石破首相の辞任で何が起きる?総裁選の方式と国会での首相指名フロー
1. 辞任でいま分かっていること(2025年9月8日時点)
表明の日時と意向
2025年9月7日夜、石破茂首相は記者会見を開き、「国の政治的安定を守るため、自ら責任を取って辞任する決意」を正式に表明しました。これは、与党・自民党が7月の参議院選挙で歴史的敗北を喫し、国会での議席支配力を失ったことを受けたものです。
石破首相はまた、アメリカとの自動車関税交渉で一定の成果(関税率25%から15%への引き下げ)を得たことを「区切り」として、 「今が辞任の潮時」 と語りました。
背景にある辞任の決断要因
(1)選挙敗北による政治責任と党内圧力
7月の参院選で与党は多数議席を失い、国民の信任が明らかに低下しました。石破首相に対する党内からの責任追及や、「近く罷免となる前に、自ら身を引くべきだ」という声が高まりました。
さらに、自民党内の右派勢力や影響力のある派閥からの圧力も辞任の引き金となり、内部抗争への発展を避けるためにも「自発的辞任」が選ばれたと見られます。
(2)党内分裂回避の狙い
石破首相自身も記者会見で「党が分裂してしまっては国難を乗り切れない」と前置きし、あえて「党内分裂のリスクを取り除く」ために辞任する判断をしたと明かしました。これにより、自民党内の対立懸念を“このタイミングで封じる”ねらいがあります。
(3)外交的・交渉的区切りとしての辞任
米国との関税交渉が一段落したことを、「政権責任の一区切り」と位置づける判断も明示されました。石破首相の言葉を借りれば、「交渉の成果を得た今、後進に道を譲るべき」との自己評価です。
こうした「外交上の区切り」と「党内の圧力回避」が重なり合い、辞任の意思決定を早めたとの構図です。
当面の政権体制と市場反応
表明後、新総裁が選出・首相に指名されるまでの間は現内閣がそのまま継続するとの見方が一般的です。これは過去の事例(例えば安倍首相辞任時など)に倣った対応です。
また、報道によれば、辞任表明直後には円安や国債利回り上昇を伴うマーケットの揺れが見られており、政治の不透明感が投資家心理に影響を与えています。
今後の党内スケジュール(速報ベース)
自民党としては、9月9日に総裁選の形式(「フルスペック型」か「簡易型」か)を決定する方向です。森山幹事長はその意向を記者会見で明らかにしています。
なお、茂木敏充前幹事長が出馬意向を表明しており、高市早苗氏、小泉進次郎氏らの名前も後継候補として挙がっています(9/8現在)。
2. 総裁選の方式はどうなる?(フルスペック/簡易型)
通常の「フルスペック型」の仕組み
自民党総裁選の一般的な方式(フルスペック型)は次のような構成です。
- 国会議員票(自民党所属の衆参議員が1人1票)
- 党員・党友票(都道府県ごとに集計し、配分)
これらを同じ重みで合算し、最も多い候補が総裁となります。
決選投票に至った場合は、国会議員票+都道府県連代表(各1票ずつ)によって最終決定します。
緊急時に用いられる「簡易型」の特例
政党トップの辞任などが急を要する場合、党員投票の期間を省略して国会議員票+都道府県連代表各3票という構成で行う「簡易型」が適用されることがあります。
この場合、議員票に重みが増し、党員票を含む通常よりも議員の影響力が相対的に大きくなります。
今回の焦点と党執行部の姿勢
森山幹事長は「できるだけ党員が参加するフルスペック型が望ましい」としつつ、9月9日に方式を最終決定すると表明しました。
一方、実務的にはスピード感を優先して簡易型を選ぶ可能性もあるとして、党内で議論が続いています。
方式の違いが及ぼす影響
方式によって結果が左右されかねない点が重要です。議員票重視の簡易型では、党内拍手を集めた人物(例:茂木敏充氏など)が有利となり、党員を巻き込むフルスペック型とは結果が異なる可能性があります。
従って、方式決定が「どの層を動かすか」の戦略上、極めて重要なポイントです。
3. 国会での首相指名までの手続きを解説
石破首相が辞任を表明したからといって、翌日にすぐ新しい首相が座るわけではありません。日本国憲法と国会法に基づき、首相交代には厳格な手続きの流れがあります。この流れを知っておくと、「ニュースで見ている動き」がよりクリアに理解できるでしょう。
3-1 自民党総裁選と首相指名の関係
まず押さえておくべきは、自民党総裁=内閣総理大臣ではないという点です。
首相は必ず「国会議員の中から、国会で選ばれる」必要があります(憲法第67条)。
ただし、現実には衆議院で多数を占める政党の党首が首相に選ばれるため、自民党総裁選で勝ち上がった人物が、そのまま次の首相になるのが慣例です。したがって、今後は
- 自民党内で総裁選を実施して新総裁を決定
- 国会で首班指名選挙を行い、新総裁が首相に選出
という流れをたどります。
3-2 国会での首班指名選挙
憲法第67条に基づき、国会は内閣総理大臣を指名する権限を持っています。その手順は次の通りです。
- 衆議院と参議院の両院で、それぞれ候補者に投票します。
- 投票は記名投票(無記名ではなく名前を書いて投票)で行われます。
- 「誰が誰に投票したか」が国会議事録に残るため、政党の規律が強く働くのが特徴です。
- 両院で同じ人物が選ばれれば、そのまま首相に確定します。
- 万が一、衆議院と参議院で異なる人物が選ばれた場合には、両院協議会を開いて調整します。それでもまとまらなければ、衆議院の議決が優先されます(衆院の優越)。
- これは、国会の主導権が「国民により直接選ばれる衆議院」にあるという憲法上の原則に基づきます。
3-3 皇居での「親任式」と「認証式」
国会での首班指名が終わったからといって、すぐに新首相が公務を始められるわけではありません。次は皇居での儀式が行われます。
- 親任式(しんにんしき)
天皇陛下が、新しく選ばれた首相に対し、憲法上の権限に基づき「内閣総理大臣に任命する」儀式です。
→ この時点で初めて、新首相は正式に職務を行える立場になります。 - 認証式(にんしょうしき)
同じく皇居で、新首相が任命した国務大臣(外務大臣、財務大臣など)の任命を天皇が「認証」する儀式です。
→ これにより、新内閣の閣僚全員が正式に就任します。
この「親任式」と「認証式」は、憲法と内閣法に基づく重要な憲法儀礼であり、形式的なセレモニーではなく、法的効力を持つものです。
3-4 初閣議と組閣の確定
皇居での儀式を終えると、いよいよ新内閣が動き出します。
- 官邸で閣僚名簿が発表され、辞令が交付されます。
- 初閣議が開かれ、内閣としての意思決定がスタートします。
- 新首相による記者会見が行われ、政策の方向性や国民へのメッセージが示されます。
これでようやく、新政権が「実質的にも法的にも」発足したことになります。
3-5 どのくらい時間がかかるのか?
総裁選が決着したあと、通常は数日から1週間程度で首相指名と儀式が終わります。過去の事例では、安倍首相・菅首相・岸田首相なども、党内選出から1週間以内に正式発足しています。
今回も、総裁選の方式がフルスペック型であっても簡易型であっても、結果が出れば迅速に国会指名→親任式→新内閣発足というスケジュール感になると予想されます。
まとめ:辞任から内閣発足まで—動き出した政局のリアルを整理
| ステップ | 概要 |
|---|---|
| 1. 石破首相が辞任表明(9月7日) | 政治的責任と党内分裂回避、交渉区切りが背景 |
| 2. 総裁選方式の決定(9月9日予定) | フルスペック型 or 簡易型か → 結果とスピードに影響 |
| 3. 総裁選実施 → 新総裁選出 | 党内で新リーダーを選ぶ。候補は茂木氏、高市氏、小泉氏ら |
| 4. 国会で首相指名(衆院優越) | 国会で記名投票。通常は衆院重視 |
| 5. 親任式・認証式 | 天皇による任命と閣僚認証 |
| 6. 初閣議・辞令交付・記者会見 | 新内閣が発足し、政策運営が始まる |
ポイント
- 石破首相の辞任表明だけでは「首相交代」はまだ完了していない。
- 自民党総裁選 → 国会での首班指名 → 皇居での親任式・認証式 → 初閣議という順番を踏む必要がある。
- 法律的根拠は憲法第67条(首班指名)、憲法第7条・第6条(天皇の国事行為)、内閣法などに基づいている。
- こうした厳格な手続きは、権力の移行を透明かつ安定的に行うための仕組みである。


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