことは、決して矛盾しません。むしろ、互いにフェアな取引をすることで、より強固な信頼関係が生まれます。
契約を理解し、交渉できる下請け企業こそが、元請けにとっても欠かせない存在となり、業界全体の健全な発展に貢献するのです。
皆様の事業がより一層発展することを心から願っています。
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