【建設業者向け】経審の点数は高ければ良いとは限らない?―自社に合ったランク設定のすすめ

目次

はじめに

建設業者が公共工事の受注を目指すうえで避けて通れないのが「経営事項審査(経審)」。経審の点数を上げるために、日々努力を重ねている事業者も多いことでしょう。

しかし、「経審の点数は高ければ高いほど良い」という考えは、必ずしも正解とは言えません。実は、自社の経営体力や施工実績、人材体制に合わない高ランクを狙うことで、かえって経営を圧迫してしまうリスクもあるのです。

本記事では、「経審の点数は高ければ良いとは限らない」という視点から、自社に合ったランク設定の重要性や、適切な経審戦略について解説していきます。


経審とは何か?簡単におさらい

経営事項審査(経審)は、公共工事を請け負うために必要な「入札参加資格」を得るための審査制度です。審査結果は数値化され、「総合評定値(P点)」として公表されます。

P点は以下の要素から構成されます。

  • X点:完成工事高(実績)
  • Y点:財務内容(経営状況分析)
  • Z点:技術職員数や建設業経理士の保有状況など(技術力評価)
  • W点:法令遵守・人材育成・社会的取組など(その他の審査項目)

この総合評定値によって、「どのランクの公共工事に参加できるか」が決まる仕組みです。


高ランク=高リスク?その落とし穴とは

① 過大な工事に手を出すリスク

高得点によって上位ランクの入札資格を得ると、より大型の案件に参加できるようになります。一見、チャンスが広がるように見えますが、「実際に施工できる能力が追いつかない」という落とし穴に注意が必要です。

現場管理能力や技術者数、資金繰り体制が不十分なまま高額な工事を受注してしまうと、工期遅延・品質低下・資金ショートなどのトラブルに直結しかねません。

② 評価点を上げるための過剰投資

経審の点数を上げるために、

  • 高額な建設機械の購入
  • 資格取得のための教育費用
  • 福利厚生や制度整備の外部コンサル導入

といった過剰な投資を行ってしまうケースもあります。しかし、経審の点数アップが必ずしも利益の増加に直結するわけではありません。

経審に偏った経営判断は、長期的には資金繰りや利益率を圧迫し、自社の経営を不安定にするリスクを抱えます。


「自社に合ったランク」を目指すという発想

公共工事にはランクごとに案件規模が決まっており、Aランクが必ずしも「儲かる案件」というわけではありません。

むしろ、「自社の人員規模・施工能力・資金力に見合ったランクで、安定的に受注を重ねる」方が、継続的な成長につながるといえます。

たとえば…

  • 技術職員が3名、年商8,000万円程度の中小企業が、Bランクで毎年3〜4件の案件を安定的に受注
  • 技術職員が5名以上、年商2億円超の企業が、Aランクで中規模案件に挑戦しつつ、余力を残す経営を維持

といった具合に、自社の強みやリソースを踏まえたランク設計が重要なのです。


経審戦略に必要な3つの視点

① ランクだけでなく「案件の特性」も見る

公共工事には、地域性・発注元の傾向・競争率の高低といった特徴があります。ランクを上げる前に、まずは「どのような発注者から、どのような案件が多いのか」を分析することが先決です。

② 自社の「リソース上限」を把握する

経審対策を進める前に、人材配置・資金繰り・経理体制など、自社の限界ラインを整理しましょう。「あと1名技術者が必要だが、確保が難しい」「資材費の高騰で入札価格が見合わない」など、現場に即した判断軸が重要です。

③ 点数アップよりも「受注機会の最適化」

経審の目的は、あくまで受注機会を確保すること。点数アップに注力するのではなく、適正なランクで継続的に工事を受注し、利益を出せる体制づくりを意識しましょう。


行政書士・中小企業診断士の視点からアドバイス

当事務所では、単なる経審申請の代行にとどまらず、

  • 自社に適したランクの設定
  • 点数アップに必要なコストとリターンの試算
  • 建設業許可や決算変更届との連動支援

といった「経営の視点からの経審支援」を提供しています。

必要なのは、点数を上げることではなく、利益を残す戦略です。


まとめ|経審点数は手段であり、目的ではない

経審の点数は、あくまで受注のための手段であり、会社の成長や利益のすべてを決定するものではありません。

むしろ、「高すぎるランクを追うことで経営が苦しくなった」「受注しても赤字になった」といった相談も珍しくありません。

だからこそ、

  • 自社の強みを活かせるランク
  • 継続的に挑戦できる案件規模
  • 身の丈に合った経審戦略

を立てることが、中長期的な成功につながる道となります。


おわりに

経審の点数アップは、企業努力の証でもあります。しかし、「ただ高得点を目指す」だけではなく、「その点数をどう活かすか」という視点が欠かせません。

つむぎ行政書士事務所では、茨城県内の建設業者様を中心に、経審や建設業許可に関する経営支援を行っております。経審対策に迷われた際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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