中小建設業が経審でX1点を上げることを優先すべき?

目次

はじめに

建設業を営んでいると、「経審(経営事項審査)の点数をもっと上げたい」という場面が必ず出てきます。
特に「X1(完成工事高)」は、総合評定値Pに占める割合が約25%もある大きな項目です。
「じゃあ、売上を伸ばせば一番早く点数が上がるのでは?」と思う方も多いでしょう。

しかし、実はX1は売上がある程度まで行くと、同じ売上増でも得られる点数が少しずつ減っていく仕組みになっています。
そして、売上を無理に増やそうとすると、粗利率が下がったり資金繰りが悪化したりするリスクもあります。

この記事では、

  • X1点の仕組みと「伸びが鈍る理由」
  • どの売上規模から伸びが鈍り始めるのか
  • 経審対策の優先順位の付け方
  • 実際に取り組みやすい改善策

を解説します。
「ウチはまず何からやればいいのか?」が分かる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。


1. X1(完成工事高)とは?なぜ大事なのか?

経審では、会社の実力を数値化して評価します。
その中でもX1は「年間の完成工事高(売上高のようなもの)」を基に点数化したものです。

P(総合評定値)の計算式はざっくりこうです

P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

つまり、X1はP全体の25%を占めます。これはかなり大きな割合です。
そのため、売上を増やしてX1を伸ばせば、Pも大きく上げられる可能性があります。


2. でもX1は「逓減」する

X1の点数は、売上を1円でも増やせば同じだけ伸びる…という単純な仕組みではありません。
実際は「売上の金額帯(区分)」ごとに計算式が変わり、帯が上がるほど1円あたりの点数の伸びが小さくなるように設計されています。

これを「逓減(ていげん)」といいます。

たとえば、ある金額帯では「売上1,000万円増で+11点」だったのが、帯が上がると「1,000万円で+9.5点」に下がる…といった具合です。


3. 伸びが鈍くなるのはどのあたりから?

目安としては、年間平均完成工事高が1億円を超えたあたりから、伸び率が少し下がり始めます。

具体例(2年または3年の平均完成工事高ベース):

  • 0.8〜1.0億:+約11点(1,000万円あたり)
  • 1.0〜1.2億:+約9.5点
  • 1.5〜2.0億:+約6.8点
  • 2.0〜2.5億:+約5.6点
  • 2.5〜3.0億:+約4.8点
  • 3.0〜4.0億:+約4.2点
  • 4.0〜5.0億:+約3.4点
  • 5.0〜6.0億:+約2.5点
  • 6.0〜8.0億:+約1.25点(←ここでほぼ半減)

つまり、6億円を超えると、1,000万円売上を増やしても1点ちょっとしか伸びない計算です。
このあたりまで来ると、X1で大きくPを稼ぐのはかなり大変になります。


4. 経審対策は「優先順位」が命

中小の建設業の場合、無理に売上を増やすよりも、コストが低く、確実に点を積める項目から手を付けるのが鉄則です。

優先順位の例

  1. W点(社会性など)を先に固める
    • 建退共への加入
    • 退職金制度や企業年金
    • 法定外労災保険
    • 防災協定
    • 建設機械の保有(リースでも条件を満たせばOK)
    • ISOなどの認証取得
      これらは、1項目で10点以上の加点になることが多く、P全体にも15%反映されます。
  2. Y点(経営状況)の改善
    • 純支払利息比率を改善(高金利借入の借り換え、不要な借入の返済)
    • 粗利率の改善(高粗利工種を選ぶ、原価管理の徹底)
  3. X1は計画的に
    • 2年平均と3年平均の有利な方を選ぶ
    • 工種ごとの集計ミスを防ぐ
    • 無理のない受注計画で売上を増やす

5. X1を効率的に伸ばす実務ポイント

X1は短期的に大きく動かすのが難しいですが、ちょっとした工夫で点を取りこぼさないようにできます。

① 2年平均か3年平均かを試算

経審では、X1は「直近2年」または「直近3年」の平均完成工事高のどちらか有利な方を選べます。
同時にZ(元請完成工事高)も同じ年数で計算されるため、両方を試算して判断します。

② 工種別の計上漏れ防止

経審は業種ごとにX1を計算します。
請求書や契約書の記載ミスで別の工種に振られてしまうと、本来のX1が下がることがあります。

③ 引渡し時期の管理

売上の計上時期は会計基準や契約内容に従いますが、検収の遅れや書類不足で次年度に回ってしまうと点が下がることがあります。
事前に元請けと引渡し時期を調整することも有効です(もちろん恣意的操作はNG)。


6. 「うちはX1を伸ばすべき?」の判断基準

次の条件に当てはまるなら、X1を重点的に伸ばすのもアリです。

  • 目標ランクまであと数十点で、試算するとX1増で届く
  • 2年/3年の切り替えで有利になる見込みがある
  • W点・Y点の改善余地が少ない
  • 無理なく売上を増やせる受注計画がある

逆に、これらに当てはまらない場合は、まずW点やY点を強化した方が効率的です。


7. 優先的にやるべき改善策まとめ

  • W点強化:建退共・退職金制度・法定外労災・防災協定・建機保有・ISO
  • Y点改善:借入の見直し、高粗利工種への集中、原価管理
  • X1底上げ:2年/3年の有利選択、計上ミス防止、引渡し時期の管理

まとめ

X1は経審の中でも大きな割合を占めますが、売上が伸びれば伸びるほど、1円あたりの点数増加は少なくなります。特に1億円を超えるあたりから逓減が始まり、6億円を超えるとほぼ伸びは止まります。

中小の建設業が効率よくPを伸ばすには、まずW点とY点の改善を優先し、X1は計画的に伸ばすのが基本です。無理な受注や値引きで売上を増やすのは、資金繰りや利益率を悪化させるリスクがあります。

経審対策は「やみくもに売上を伸ばす」のではなく、
「低コストで確実に積める項目から」→「長期的な売上増」の順で進めるのが鉄則です。


もし「うちはどこから手を付ければいいのか分からない」という場合は、
直近2〜3期の完成工事高や経営状況をもとに、
最小コストで最大の点数アップができる優先順位表を作ることができます。

その結果、「今期はX1よりW点強化」「来期はY点改善」など、
迷わず経審対策に取り組めるようになります。

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