補助金は「後払い」が原則──資金繰りと融資の現実を正しく知ろう
「補助金=お金がもらえる」は誤解です
補助金制度は、中小企業や個人事業主の挑戦を後押しする心強い支援策です。
しかし、「採択されたらすぐお金がもらえる」と誤解している方は少なくありません。
実際には、補助金は「後払い」が原則であり、事前に経費を支出して事業を実施した後、その実績に基づいて支給される仕組みです。
今回は、この「補助金は後払い原則」という制度の構造とともに、資金繰りの工夫や金融機関の融資との関係性についてもわかりやすく解説します。
補助金の支給タイミングは「事後精算方式」
補助金の交付までの一般的な流れは以下のとおりです。
- 公募開始・申請書類の提出
- 審査・採択通知
- 交付決定通知(ここから事業スタート)
- 実際に経費を支出し、事業を実行
- 実績報告書の提出
- 書類審査・交付確定
- 補助金の振込(※ここで初めて入金される)
つまり、補助金の対象となる事業は、すべて自前の資金でいったん立て替える必要があるということです。
なぜ後払い? 補助金制度の性質と会計上の理由
補助金は税金を原資とする「公的支出」です。
そのため、制度上以下のようなチェックが求められます。
- 計画どおりに事業が実施されたか
- 不正や虚偽の支出がないか
- 補助対象経費に該当しているか
これらを確認したうえで初めて「交付確定」となり、補助金が支払われます。つまり、結果を確認してから税金を出すという仕組みです。
このように、補助金の後払いは「制度の健全性」を守るための原則なのです。
補助金を活用するには、資金繰りの設計が必須
後払いである以上、事業者には「補助金が支払われるまで」の資金繰りが求められます。
とくに設備投資や広告出稿、IT導入などでは数十万~数百万円単位の支出が想定されるため、キャッシュの確保が成功の鍵となります。
資金調達手段としては、以下の3つが現実的です。
1. 自己資金でまかなう
自己資金での対応ができれば最も安心です。
ただし、事業規模が大きくなるほど自己資金だけでは賄いきれず、キャッシュフローが厳しくなることもあります。
2. 金融機関からのつなぎ融資
補助金採択後、金融機関の融資が受けやすくなるのは大きなメリットです。
● 補助金採択は「公的お墨付き」
補助金の採択には、
- 事業の実現可能性
- 成長性
- 経営者の能力
といった観点からの審査が行われます。
これに通ったという事実は、金融機関にとって「信用評価の加点要素」となります。
● つなぎ資金としての融資枠が利用できることも
日本政策金融公庫や地域の信用金庫では、「補助金採択決定通知」や「交付決定通知」を提示することで、事業完了までの“つなぎ融資”に応じてくれる制度を設けている場合があります。
たとえば、
- 補助金の支給予定額を返済原資とした短期運転資金
- 設備資金の一部をカバーする据置型融資
など、柔軟な対応をしてくれる金融機関もあります。
💡ポイント:金融機関に相談する際は、補助金の採択通知だけでなく、資金繰り表・収支計画書・返済計画書も揃えておくとスムーズです。
3. リース契約・割賦販売で支払いを平準化
高額な設備投資については、一括購入ではなくリースや分割払いを活用することで、資金負担を平準化できます。
ただし、補助金によっては「支払済み」でないと対象経費にならない場合や、リース契約が対象外となる場合もあります。
必ず公募要領で対象契約の範囲を確認するようにしましょう。
補助金は「もらえる」のではなく「取りに行く」もの
補助金は魅力的な支援策ですが、制度の特性として、
- 事前着手禁止(交付決定前の支出はNG)
- 後払い原則(立て替え払い)
- 書類主義(実績報告書や証憑が必須)
といったルールがあり、安易に「助成金感覚」で取り組むとトラブルになります。
補助金を活用するための3つの準備
- 資金繰り表の作成
事業開始から補助金支給まで、資金の流れを時系列で可視化しておく。 - 見積書や契約書の整備
交付決定後に正しく支出できるよう、発注先や見積書を事前に確認。 - 専門家との連携
補助金は書類作成の負荷も大きいため、行政書士や中小企業診断士と連携することで、スムーズかつミスのない申請が可能になります。
まとめ:補助金を活かすために「資金繰り+準備力」がカギ
補助金は事業にとって強力な追い風になりますが、それを受け取るには「先に風を受けにいく」姿勢が必要です。
つまり、資金繰りを整え、計画的に実施できる力こそが成功の鍵です。
補助金採択は、金融機関の評価を高め、融資を引き出す後押しにもなります。
制度の仕組みを正しく理解し、実行可能な資金計画を立てたうえで、補助金を“賢く”活用していきましょう。
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