個人事業主の建設業許可は引き継げる?事業承継にかかる認可申請とは
はじめに:建設業許可は「引き継げない」は本当か?
「父の建設業を継ぎたい。でも許可はどうなる?」
こうした不安を抱く30〜50代の後継者の方は多いのではないでしょうか。 建設業許可は“個人”に対して与えられるため、原則として別人が引き継ぐことはできません。
しかし、一定の条件を満たせば「事業承継にかかる認可申請」を使って許可を引き継ぐことが可能です。 この記事では、個人事業主でも利用できる承継認可制度について、その仕組み、条件、メリット、そして重大な注意点まで詳しく解説します。
よくある質問:Q&A形式でざっくり理解!
Q:親が持っていた建設業許可は、子に引き継げますか?
A:はい。事業の継続性や要件を満たしていれば、「事業承継にかかる認可申請」により引き継ぎが可能です。
Q:青色申告専従者だったら経営経験がなくても許可を引き継げますか?
A:6年以上の実績があり、実際に経営業務を担っていた場合は「経営業務管理責任者(経管)」として認定される可能性があります。
事業承継にかかる認可申請とは?
令和2年に改正された建設業法第17条の2に基づき、相続や事業譲渡などにより建設業の許可を別の者に引き継ぐことを認める制度です。
法人間の合併だけでなく、個人事業主から個人事業主(たとえば父から子)への承継でも、実質的な事業継続が認められる場合には承継が可能となります。
想定される適用ケース
- 親の個人事業を子が引き継ぐ
- 営業所・機材・従業員・顧客もそのまま継続
- 後継者がすでに許可事業に必要な要件を満たす
承継認可の要件
(1) 実質的な事業の継続性
- 営業場所、設備、人員、契約先がそのまま引き継がれている
- 形式ではなく、実態として「同一の事業体」と評価されること
(2) 許可要件の充足(経営業務管理責任者・専任技術者)
後継者が新たに許可を受けるわけではなく、許可を承継する以上、同様の要件を満たしている必要があります。
特に重要なのは「経営業務の管理責任者(経管)」の要件
- 一般的には建設業の経営経験5年以上が必要
- ただし、青色申告専従者として6年以上従事していた場合、準ずる立場として認定される可能性あり
(3) 適切な承継関係を証明できること
- 生前譲渡:事業譲渡契約書、関係書類一式
- 相続:戸籍、遺産分割協議書など
成功と失敗、2つのケーススタディ
🔵 成功事例:親子間で承継認可がスムーズに通ったケース
茨城県のAさんは、父親の建設業を引き継ぐにあたり、青色申告専従者として7年間の実績がありました。事業所・設備・顧客も継続しており、事前相談のうえで譲渡契約と認可申請を準備。無事認可が下り、許可番号と実績を引き継いで営業を継続できました。
🔴 失敗事例:廃業を先に出してしまい無許可営業と判断されたケース
Bさんは親の廃業届を先に提出し、建設業許可がないまま自分の名義で契約を締結。承継認可の申請中だったものの、工事受注の時点では許可がなかったため、無許可営業として指導を受けてしまいました。
許可番号・有効期間はどうなる?
✅ 許可番号は引き継がれる!
承継認可が認められた場合、許可番号は旧事業者のものをそのまま使用できます。
これにより得られるメリット:
- 元請や取引先との信用が維持される
- 履歴・入札実績が継続される
- 名刺やWebサイトの変更コストも抑えられる
✅ 有効期間も“新たに5年間+1日”スタート
国交省関東地方整備局の運用手引きでは、「承継の日を含む翌日から5年間」とされており、実質的に5年+1日有効です。
承継認可と新規取得の違いを比較
| 項目 | 承継認可制度 | 親が廃業→子が新規取得 |
|---|---|---|
| 許可の連続性 | ◎ 実質的に継続 | △ 空白が生じやすい |
| 有効期間 | ◎ 新たに5年+1日 | ◎ 新たに5年間 |
| 許可番号 | ◎ 継続使用可能 | △ 新番号となる |
| 経管要件 | ◎ 専従者実績で通る可能性あり | △ 経営経験なければ不可 |
| 信用・実績の継続 | ◎ 過去データ活用可能 | △ ゼロスタートになる場合も |
| コスト・手間 | ○ 書類多いが実利あり | △ 要件準備が大変 |
最大の注意点:認可が下りるまで「承継」してはいけない
❌ 認可前に事業譲渡・廃業・名義変更を行うのはNG!
承継認可制度では、正式な認可通知があるまでは、承継後の事業者は建設業者として営業できません。
認可前に以下の行為をしてしまうと法令違反のリスク:
- 親が廃業届を出す
- 子が名義で営業・契約を始める
- 工事名義を先に変えてしまう
これらは「無許可営業」とされ、行政処分の対象になります。
✅ 対策として重要なこと:
- 親が廃業する前に承継認可申請を済ませる
- 事業譲渡契約書には「承継認可取得を条件とする旨」の特約(停止条件)を明記
- 認可が下りるまでは旧事業者名義で営業を継続する
※ これらは令和2年10月1日施行の建設業法改正後の明確な規定事項です。
まとめ:事業継続を途切れさせない“承継”のために
親の建設業を子が継ぐ場合、条件さえ整えば「承継認可制度」を活用して、許可番号・信用・営業の継続性を維持したまま事業を引き継ぐことが可能です。
- 専従者としての記録がある場合、経管要件を満たせる可能性大(都道府県の手引きで明記)
- 許可番号・実績を維持しやすいのが承継認可の最大の魅力(整備局資料に明記)
- 認可前の営業には厳重な注意が必要(建設業法上の禁止行為)
✅ ご自身のケースで承継認可が使えるかどうか、不安な方は行政書士へ早めにご相談ください。
参考資料・出典リンク
- 国土交通省関東地方整備局「建設業許可の手引き」https://www.ktr.mlit.go.jp/
- 茨城県「建設業許可申請」 https://kennsetugyou-ibaraki.jp/archive-permit/
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