うっかりミスで大失敗?補助金基本ルール「事前着手の禁止」とは?
多くの中小企業や個人事業主にとって、補助金は非常にありがたい制度です。新たな設備投資や販路開拓、ITシステム導入など、事業の成長を後押しする資金的支援を受けられるため、「チャンスだ!」と飛びつきたくなる気持ちもよくわかります。
しかし、補助金には多くの厳格な共通ルールが存在しており、その一つが今回のテーマである「事前着手の禁止」です。
このルールを知らずに動いてしまうと、せっかく採択された事業計画が補助対象外になるという最悪のケースにもつながります。
今回は「事前着手の禁止」について、実例を交えながら、わかりやすく解説していきます。
「事前着手の禁止」とは何か?
定義:補助事業の開始は「交付決定通知日以降」に限る
補助金制度において、「事前着手の禁止」とは、補助金の交付決定通知が出される前に事業を始めてはいけないというルールを指します。
通常、補助金受給までの手続きは下記ステップを踏みます。
1.公募開始
2.申請書類の提出
3.審査
4.採択通知
5.交付申請書の提出
6.交付決定通知
7.補助事業の実施(契約・発注など)
8.事業完了・報告
9.補助金の支払い(精算払)
補助金を受給したい事業者は、まず事業計画書などの申請書類を提出します。事務局による審査で計画内容が高く評価された事業者に対し「採択通知」がされます。採択通知を受けた事業者はこの時点で補助金を受給できる最大の難関を超えたと言えはしますが、補助事業を実施するためにはさらに「交付申請書」を提出して法的な承認(交付決定)を受けなければなりません。採択の時点で安心し、事業の「事前着手」を行ってしまうと、掛けた費用に対する補助が受けられなくなってしまいます。
補助金の交付は「公金(税金)」であり、公正な手続きの上で初めて交付決定されるものです。そのため、補助事業の開始は、行政側からの「交付決定通知」が出てから、つまり契約などの事実行為を開始するのもその日以降でなければならないというルールが課されています。
たとえば、以下のような行為が「事前着手」に該当します
- 機械設備を発注・契約してしまう
- 工事の見積を出して発注してしまう
- ソフトウェアの開発契約を結んでしまう
- リース契約を先に結んでしまう
- 自己負担で事業を開始してしまう
つまり、「補助金をもらえるかまだわからないけど、急ぐから先に始めてしまおう」という行為は完全にNGです。上記の行為は交付決定を受けて初めて実施可能となります。
どうして「事前着手」が禁止されているのか?
1. 税金の適正使用という原則
補助金は言うまでもなく「国民の税金」です。その使途が事前に勝手に決められてしまっては、公的資金としての適正性が保てません。補助金は、計画→審査→交付決定→事業実施→精算というプロセスが基本です。
2. 審査結果にかかわらず事業が進むと、不公平になる
もし交付決定前に事業を進めてしまって、それが後から「補助対象だった」とされれば、まだ審査中の他の応募者との公平性が崩れてしまいます。補助金制度の根幹は公正な競争と審査にあります。
3. 「補助の効果」が測れなくなる
補助金の目的は「補助をすることで、どのような成果が得られるか」という政策効果です。事業が先に進んでしまえば、「補助があったからこそ実現できたのか」の検証が困難になります。
こんな事例はNG!事前着手の具体例
ケース1:交付決定前に機械を発注した
ある製造業者が、ものづくり補助金の申請を行い、「交付決定は数週間後」と言われたものの、納期の都合で先に機械を発注してしまいました。その後、交付決定通知が届きましたが、機械の契約日が通知日より前であったため、補助対象から除外されてしまいました。
ケース2:Web制作を先に始めてしまった
IT導入補助金を活用して、ECサイトを作ろうとした小売業者が、「事前ヒアリングはOKだと思っていた」として制作会社に発注。後日、交付申請書を出したが、すでに請負契約が交わされていたため、補助金の交付は不承認になりました。
「これはOK?」よくあるグレーゾーンの対応例
| 行為 | 交付決定前はOKか? |
|---|---|
| 見積取得 | OK(ただし複数社から取る必要がある) |
| 相談・ヒアリング | OK(契約行為がなければ可能) |
| 仮契約(キャンセル不可) | NG |
| 契約書の先送り(口約束) | NG(実態として着手してしまう) |
| 製品の下調べ・比較検討 | OK |
ポイントは「発注・契約・支払」が生じていないかどうか。
事業者としては「急ぎたい」「スピード勝負」という気持ちもあると思いますが、補助金を受けたいならここはグッと我慢が必要です。
例外的に「事前着手」が認められるケースもある?
実は一部の補助金では、「事前着手届」を提出することで、交付決定前の着手が例外的に認められることもあります。
例:事前着手届の制度がある補助金
- ものづくり補助金(災害復旧時など)
- 事業再構築補助金(例外的要件での申請時)
- 自治体補助金(地方自治体により異なる)
ただしこの場合でも、「所定の様式での届け出+承認」が必要です。勝手に始めるのではなく、行政側からの明確な承認を得ることが前提です。
まとめ:補助金を活用するなら「交付決定通知」を待つ勇気を
補助金のルールは細かくて面倒に見えるかもしれませんが、それは「税金を適正に使う」という大前提があるからです。
「事前着手の禁止」はその最たるもの。知らなかった、急いでいた、善意だった――そういった理由は一切通用しません。
最後に覚えておきたいこと
- 補助金事業は交付決定通知が出てからがスタート
- 発注・契約・支払いなどの行為はそれ以前は厳禁
- グレーゾーンは問い合わせと記録保管で対応
- 特別な事情がある場合は「事前着手届」の制度確認を
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