建設業許可は再取得できる?過去に許可を取り消された方が再チャレンジする際のポイント
建設業を営む経営者の皆様にとって、建設業許可は事業の根幹を支える大切なものです。しかし、何らかの理由で一度この許可を取り消されてしまった場合、「もう一度許可を取ることはできないのでは…」と不安に思われる方も少なくありません。
結論から申し上げると、建設業許可の再取得は可能です。
ただし、許可の取り消しに至った経緯や理由によって、再チャレンジまでの期間や、許可申請の際に求められる対応が大きく異なります。この記事では、過去に許可を取り消された方が、再び建設業許可を取得するための道筋を、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
1. 建設業許可が取り消される主な理由
まずは、なぜ建設業許可が取り消されるのか、その主な理由を再確認しましょう。ご自身のケースと照らし合わせ、何が問題だったのかを正確に把握することが、再取得への第一歩となります。
建設業法では、以下のような場合に許可の取り消し事由が定められています。
欠格要件に該当した場合
- 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者になった場合
- 不正の手段により許可を取得した場合
- 許可申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載をした場合
- 法人の役員や個人事業主、政令で定める使用人等が、特定の刑罰(禁錮以上の刑、建設業法違反など)に処せられ、その執行が終わってから5年を経過しない場合
財産的基礎を欠くに至った場合
- 特定建設業許可の場合、資本金が2,000万円未満、かつ自己資本が4,000万円未満となった場合など
不正行為や不誠実な行為があった場合
- 工事の施工において、著しく不誠実な行為や、不正行為があった場合
- 公共工事を受注する際、談合などの不正行為を行った場合
営業所の廃止や事業の廃止
- 営業所がすべて廃止されたにもかかわらず、廃業届を提出しなかった場合
- 事業を廃止したにもかかわらず、廃業届を提出しなかった場合
その他
- 許可を受けた建設業の業種を1年以上営業しなかった場合
- 許可更新申請を怠った場合
上記はあくまで一例ですが、取り消しの理由が「欠格要件への該当」や「不正行為」であった場合、再取得には特に慎重な対応が求められます。
2. 再チャレンジまでの期間はどれくらい?
許可を取り消された後、すぐに再申請できるわけではありません。建設業法では、許可の取り消し事由に応じて、一定期間の再申請制限が設けられています。
2-1. 不正行為による取り消しの場合
不正の手段により許可を取得した場合や、不正・不誠実な行為によって許可を取り消された場合、取り消し処分の日から5年間は、再び建設業許可を取得することができません。
この5年間という期間は、建設業法における欠格要件の一つです。つまり、この期間中は許可を申請する資格そのものがありません。そのため、この間に再申請を行っても、必ず不許可となります。
2-2. 欠格要件該当による取り消しの場合
不正行為以外の理由で欠格要件に該当し、許可を取り消された場合も、同様に5年間の再申請制限があります。
例えば、法人の役員が特定の刑罰に処せられ、その執行が終わってから5年を経過しない場合などがこれにあたります。この場合、5年が経過すれば欠格要件から外れるため、再申請が可能となります。
2-3. 更新申請漏れや廃業届未提出などによる取り消しの場合
比較的軽微な理由、たとえば、許可更新申請をうっかり忘れてしまい、許可が失効してしまった場合や、営業所を廃止したにもかかわらず廃業届を提出しなかった場合などは、5年間の制限期間は適用されません。
この場合、取り消し処分を受けても、すぐにでも再申請の手続きを開始できます。ただし、改めて許可申請に必要な書類を全て揃え、新規申請として手続きを進める必要があります。
3. 再取得に向けた具体的な3つのポイント
では、実際に再取得を目指す場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。ここでは、特に重要な3つのポイントを解説します。
ポイント1:取り消しの原因を徹底的に分析し、改善策を講じる
これが最も重要です。単に期間が経過したからといって、同じ体制で再申請しても、再度同じ問題を引き起こす可能性が高いでしょう。
- なぜ許可が取り消されたのか?
- 不正行為があった場合は、その原因を特定し、再発防止策を具体的に検討する必要があります。
- 財産的基礎を欠いた場合は、自己資本を増やすための具体的な計画を立てる必要があります。
- 管理体制の不備が原因であれば、新たな体制を構築し、それを証明できる資料を準備する必要があります。
申請時には、この反省と改善策を具体的に説明できるかどうかが問われることがあります。特に、不正行為による取り消しの場合、審査機関は「本当に反省し、改善したのか?」という点を厳しくチェックします。
(具体例)
過去に下請け業者への代金不払いによる不正行為で許可を取り消されたとします。再申請にあたっては、以下の改善策を講じることが考えられます。
- 下請け業者との契約書に、支払い期日を明確に記載する。
- 支払い管理を行う担当者を専任で設置し、チェック体制を強化する。
- 支払いが遅延しそうになった際の、社内報告・相談体制を構築する。
- これらの改善策を明記した「再発防止計画書」を作成する。
ポイント2:欠格要件に該当しないことを確実に証明する
再申請を行う際には、ご自身や役員、政令で定める使用人等が、再び欠格要件に該当していないことを証明する必要があります。
- 刑罰による欠格の場合:
- 執行が終わってから5年が経過していることを確認します。
- 具体的には、刑の執行終了を証明する書類などを準備することになります。
- 不正行為による欠格の場合:
- 取り消し処分の日から5年が経過していることを確認します。
- この期間は、行政庁の処分記録によって確認されます。
- 破産による欠格の場合:
- 破産手続きが完了し、復権していることを証明する書類(復権許可の決定書など)が必要です。
これらの確認を怠ると、申請そのものが無駄になってしまいます。
ポイント3:新たな体制で「新規」申請に臨む
許可の再取得は、更新手続きではありません。過去の許可が復活するわけではなく、あくまでも新規に許可を取り直すことになります。
そのため、新規申請と同様に、以下の要件を改めて全て満たしている必要があります。
- 経営業務の管理責任者(経管)
- 適切な実務経験を有する者がいるか
- 専任技術者
- 各営業所に適切な資格者や実務経験を有する者がいるか
- 財産的基礎
- 一般建設業許可なら自己資本500万円以上、特定建設業許可なら所定の要件を満たしているか
- 誠実性
- 社会保険加入
特に、過去に許可を取り消された原因が、これらの要件を満たしていなかったことにある場合は、再申請までに新たな人材を確保したり、資本金を増強したりといった対策が不可欠です。
4. 許可再取得までの流れと行政書士の役割
許可再取得までの一般的な流れは、以下の通りです。
- 取り消し原因の把握と改善策の検討
- 再申請制限期間の確認
- 新たな許可要件の確認と準備
- 経管、専技、財産的基礎、誠実性、社会保険など
- 必要書類の収集・作成
- 都道府県知事または国土交通大臣へ許可申請
- 審査
- 許可
このプロセスは、新規申請以上に複雑で、慎重な対応が求められます。特に、取り消しの原因が不正行為や欠格要件への該当であった場合、審査は非常に厳しくなります。
このような時こそ、専門家である行政書士の力を借りるべきです。
行政書士ができること
- 取り消し原因の正確な分析:
- 過去の処分内容をヒアリングし、今後の対策を一緒に考えます。
- 再申請制限期間の確認:
- 申請が可能な時期を正確に把握します。
- 申請書類の作成・収集代行:
- 新規申請と同様、膨大な書類が必要となります。正確かつ迅速な準備をサポートします。
- 行政庁との事前相談・調整:
- 取り消しの経緯を説明し、今後の事業計画や改善策を行政庁に事前に相談することで、スムーズな審査を目指します。
- 反省文や再発防止計画書の作成サポート:
- 審査官に納得してもらえるような、具体的で説得力のある文書作成を支援します。
一度許可を取り消されてしまった事業者は、再び同じ過ちを犯さないよう、より厳格なコンプライアンス体制を求められます。行政書士は、単に書類を作成するだけでなく、その体制づくりをサポートし、事業の健全な再建を支援するパートナーでもあります。
まとめ
建設業許可は、一度失っても再取得は可能です。しかし、そのためには、過去の失敗と真摯に向き合い、改善策を具体的に実行することが不可欠です。
再チャレンジまでの期間や必要な手続きは、取り消しの原因によって異なります。ご自身の状況を正確に把握し、必要な要件を一つひとつ着実にクリアしていくことが、再取得成功への唯一の道です。
過去に許可を取り消された経験は、決してマイナスばかりではありません。この経験を活かし、より健全で、より強固な経営体制を築く良い機会と捉えることもできます。
「もう一度、許可を取りたい!」そうお考えの皆様、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。皆様の再チャレンジを、全力でサポートさせていただきます。
許可取消後の再申請、よくあるご質問(FAQ)
Q1. 許可取り消しから5年が経っていれば、必ず再取得できますか?
A1. 5年が経過していれば、不正行為による欠格要件からは外れますので、再申請は可能です。しかし、再取得するためには、新規申請と同じく、経営業務の管理責任者や専任技術者、財産的基礎などの許可要件を全て満たす必要があります。
Q2. 役員が欠格要件に該当したのですが、その役員を退任させればすぐに申請できますか?
A2. はい、可能です。欠格要件は、法人そのものではなく、その役員や個人事業主、政令で定める使用人等が該当するかどうかが問われます。該当する役員が既に退任しており、現在の役員に欠格要件に該当する者がいなければ、すぐにでも申請は可能です。ただし、退任した役員が形式的な退任ではなく、実質的な経営への関与がないことを証明する必要があります。
Q3. 行政庁から指導を受けていたのですが、許可取り消しになってしまいました。再申請は可能ですか?
A3. はい、再申請は可能です。行政庁からの指導は、許可取り消しという最終的な行政処分に至る前の段階です。指導内容を真摯に受け止め、改善策を講じれば、再申請の際にその努力をアピールすることができます。ただし、指導を無視し、是正措置を取らなかったことが取り消しの原因である場合、再申請の審査はより厳しくなる可能性があります。
建設業許可再取得の成功事例
ここでは、過去に許可を取り消されたものの、見事に建設業許可の再取得を果たされた企業の事例をご紹介します。
【事例1】
- 企業名:A社(一般建設業・土木工事業)
- 取り消し原因:経営業務の管理責任者(経管)の欠如
- もともとの経管が病気で入院し、経営業務に従事できなくなったにもかかわらず、代替者を置かずに営業を継続してしまい、許可が取り消されました。
- 再取得までの道のり:
- ご相談:許可取り消しから半年後にご相談にいらっしゃいました。
- 新経管の選定:現社長の奥様が、経管としての要件を満たす実務経験をお持ちでした。経歴書を詳細に作成し、経管としての適格性を証明しました。
- 書類作成:過去の許可取り消しに至った経緯を詳細に記述し、再発防止策として、経管の業務を分担し、複数名でサポートする体制を構築したことをアピールしました。
- 申請:取り消し処分から8ヶ月後に新規申請を行い、無事に許可を再取得しました。
【事例2】
- 企業名:B社(特定建設業・建築工事業)
- 取り消し原因:財産的基礎の欠如
- 急な工事受注減により、自己資本が特定建設業許可の要件である4,000万円を下回ってしまい、許可が取り消されました。
- 再取得までの道のり:
- ご相談:許可取り消しから1年後にご相談にいらっしゃいました。
- 資本増強計画:融資を受ける、または増資を行うことで、自己資本を増やす具体的な計画を行政書士と一緒に策定しました。
- 実行:計画に基づき、親会社からの増資を実施し、自己資本を4,000万円以上に回復させました。
- 書類作成:財務諸表を作成し、資本増強の経緯と、今後の財務管理体制を明確に示しました。
- 申請:資本増強完了後、すぐに新規申請を行い、無事に特定建設業許可を再取得しました。
いかがでしたでしょうか。建設業許可の再取得は、決して簡単な道のりではありません。しかし、正しい知識と、専門家のサポートがあれば、再び許可を取得し、事業を立て直すことは十分に可能です。
もし、過去に許可を取り消されてお悩みでしたら、お一人で抱え込まず、ぜひ一度当事務所にご相談ください。皆様の再出発を心より応援しております。
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