【経審対策】W点を劇的に改善!中小建設会社が今すぐ取り組むべきポイント
経営事項審査(経審)の各要素についての解説についての連載記事です。今回は、W点(その他の審査項目/社会性等)についての解説です。
経審は、公共工事を受注するために不可欠なプロセスでです。そして、会社の総合力を客観的に示す重要な指標です。しかし、W点(その他の審査項目/社会性等)の対策は後回しになりがちではないでしょうか。
「W点なんて、大した点数じゃないだろう?」 「できることは全部やっているはずだ」
そう思われるかもしれません。
しかし、経審では、このW点が会社の総合評定値に与える影響は決して小さくありません。特に、他社と差がつきにくい中小建設会社こそ、W点の改善に注力することが、点数アップの重要な鍵となります。
この記事では、現行の経審のルールを踏まえ、W点を効率的に、そして劇的に改善するための具体的なポイントを解説します。読者の皆様が「これならすぐに取り組める!」と感じられるような、実務に即した改善策を、弊社で支援した事例を交えながらご紹介します。
W点とは?会社の「信頼性」を数値化する評価項目
まず、W点について簡単に振り返りましょう。
W点とは、企業の社会的貢献度やコンプライアンスを評価する項目です。いわば、会社の「品格」や「信頼性」を数値化したものです。従業員の労働環境整備や地域社会への貢献といった、普段から取り組んでいる活動が点数として評価されます。
では、具体的にどの項目を改善すれば、効率的に点数を上げることができるのでしょうか?ここでは、特に点数への寄与度が高い5つの項目に絞って解説します。
ポイント① 建設退職金共済制度(建退共)への加入
建設業界で働く職人さんにとって、退職金の有無は就職先を選ぶ上で非常に大きな要素です。建退共は、国が作った建設業向けの退職金制度であり、会社の規模にかかわらず、すべての事業者が加入できます。
【W点における評価】
建退共への加入状況は、W点の「W1:担い手の育成及び確保に関する取組の状況」で評価されます。加入しているだけでも加点されますが、従業員数に応じた評価となります。
【実務的なヒント】 「うちはもう加入しているから大丈夫」と思っていませんか?実は、建退共の掛金納付実績も重要な評価対象です。ただ加入するだけでなく、きちんと運用されているかが問われます。
改善策の例:
- 現場担当者と経理担当者でチェックリストを作成し、毎月必ず確認するルーチンを確立する。
- 電子申請方式への切り替えを検討する。これにより、手帳の管理や押印の手間を大幅に削減できます。
- 協力会社にも建退共への加入を促すことで、業界全体の労働環境改善に貢献する姿勢を示す。
ポイント② 退職一時金制度もしくは企業年金制度の導入
建退共以外に、独自の退職金制度を設けることもW点の大きな加点ポイントです。従業員の長期的なキャリア形成を支援する企業姿勢が評価されます。
【W点における評価】 「W1:担い手の育成及び確保に関する取組の状況」で評価されます。退職一時金制度や企業年金制度を設けていると、大幅な加点が見込めます。
【実務的なヒント】 「退職金制度なんて、うちみたいな中小企業には無理だ…」 そう思われるかもしれませんが、実は中小企業でも導入しやすい制度がいくつかあります。
改善策の例:
- 中小企業退職金共済制度(中退共)への加入。建退共と合わせて加入することで、退職金の上乗せが可能です。
- 確定拠出年金(DC)の導入。会社が拠出した掛金を従業員自身が運用する制度で、会社の負担額が明確です。
いずれも、従業員の定着率向上に繋がり、採用活動において大きなアピールとなります。
ポイント③ 法定外労働災害補償制度への加入
建設業は、他の産業に比べて労働災害のリスクが高い産業です。そのため、万が一の事故に備える体制を整えることは、従業員の安心を守るだけでなく、会社の評価にも直結します。
【W点における評価】 「W1:担い手の育成及び確保に関する取組の状況」で評価されます。労災保険に加えて、さらに手厚い補償を行う法定外の労働災害補償制度に加入していると加点されます。
【実務的なヒント】 法定外労働災害補償制度は、保険会社が提供している商品です。
改善策の例:
- 自社の業務内容やリスクに合った補償内容になっているかを再確認する。
- 労災事故発生時の対応フローを明確にし、従業員に周知徹底する。
- 安全協力会などを通じて、コストパフォーマンスの高い団体保険の活用を検討する。
万が一の事故が発生した際、手厚い補償があることは、被災した従業員とその家族にとって、精神的・経済的な支えとなります。また、会社の安全に対する真摯な姿勢を示すことにも繋がります。
ポイント④ 建設機械の保有状況
建設機械の保有状況は、会社の施工能力だけでなく、有事の対応能力としても評価されます。現行の経審では、保有する建設機械の種類や数に応じて加点されます。
【W点における評価】 「W7:建設機械の保有状況」で評価されます。例えば、バックホウ(油圧ショベル)やトラクターショベル(ホイールローダー)といった、災害復旧にも役立つ汎用性の高い機械などが対象に含まれます。
【実務的なヒント】 「機械なんて、リースで十分じゃないか」 「コストばかりかかって大変だ」
そう思われるかもしれませんが、機械を保有することには様々な利点があります。
改善策の例:
- 会社の主力となる機械は購入を検討する。特に、災害時に必要となる機械は、保有することで有事の際の迅速な対応が可能になります。
- 重機オペレーターの技術向上のための研修を積極的に実施し、機械の稼働率を高める。
- 保有している重機について、定期的な点検・整備を徹底し、いつでも出動できる状態を維持する。
ポイント⑤ 防災協定の締結
近年の自然災害の増加に伴い、建設会社には災害発生時の迅速な復旧対応が強く求められています。国や地方公共団体との間で防災協定を締結することは、地域社会への貢献として高く評価されます。
【W点における評価】 「W3:防災活動への貢献の状況」で評価されます。国や地方公共団体との間で、災害時の応急対策や復旧に関する協定を締結していると加点されます。
【実務的なヒント】 「うちみたいな小さな会社でも、防災協定なんて結べるのだろうか?」ご安心ください。中小企業でも防災協定を締結している事例は多数あります。
改善策の例:
- 地元の市町村役場や都道府県の建設関連部署に相談してみる。まずは地元の自治体に問い合わせるのが第一歩です。
- 災害協定を結んでいる組合や団体に加入する。組合や団体を通じて協定を締結している場合も、加点の対象となります。
- 保有する重機や資機材、技術者のリストを作成し、有事の際にすぐに提供できる体制を整える。
W点とZ点を同時にアップ!建設キャリアアップシステム(CCUS)活用
最後に、W点の重要な加点項目であり、同時にZ点にも好影響を与える制度についてご紹介します。それが、「建設キャリアアップシステム(CCUS)」です。
CCUSは、技能者の就業実績や資格をICカードに登録・蓄積し、技能者の能力や経験を公正に評価する仕組みです。これにより、建設技能者の「見える化」が進み、技能者が正当な評価を受けることができるようになります。
【経審における評価】 W点の「W1:担い手の育成及び確保に関する取組の状況」にある「⑩建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」で評価されます。元請企業は、自社の技能者登録だけでなく、下請企業のCCUS活用を促進することで加点されます。
さらに、CCUSに蓄積された技能者の就業履歴や資格情報は、客観的な技術力として評価されます。CCUSを通じて技能者の資格取得や経験が証明され、結果的にZ点(技術力)の向上にも貢献します。
【CCUS活用のメリット】
- W点アップ:就業履歴の蓄積という労働環境改善への取り組みとして評価され、W点の加点に繋がります。
- Z点アップ:技能者の能力が「見える化」されることで、Z点の評価にも良い影響を与えます。
- 技能者のモチベーション向上:キャリアパスが明確になり、自身の能力が正当に評価されることで、定着率アップに繋がります。
- 会社のPR:CCUSの活用は、働きやすい環境づくりに積極的に取り組む「優良企業」としてのPRにも繋がります。
まとめ
経審のW点は、会社の信頼性や社会貢献度を評価する重要な指標です。単なる点数アップのためだけでなく、従業員の安心や働きがい、地域社会への貢献といった、本業とは別の側面で会社を成長させるチャンスでもあります。
この記事でご紹介した5つのポイントを参考に、ぜひ今日からW点改善の取り組みを始めてみてください。そして、CCUSを活用したW点・Z点対策と合わせて、貴社の総合評定値アップを目指しましょう。
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