産廃業は儲けてもいい?法的な位置づけと適正な利益のあり方とは

「産業廃棄物の収集運搬で利益を上げるのって、なんとなく後ろめたい気がする…」
「環境に関わる業種なのに、営利目的でいいの?」
そんな疑問を持たれたことはないでしょうか。

確かに、「廃棄物」という言葉には、公的・非営利的なイメージがつきまとうかもしれません。
しかし実際には、産業廃棄物収集運搬業はれっきとした民間の営利事業であり、法律上も、経営の現場でも、適正な利益の確保が当然に求められています。

本記事では、この業種に対する誤解を解きながら、

  • そもそも廃棄物処理法の目的とは何か
  • なぜ営利性が認められているのか
  • 社会的使命と法令遵守の両立とはどういうことか
  • 実際にどうやって収益を上げるのか
  • 「儲けること」がなぜ社会貢献になるのか

といった点について、行政書士・中小企業診断士の視点から、法律と経営の両面にわたって丁寧に解説していきます。

今まさに産業廃棄物処理業を始めようとしている方も、すでに事業を営んでいる方も、「適正に儲ける」ことの意義と必要性を改めて確認する機会として、ぜひ最後までお読みください。

目次

廃棄物処理法の目的

産業廃棄物処理業は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(いわゆる廃棄物処理法)」に基づき、国や自治体の許可を受けて営む業種です。
まずこの法律の基本的な目的を確認しておきましょう。

廃棄物処理法第1条には、次のように記されています。

この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

つまりこの法律は、「営利か非営利か」ではなく、廃棄物が社会や環境に悪影響を及ぼさないよう、きちんと処理される体制を整えることを重視しています。

この目的に照らして、産業廃棄物の収集運搬を行う事業者には、適正・確実・継続的な処理能力が求められるということになります。


廃棄物処理業はそもそも営利事業

一部には「環境に関わる業種だから儲けを追求すべきではないのでは?」という誤解もありますが、産業廃棄物処理業は民間事業者が運営する営利事業です。

廃棄物処理法においても、営利性そのものを制限する条文はなく、正当な許可を取得し、法令を遵守している限り、利益を上げることは当然に認められています。

むしろ、健全な経営ができなければ、安全な運搬体制の維持や、従業員の処遇改善、設備更新などが難しくなります。
「きちんと儲けること」は、適正処理を担う体制を支える土台であり、社会的にも必要とされる姿勢なのです。


静脈産業としての社会的使命

産業廃棄物処理業は、経済活動によって生じた不要物や廃棄物を回収し、再資源化や安全な最終処分へとつなげる「静脈産業」と呼ばれる分野に位置づけられます。

これは、物や資源を「生産・消費」する流れ(=動脈産業)に対し、「回収・再利用・廃棄」を担う産業であるという意味です。

この静脈産業としての使命には、次のようなものがあります:

  • 地域の衛生環境・景観の保全
  • 資源循環型社会の形成への貢献
  • 災害時や大規模事業における処理インフラの確保

収集運搬業者は、廃棄物の適正処理の「最初の一手」として、全体の処理ルートの信頼性を支える存在です。

このような社会的使命を果たすには、事業を継続できるだけの収益性・財務的安定性が不可欠だということも、改めて認識すべきでしょう。


事業の持続性を測る「経理的基礎」

実際に、産業廃棄物処理業の許可申請・更新においては、「経理的基礎を有すること」が重要な審査項目とされています。

この要件は、環境省の通知「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(令和2年 環廃産発第2003301号)」に明記されており、次のような基準で審査されます。

法人の場合の主な確認事項:

  • 貸借対照表、損益計算書、個別注記表等の財務諸表
  • 税務申告書・納税証明書
  • 直近の決算で利益が出ていることまたは自己資本比率が10%以上であること

経理的基礎が求められる理由:

  1. 資金難による不法投棄などを未然に防ぐため
  2. 継続的に適正処理を担える企業体力があるか判断するため
  3. 真面目に経営している事業者との公正な競争環境を守るため

許可を得て継続的に事業を行うには、「利益を出せる体制」=「社会的な信頼」と見なされるのです。


収集運搬業で収益を上げるには

産業廃棄物収集運搬業でどのように収益を確保していくか。これは地域や顧客属性によって異なりますが、代表的な収益モデルは以下の通りです。

モデル特徴
定期契約型排出事業者(工場・建設会社等)と月額契約し、安定収入を確保
スポット対応型解体工事や大型案件などの単発依頼で高単価
特化型建設系、医療系など専門領域に絞って高付加価値を提供
下請け型他の許可業者や元請けとの連携で安定取引を実現

さらに、ルート最適化・積載効率の改善・多能工化などで利益率を高める工夫も不可欠です。

そして何より重要なのは、利益を確保することで:

  • 従業員の給与や福利厚生を改善し
  • 安全な車両や設備に投資し
  • 教育・研修・人材育成に力を入れることが可能になる

という点です。利益は経営者だけでなく、現場で働く従業員のためにも必要不可欠なものなのです。経営者が儲けを自らの私腹を肥やすだけに使うのではなく、持続的な事業のために投資をすることが望ましいのです。


法令違反や欠格要件に抵触しない

一方で、いくら収益を上げていたとしても、法令違反や欠格要件に該当してしまえば、許可は更新されず、事業継続も困難になります。

欠格要件の主な例:

  • 無許可営業や不法投棄などによる処分歴(過去5年)
  • 禁錮刑以上の刑に処されたことがある
  • 暴力団関係者が経営に関与している
  • 法人が破産して復権していない
  • 名義貸し(他人に許可を貸す)をしている

また、マニフェストの未交付・虚偽記載、契約書不備、積替え保管違反なども、行政処分の対象となりえます。

儲け方が「ずるいやり方」「違法な手段」である場合、いずれは許可を失い、業界から退場せざるを得ません。
“正しく儲ける”ことが、何よりも重要です。


「適正に儲ける」ことが、結果的に社会貢献となる

収集運搬業者が法令を守りつつ、安定して利益をあげ、従業員にも還元し、地域の環境を守っていく
このような経営こそが、持続可能な産業のあり方であり、社会的に強く求められている姿です。

儲けることは悪ではありません。
むしろ、「適正に儲けること」が、結果的に:

  • 違法処理や不法投棄の防止
  • 従業員の生活安定・安全確保
  • 行政や取引先との信頼関係の構築
  • 地域や環境への持続的な貢献

につながります。


最後に

産業廃棄物収集運搬業は、地味ながらも社会の基盤を支える極めて重要な事業です。
それゆえに、法令の理解と、現場経営のバランス感覚が求められます。

「儲けることは社会のため」――そう言える企業こそが、これからの時代に選ばれていく存在です。

許可取得や更新、経理的基礎の整備についてお困りの方は、ぜひ行政書士までご相談ください。
適正な手続きと、持続可能な事業運営のサポートをいたします。

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