建設業許可の電子申請ってどうなの?~事業者が知っておくべきメリット・デメリットを行政書士が解説~
1. はじめに
建設業許可の申請方法に「電子申請」が導入され、近年は本格的に運用が始まっています。これまで紙の書類を役所へ持参するのが当たり前でしたが、今ではインターネットを通じて手続きを進められるようになったのです。
とはいえ、「電子申請に切り替えるべきなのか?」「自分の会社にとって本当に便利なのか?」と迷う経営者は少なくありません。特に、経営事項審査(経審)を受ける事業者かどうかによって、その判断は大きく変わります。本記事では、行政書士の視点から電子申請のメリット・デメリットをわかりやすく解説し、どのような事業者に向いているのかをご紹介します。
2. 建設業許可電子申請の基本知識
2-1 電子申請とは何か
建設業許可や経審の申請をオンラインで行う仕組みを「電子申請」と呼びます。正式名称は JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム) です。
従来は、膨大な書類を作成し、それを役所まで持参して提出する必要がありました。しかし電子申請では、パソコンやインターネット環境があれば事務所や自宅から申請が可能になります。つまり、時間や移動の負担を大きく減らせる点が特徴です。
2-2 電子申請の対象範囲
電子申請が使える手続きは幅広く、
- 新規の建設業許可申請
- 許可更新や業種追加
- 経営事項審査申請
- 決算変更届や各種変更届
といった、建設業者にとって主要な手続きの多くが対象となっています。
3. 【重要】経審を受ける事業者は電子申請を強く推奨
3-1 手続き頻度の多さがメリットを最大化
経審を受ける会社は、毎年の経審申請や決算変更届に加え、5年ごとの許可更新や随時の変更届も行います。申請の頻度が多いため、その都度役所に出向く手間を省ける電子申請は、効率化の効果が非常に大きいといえます。
3-2 公共工事受注事業者としてのデジタル対応
さらに、公共工事の発注者側もデジタル化を急速に進めています。将来的には「電子申請対応」が入札条件に加わる可能性すらあります。そのため、電子申請に慣れておくことは、 「デジタル対応力のある会社」 としてアピールできる絶好の機会にもなるのです。
3-3 経審申請時期の集中への対応
例年4~6月に申請が集中する経審では、窓口が混雑し、補正対応にも時間がかかりがちです。しかし電子申請なら、24時間いつでも提出でき、審査状況をリアルタイムで確認できます。そのため、工事の受注計画を立てやすく、補正も素早く対応できるので、全体の流れを前倒しすることも可能です。
3-4 経営分析データの有効活用
JCIPでは過去データを蓄積し、再利用できます。これにより、毎回の申請作業が効率化されるだけでなく、経審点数の推移を把握しやすくなります。結果として、翌年度に向けた改善点を早めに見つけることができます。
4. 電子申請の具体的メリット
4-1 時間的なメリット
電子申請は、インターネット環境さえあれば 24時間365日いつでも申請可能 です。従来のように役所の開庁時間に合わせる必要がなく、夜間や休日でも作業ができます。さらに、移動や待ち時間も不要になるため、その分を本業に充てられるのは大きな利点です。
4-2 業務効率化のメリット
システムには自動計算やエラーチェック機能が搭載されており、記入漏れや誤りを防ぎやすくなっています。過去に提出したデータを再利用できるため、毎回ゼロから書類を作成する必要もありません。特に、複数の営業所や業種を管理している会社では、この効率化の効果がさらに大きくなります。
4-3 将来性のメリット
今後、行政手続きはますます電子化されていきます。補助金や入札関連の手続きもオンライン化が進んでいるため、建設業許可で電子申請に慣れておくことは、他の行政手続きでも役立ちます。取引先や金融機関から「デジタル対応が進んでいる会社」と評価されることも期待できるでしょう。
5. 電子申請のデメリット・注意点
5-1 事前準備の手間
電子申請を始めるには、まず gBizIDプライム の取得が必要です。これは2~3週間かかることもあるため、早めの準備が欠かせません。加えて、e-Taxの利用者識別番号なども事前に整備する必要があります。また、システムの操作に慣れるための学習コストも発生します。
5-2 現時点での制約事項
電子申請が導入されたとはいえ、完全にペーパーレス化されたわけではありません。たとえば、納税証明書の取得は別途必要ですし、委任状など一部の書類は紙での手続きが残っています。そのため「すべてオンラインで完結」とはいかない点には注意が必要です。
5-3 コスト面
紙申請と比較して手数料が安くなるわけではありません。つまり、直接的なコスト削減効果はありません。電子申請の利点は、費用よりも「効率化」や「将来性」にあると理解しておくことが大切です。
6. 事業者タイプ別の判断指針
6-1 【積極推奨】経審を受ける事業者
公共工事を受注している事業者や、年間で複数回の申請や届出を行う事業者は、電子申請の恩恵を大きく受けられます。特に、デジタル対応力をアピールしたい企業には強く推奨されます。
6-2 【検討推奨】一般許可のみの事業者
一方で、一般許可だけの事業者は状況に応じて選択すれば十分です。すでにgBizIDを持っている、ITツールに慣れている、複数の営業所や業種を抱えているといった場合には電子申請を取り入れる価値があります。
しかし、更新が5年に1度しかなく、すべてを行政書士に任せている場合は、従来の紙申請でも問題はありません。ITが苦手で習得に時間がかかる場合も、無理に導入する必要はないでしょう。
7. 導入タイミングの考え方
次回の経審に向けて準備を進めたい場合や、来年度の入札に参加する予定がある場合は、早めに電子申請へ移行するのがおすすめです。gBizIDの取得には時間がかかるため、余裕を持って取り組むと安心です。
逆に、申請直前で準備が間に合わない場合や、システム習得に時間を割けない場合は、まず従来方式を利用し、次の機会に備える方が安全です。
8. 行政書士に依頼する場合のポイント
電子申請に対応している行政書士に依頼することで、システム操作に不慣れな事業者でもスムーズに申請を進められます。行政書士は制度変更にも敏感に対応できるため、安心して任せられるのも大きなメリットです。
依頼時には、電子申請に対応しているかどうか、事前準備をどこまでサポートしてもらえるか、報酬体系に違いがあるかといった点を確認しておくと良いでしょう。
9. 今後の制度動向と対策
建設業許可や経審の電子申請は、今後さらに進化していきます。証明書の取得も電子化が進み、将来的には紙申請が完全に廃止される可能性もあります。
したがって、事業者としては gBizIDの早期取得、e-Tax環境の整備、そして 社内のデジタル体制づくり を今から進めておくことが重要です。
10. よくある質問(FAQ)
Q: 経審を受ける場合、電子申請は必須ですか?
A: 現時点では必須ではありませんが、強く推奨されます。
Q: gBizIDプライムの取得にはどれくらいかかりますか?
A: 通常2~3週間程度です。早めの準備が安心です。
Q: 電子申請にすると手数料は変わりますか?
A: 紙申請と同額です。
Q: 途中で紙申請に戻せますか?
A: 可能ですが、電子申請を継続利用した方が効率的です。
Q: 行政書士に依頼する場合、事前に準備することはありますか?
A: gBizIDの取得や必要書類の確認を早めに進めるとスムーズです。
11. まとめ
11-1 経審事業者への結論
電子申請への移行を強く推奨します。早めに準備を始め、次回の申請から活用できるようにすることが、公共工事を安定的に受注する戦略につながります。
11-2 一般許可事業者への結論
一般許可の事業者は、自社の状況に応じて選択すれば十分です。無理に導入する必要はありませんが、将来的な電子化の流れを考えれば、早めに慣れておくことが望ましいでしょう。
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