主任技術者・監理技術者・営業所等技術者とは?

配置技術者制度の役割と兼任ルールをやさしく解説します

建設業許可の取得や更新において、必ず登場するのが「配置技術者」という制度です。具体的には、許可業者は「主任技術者」「監理技術者」「営業所技術者(旧・専任技術者)」という3種類の技術者を、それぞれ所定の場所に配置しなければならないと法律で定められています。

こうした技術者の制度は、品質の確保や安全な施工のために必要な仕組みですが、制度の名前や配置場所、さらには資格要件や兼任の可否などが複雑で、特に中小企業や個人事業主にとっては非常に分かりづらくなっています。

この記事では、それぞれの技術者が「どこで・何をして・どういうときに兼任できるのか」をわかりやすく解説し、あわせて2024年から始まった兼任特例にも対応した内容でお伝えします。


目次

技術者制度は「営業所」と「現場」の2段構え

まず知っておきたいのは、建設業における技術者配置は「営業所」と「現場」の2つのレベルで求められているということです。

営業所ごとには、常勤の「営業所技術者(旧・専任技術者)」を置かなければなりません。この人は、営業所での契約や施工体制の管理、許可や経審のための資料整備を担います。技術力のある会社であることを「書類」で裏づける役目といってよいでしょう。

一方、実際の工事現場には「主任技術者」または「監理技術者」が配置されます。これらは品質や工程、安全管理の実務を直接担う“現場の責任者”です。

つまり、配置技術者制度は「営業所で体制を整える人」と「現場で工事を指揮する人」をきちんと分けて配置させることで、会社全体としての施工能力を担保する仕組みになっているのです。

技術者区分配置場所主な役割
主任技術者(主技)すべての工事現場施工計画の策定、品質・工程・安全の管理、現場作業員への指導
監理技術者(監技)元請の高額工事現場複数下請けの統括管理、発注者との技術調整
営業所技術者(旧・専任技術者)建設業許可を受けた営業所契約前後の技術審査、施工体制台帳や経審資料の作成管理

主任技術者は、現場を守る“番頭”のような存在

主任技術者は、すべての工事現場に配置しなければならない存在です。元請であっても下請であっても関係ありません。施工計画を立て、工事の進行を管理し、作業員に指示を出すなど、現場の“番頭”的なポジションです。

建設業法では、請負金額が4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)となる重要な建設工事では、元請・下請を問わず、工事現場ごとに主任技術者(または監理技術者)を専任で配置する必要があります。専任というのは、基本的に他の現場を兼ね持たず、その現場に常時関与している状態を指します。

主任技術者になるためには、該当工事区分に応じた施工管理技士(たとえば2級施工管理技士)や、建築士、電気工事士などの国家資格を持っていることが基本となります。資格がない場合でも、一定の実務経験を積めば認められる場合もあります。


監理技術者は、複数の下請を束ねる“現場監督の上司”

監理技術者は、元請業者が下請を使って施工する高額工事でのみ必要となるポジションです。たとえば、特定建設業許可を取得していて、下下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)となる元請工事では、主任技術者ではなく監理技術者の配置が必要です。

監理技術者は、複数の下請業者の工事がスムーズに連携するように全体を統括し、設計変更があれば発注者との調整を行います。つまり、現場で直接手を動かすというよりは、全体の指揮・マネジメントを担う立場です。

このため、監理技術者になるには1級施工管理技士や技術士といった上位資格が必要です。さらに、監理技術者講習を受け、資格者証を取得していなければなりません。


営業所技術者は、契約と許可を支える“裏方のキーマン”

営業所技術者は、建設業許可を取得するために必ず必要となる人材で、営業所に常駐していることが求められます。

この人の主な役割は、営業所が契約する案件の技術的な妥当性を判断したり、施工体制の整備を助言したりすることです。加えて、許可申請や経営事項審査(経審)を受ける際に必要となる資料――たとえば技術職員一覧や施工実績の証明資料などを整える役目もあります。

特に中小建設業者では、営業所技術者と主任技術者・監理技術者を社長や現場担当者が兼ねるケースが非常に多く、現実には一人で何役も担っているというのが実情です。そうした事業者にとって、今後ご紹介する「兼任特例」の活用は非常に現実的な選択肢となるでしょう。


2024年から始まった「兼任特例」とは?

2024年12月から、主任技術者や監理技術者については、一定の条件を満たせば2つの現場を兼任できるようになりました。これまでは、特定金額以上の工事では専任が原則でしたが、人手不足やICTの進展を背景に制度が緩和されたのです。

ただし、兼任が許されるためにはいくつかの要件をすべて満たしている必要があります。たとえば、工事金額が1億円未満(建築一式では2億円未満)であること、現場同士の移動が片道2時間以内であること、実務経験のある連絡員を現場に配置していること、さらにカメラやCCUSなどで現場状況が遠隔で把握できることなどが求められます。

こうした要件は、現実的に満たすのがやや難しいこともありますが、逆にいえば体制さえ整えば、1人の技術者が2現場を担当できるというのは大きなメリットでもあります。


営業所技術者でも、特定条件下で現場と兼任できる

2024年の改正では、営業所技術者も特定の条件を満たせば、自らの営業所で契約した工事について、主任技術者や監理技術者を兼務できるようになりました。

ただしこの場合、兼任できる現場は1つだけであり、現場までの移動時間が営業所から片道2時間以内である必要があります。また、こちらも映像機器や通信手段、連絡員の配置といったICTや人員体制が整っていることが前提になります。

中小企業や個人事業主の場合、営業所と現場が実質的に一体であるケースも多く、実務的にはこの特例を活用することで許可維持や現場管理を効率化できる可能性があります。


おわりに|人材不足時代に、制度を味方につける

主任技術者、監理技術者、営業所技術者。それぞれの役割を一言でまとめるなら、「現場を守る人」「全体を統括する人」「契約と体制を整える人」です。

2024年以降の制度改正により、技術者の兼任が一定条件のもとで可能になったことで、特に人手の少ない中小事業者にとっては新たな選択肢が広がりました。ただし、制度を活用するには正確な理解と書類の整備が不可欠です。

「どの現場に誰を置くか」「どこまで兼任できるか」を一度棚卸しし、計画的な人員配置とICT環境の整備を進めていくことが、将来の施工体制の安定につながるはずです。

主任技術者と監理技術者の配置については下記の記事も参照ください。

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