一人親方必見!建設業許可申請で困らないための文書管理術

文書管理

「このときの請負契約書ってありますか?」

「え?口頭でやったから、そんなの作ってないよ!」

行政書士として、建設業許可申請のお手伝いをしていると、このようなやり取りをすることがよくあります。日々の仕事に追われている一人親方さんにとって、書類の作成や管理は後回しになりがちですよね。特に、個人事業主の方は、書類のやり取りを簡略化しがちです。元請けさんとの信頼関係もあるから、書面がなくても大丈夫だと思っているかもしれません。

しかし、建設業許可を申請する際には、過去の工事実績を「書類で」証明することが必須です。どんなに素晴らしい工事をいくつも手掛けてきたとしても、その証拠となる書類がなければ、残念ながら実績として認められません。この「書類がない」という理由だけで、許可申請がストップしてしまうケースは決して少なくありません。

そこで今回は、一人親方さんでも簡単に始められる、建設業許可申請で困らないための文書管理術を徹底解説します。

1. 証拠を残す!契約書と請求書を必ず作成する

「契約書なんて堅苦しい…」「元請けさんとの信頼関係があるから大丈夫」そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、建設業許可を取得するには、過去5年分の工事実績を証明する書類が必ず求められます。

これらの書類がなければ、そもそも建設業許可の申請をスタートさせることすらできません。

なぜ書類が必要なのか?

建設業許可は、国や都道府県が「この事業者は、適正な工事を継続的に行えるだけの能力がある」と認めるためのものです。その能力を判断するために、過去の実績を客観的に証明する書類が不可欠なのです。口約束だけでは、残念ながら「実績」として認められません。

具体的に求められる書類は以下の通りです。

  • 請負契約書:工事内容、期間、金額などが明記されたもの
  • 注文書と請書:発注者からの注文書と、それに対する請書
  • 請求書と入金が確認できる通帳の写し:請求した金額が実際に支払われたことを証明するもの

これらの書類は、一つでも欠けると、その工事が実績としてカウントされない可能性があります。

今日から始める!書類作成の習慣

「でも、どうやって書類を作ればいいの?」と不安に思う必要はありません。

大げさな形式にこだわる必要はありません。大切なのは「工事があったこと」と「お金のやり取りがあったこと」を証明できることです。

① 請負契約書(または注文書・請書)

  • 手書きでもOK:パソコンが苦手な方でも大丈夫です。市販の伝票や、ご自身で作成した簡単な書式に、工事名、請負金額、工事期間、工事内容を記入し、元請けさんとお互いの印鑑を押しましょう。
  • テンプレートを活用:インターネットで「建設業 請負契約書 テンプレート」と検索すれば、無料でダウンロードできる書式がたくさんあります。ご自身の事業に合ったものを見つけて、カスタマイズして使ってみましょう。
  • 行政書士に相談:ご自身の事業内容に合わせたテンプレートを用意してくれる行政書士事務所も多いです。一度相談してみるのも良いでしょう。

② 請求書と通帳の写し

  • 必ず発行する:工事が完了したら、必ず元請けさんに請求書を発行しましょう。請求書には、工事名、金額、振込先などを明確に記載します。
  • 入金の証拠を残す:請求した金額が、銀行振込で入金されたことを確認できる通帳の該当部分のコピーを保管しておきましょう。これが、工事代金の支払いがあったことの何よりの証拠になります。

このように、まずは「工事を請けたら、必ず書類を作る」という習慣を身につけることから始めましょう。最初のうちは手間だと感じるかもしれませんが、許可取得のその先にある、あなたの事業の未来のために不可欠な第一歩です。

2. 「入れるだけ」でOK!クリアファイル&ボックス活用術

「書類を整理する」と聞くと、なんだか難しく感じてしまうかもしれません。しかし、面倒な作業は一切不要です。とにかく 「書類をなくさない」ための仕組みを最初に作ってしまいましょう。

必要なものは、色違いのクリアファイルと書類整理ボックスだけです。

① クリアファイルを色分けする

色ごとに書類の種類をルール化します。このルールはご自身が一番わかりやすいもので構いません。

  • 青色請求書・領収書
    • 元請けさんに発行した請求書の控えや、材料費などの領収書はこちらに入れます。
  • 赤色契約書・注文書
    • 元請けさんと交わした請負契約書や注文書・請書の控えを入れます。
  • 緑色現場の写真・図面
    • 工事着工前後の写真や、契約書に添付された図面などを入れておきます。
  • 黄色資格証・講習の修了証
    • 技能士などの資格証、特別教育や職長教育などの修了証はこちらにまとめておきましょう。

このように、書類が届いたり、作成したら、迷わず該当する色のクリアファイルに入れる習慣をつけます。これだけで、いざ書類を探すときに「あれ、どこに置いたっけ?」という事態を大幅に減らせます。

② 書類整理ボックスにまとめて入れる

クリアファイルに入れた書類は、まとめて書類整理ボックスに保管します。ボックスごとに「進行中の案件」「工事が完了した案件」などの見出しをつけておくと、さらに管理しやすくなります。

この方法なら、面倒なラベル付けや細かな分類は不要です。とにかく「入れるだけ」で、必要なときにサッと取り出せるようになります。

3. スマホで写真を撮ってデータ化する

紙の書類はかさばるし、紛失のリスクもあります。そこでおすすめなのが、書類をデータとして残す方法です。

「スキャナーなんて持っていないし…」という方でも大丈夫。今お持ちのスマートフォンを使えば、簡単に書類をデータ化できます。

① 撮影する書類

  • 契約書、注文書、請求書、領収書
  • 請負契約書に添付される図面や仕様書
  • 工事着工前・後の写真

これらの書類を撮影したら、GoogleドライブDropboxなどのクラウドサービスに保存しましょう。スマホの容量を圧迫することなく、インターネット上に安全に保管できます。

② データを整理する

ただ撮影して保存するだけでは、あとから探しにくくなってしまいます。「2025年_〇〇様邸改修工事」のように、日付や現場名でフォルダ分けしておくと、探す際に便利です。

「でも、スマホのデータが消えたらどうしよう?」と心配になる方もいるかもしれません。クラウドサービスは、インターネット上にデータを保管するため、もしスマホが壊れてしまってもデータは残ります。紙とデータの両方で管理することで、より安心して事業を継続できます。

4. 証憑作成から文書管理まで、すべてをサポートしてくれるツールを活用する

「わかってはいるけど、やっぱり面倒…」そう感じる方もいるでしょう。そんな一人親方さんのために、最近では書類作成から管理までを一元化できる便利なツールがたくさん登場しています。

証憑作成ツール

  • クラウド請求書サービス:請求書や見積書を簡単に作成できるサービスです。一度テンプレートを作ってしまえば、あとは必要事項を入力するだけで完了します。発行した請求書は自動的にデータとして保存されるため、管理の手間も省けます。
  • 建築業向け管理アプリ:現場写真の整理、日報の作成、見積書の作成など、建設業の業務に特化した機能を持つアプリもあります。スマートフォンで全ての管理ができるため、移動中や現場の合間に作業を済ませることができます。

これらのツールは、初期費用がほとんどかからず、月額数百円から利用できるものも多いです。まずは無料のお試し期間などを利用して、ご自身に合ったツールを探してみるのも良い方法です。

まとめ

文書管理は、事業を長く続けるための土台作りのようなものです。日々の業務に追われ、後回しにしがちなことかもしれませんが、日頃から少しの工夫をしておくことで、建設業許可の申請だけでなく、日々の業務効率も上がり、将来の事業拡大にもつながります。

今回ご紹介した方法は、どれも今日から始められる簡単なものばかりです。ぜひ、できることから一つずつ試してみてください。

「許可申請に必要な書類が揃っているか不安…」「具体的にどうやって書類を作成・管理すればいいかわからない…」といったお悩みがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。あなたの事業の成功を、書類の面からしっかりとサポートさせていただきます。


目次

【追記】建設業許可取得後の文書管理について

建設業許可を取得した後も、文書管理の重要性は変わりません。許可の更新や、事業年度終了届の提出、さらには新しい許可業種の追加申請など、様々な場面で過去の書類が求められるからです。

許可更新(5年ごと)

建設業許可は5年ごとに更新が必要です。この際、更新申請時にも直近の決算期における工事実績などを証明する書類が求められます。日頃からきちんと書類を保管しておくことで、更新時期が来ても慌てずに手続きを進めることができます。

事業年度終了届(毎事業年度)

建設業許可を取得すると、毎事業年度終了後4ヶ月以内に、工事実績や財務状況を記載した「事業年度終了届」を提出する義務が生じます。この際にも、決算書や工事実績を証明する書類が必要です。

経理業務の効率化

日々の売上や経費に関する書類をきちんと管理しておくことは、確定申告や税務調査への対応にも役立ちます。文書管理を習慣化することで、経理業務がスムーズになり、本業に集中できる時間も増えます。

このように、文書管理は建設業許可取得のためだけにやるものではありません。事業を継続し、さらに大きくしていくために欠かせない、大切な経営管理の一部です。今回の記事をきっかけに、ぜひあなたの事業にも文書管理の仕組みを取り入れてみてください。

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