建設工事の技術者配置ルールを徹底解説|茨城県版

目次

はじめに

「主任技術者や監理技術者を置けと言われても、正直どの資格が必要なのかよくわからない」
「現場代理人と主任技術者は同じ人でいいのか?営業所技術者との違いは?」

建設業の許可や入札の場面で、必ず出てくるのが「技術者の配置ルール」です。ですが、手引や法令の文章は専門用語が多く、特に中小規模の建設業者や一人親方さんには難解に感じられることが多いのも事実です。

この記事では、令和7年2月に改正された茨城県土木部「建設工事における技術者等の適正配置について」をベースに、建設業者が押さえるべきポイントを整理しました。

難しい部分も丁寧に説明するので、この記事を読み終える頃には「自分の会社や現場にどんな人材が必要か」がイメージできるはずです。


1. 技術者配置の基本ルール

建設業法では、営業所や工事現場に一定の条件を満たす技術者を配置する義務があります。これは単なる形式的な規制ではなく、工事トラブルを防ぎ、契約を適切に履行するための仕組みです。

基本の考え方は次のとおりです。

  • 営業所には「営業所技術者」を置く
  • 工事現場には「主任技術者」または「監理技術者」を置く
  • 場合によって「現場代理人」や「専門技術者」も配置する
  • 大規模工事や公共性の高い工事では「専任」が必要

このルールを理解していないと、入札参加停止や許可更新不可といったリスクに直結します。


2. 営業所に置くべき人

(1) 常勤役員等

会社の経営業務を統括する責任者です。建設業許可では「経営業務管理責任者」とも呼ばれます。
常勤である必要があり、日常的に経営業務に従事していることが条件です。

(2) 常勤役員を補佐する者

役員が要件を満たさない場合には、直接補佐する人を置かなければなりません。

(3) 営業所技術者

営業所ごとに専任配置が必要です。建設工事の契約を適正に結び、履行を確保するための役割を担います。
勤務時間中は営業所に常勤することが必要で、事務所の外に出て現場を兼務することは原則できません。

👉 ポイント
営業所技術者は「現場担当」ではなく「営業所の管理担当」です。


3. 工事現場に置くべき人(資格要件も解説)

(1) 主任技術者

すべての工事現場で必置。元請・下請を問わず、施工の技術的な管理を行います。

資格要件

  • 二級施工管理技士以上(土木、建築、管、電気など工種に応じた資格)
  • 登録基幹技能者(とび、鉄筋、左官など。10年以上の経験+国交大臣認定)
  • 学歴+実務経験(建設関連学科卒業+一定年数の経験)
  • 実務経験10年以上(資格や学歴がなくても長期経験で要件を満たす場合あり)

👉 ポイント
建設業許可での営業所等技術者要件と要件は同等です。資格がなくても「10年以上の実務経験」で主任技術者になれるケースがあるため、小規模業者にとって重要な制度です。


(2) 監理技術者

大規模工事で必要になります。具体的には、

  • 元請として工事を受注
  • 下請契約の合計金額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)

この条件を超える場合、特定建設業許可を持つ会社でなければ受注できず、さらに主任技術者に代えて「監理技術者」を置く必要があります。

資格要件

  • 一級施工管理技士(土木・建築・管・電気など工種に応じたもの)
  • 国土交通大臣認定者(特別講習や考査に合格した人)
  • 指導監督的実務経験者(4,500万円以上の工事で、2年以上工事全体を監督した経験を持つ人。ただし指定7業種では不可)

👉 ポイント
監理技術者は「一級施工管理技士が必須」と考えるのが基本です。


(2-1) 監理技術者補佐

監理技術者を複数現場に兼務させるときに必ず配置する人です。専任特例2号の仕組みを支える存在です。

資格要件

  • 一級施工管理技士補(一級施工管理技士試験の第一次検定合格者)
  • 監理技術者資格を持つ人(一級施工管理技士など)

👉 ポイント
「二級施工管理技士」では監理技術者補佐になれません。最低でも「一級施工管理技士補」が必要です。


(3) 専門技術者

一式工事(建築一式・土木一式)の中で、自社が専門工事を施工する場合に必要です。

資格要件

  • その専門工事の主任技術者資格を持つこと
    例:建築一式工事の中で管工事を施工する → 管工事施工管理技士を配置

👉 ポイント
自社に資格者がいなければ、その工事は別業者に発注する必要があります。


(4) 現場代理人

契約の履行責任者として現場を統括します。公共工事では原則常駐が義務です。

資格要件
建設業法では明確に規定されていませんが、発注者が独自に要件を定めている場合があります。多くのケースで「施工管理技士の資格保有」が求められます。

👉 ポイント
現場代理人は「資格よりも責任の重さ」が特徴。発注者との信頼関係を意識した人選が重要です。


4. 専任が必要な工事とは?

「専任」とは、その工事に集中し、他の工事と兼務しないことです。

対象となるのは、

  • 公共性のある工事
  • 請負金額4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)

👉 専任=必ずしも常駐ではありません。
工事中止中や工場製作のみの期間は、現場に常駐しなくてもよいとされています。


5. 特例・緩和措置

(1) 主任技術者の配置免除

下請代金が4,500万円未満の鉄筋工事や型枠工事では、元請の主任技術者が兼務できるため、下請に主任技術者を置かなくてもよい場合があります。

(2) 途中交代

病気・出産・災害などやむを得ない理由があれば、発注者と合意の上で途中交代が可能です。

(3) 監理技術者の資格者証

専任監理技術者は資格者証を持ち、過去5年以内に監理技術者講習を受講している必要があります。


6. 茨城県独自の取扱い(土木部発注工事)

建設業法の全国ルールに加えて、茨城県では独自の緩和措置が定められています。

現場代理人

  • 予定価格4,500万円未満の工事なら、2件まで兼務可能
  • 災害復旧工事なら、距離が近ければ兼務可
  • 営業所技術者や常勤役員と兼務できる場合あり

主任技術者

  • 災害復旧工事で現場が近ければ兼務可(ただし監理技術者が必要な工事は不可)
  • 営業所技術者と兼務できる場合あり

監理技術者(専任特例2号)

  • 工事金額1億5千万円未満
  • 茨城県内の工事
  • 補佐を専任配置すること

この条件を満たせば2件まで兼務可能です。


7. まとめ

  • 営業所には営業所技術者
  • 現場には主任技術者(大規模工事は監理技術者)
  • 専任義務は4,500万円が目安(建築一式は9,000万円)
  • 監理技術者補佐は「一級施工管理技士補」以上でないと不可
  • 茨城県には独自の緩和ルールあり

工事規模や業種によって必要な人材は変わりますが、基本を押さえれば対応は難しくありません。


おわりに

技術者配置のルールは「複雑でわかりにくい」と感じられがちですが、要は工事を安全・確実に進めるために必要な人材を適切に配置するという考え方です。

ただし、誤解や配置ミスは大きなペナルティにつながります。許可更新ができない、入札参加停止になる、といった事態も起こり得ます。

不安があれば、行政書士や建設業に詳しい専門家に相談するのも一つの方法です。外部の知恵を借りながら、確実に法令遵守を進めていきましょう。

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