【行政書士が解説】補助金「事前着手」の例外とリスク管理:事業計画書に記載すべき3つのこと
1. なぜ「事前着手」が危険視されるのか 🚨
補助金の申請において、最も見落とされがちな落とし穴の一つが「事前着手」です。
原則として、補助金は交付決定が下りてから契約・発注・支払いを行わなければならないというルールが定められています。
しかし実務の現場では、こんなケースが少なくありません。
- 先に見積依頼をしてしまった
- 契約書はまだだが、実質的に発注の話を進めてしまった
- 納期が迫っていて、やむを得ず着手してしまった
こうした行為が「事前着手」と判断され、不採択や補助金返還につながった事例が実際にあります。 茨城県内でも補助金申請を検討する経営者から、事前着手に関する相談が増えています。
本記事では行政書士の立場から、「事前着手」の例外とリスク管理の方法を整理し、さらに事業計画書にどう書けば安全かまで具体的に解説します。
2. 法的根拠とガイドラインの整理
「事前着手禁止」は、中小企業庁が公表する公募要領に明確に記載されています。典型的な条文は次の通りです。
交付決定日以前に契約・発注・支払いを行った経費は補助対象外とする。
つまり、どんなに必要な経費であっても、タイミングを誤れば補助の対象外となります。
ただし例外も存在します。例えば、
- 災害や緊急事態への対応で待てない場合
- 申請直前に不可避な発注が必要となった場合
こうしたケースには特例が設けられることもあります。
ただし前提となるのは「証拠が揃っていること」。FAQや審査現場の運用でも、グレーな説明では認められないのが実情です。
3. よくある事前着手の誤解と実例
実際に多い誤解は以下の通りです。
- 「見積もり依頼だけなら大丈夫」
→ 依頼文面に「発注前提」と受け取れる記載があると危険。 - 「契約書を結んでいなければセーフ」
→ メールのやり取りや議事録に“発注意思”が残っていればNG。 - 「発注先も理解しているから問題ない」
→ 補助金審査は“客観的証拠”で判断されるため、主観的な了解では通用しません。
実際に、不採択や返還に至った事例の多くは、「そんなつもりはなかった」行為が証拠として残っていたケースです。
4. 例外的に認められる事前着手の条件
例外的に事前着手が認められる場合でも、条件は厳格です。
- 事前承認を取得していること
→ 交付決定前に動く場合、必ず「事前承認手続き」を経ておく必要があります。 - 時系列を証明できること
→ 見積取得日・社内決裁日・契約締結日を記録として残すことが必須です。 - 後付けの正当化は認められないこと
→ 「やむを得なかった」という説明だけでは通用しません。
要するに、審査側が見ても納得できるだけの客観的証拠が整っていることが条件となります。
5. 採択率を高める!事業計画書に記載すべき3つの実務的ポイント(文例付き)
ここからは、事業計画書に具体的にどう書くべきかを解説します。以下の3つを盛り込むだけで、リスクを大幅に減らすことができます。
ポイント①:「着手時期」を日付レベルで確約するルール遵守宣言
文例
本事業に関する契約・発注・支払い等の着手行為については、補助金の交付決定通知を受領した後に行います。交付決定日以前には、契約締結・発注依頼・代金支払といった実質的な着手行為を一切行いません。着手日以降の具体的なスケジュールは、以下の工程表に基づき進行します。
👉 「交付決定通知を受領した後」と区切り、工程表とセットで示すことで計画性と遵守姿勢をアピールできます。
ポイント②:例外規定の適用時は「不可避性」を示す客観的根拠の明示
文例
ただし、本事業の実施においては、(例:災害復旧対応、年度末の納期遵守等)の事情により、交付決定を待たずに一部の準備行為を行わざるを得ない可能性があります。その場合は、公募要領に定められた 「事前承認手続き」を遵守 し、不可避性の根拠(災害証明書、納期に関する発注先の通知等)を添付のうえ、承認を受けた範囲内に限定して実施します。
👉 「やむを得ない」ではなく「不可避」と明記することで、感情ではなく客観的論拠で審査員を納得させられます。
ポイント③:「監査耐性」を保証する厳格な証跡管理フローの整備
文例
本事業に関する契約・発注・支払いは、すべて「発注確認票」「社内決裁記録」「取引先との契約書」によって記録を残します。また、見積取得日・契約締結日・支払日を明確に分けて管理し、補助事業終了後の監査においても提示可能な状態を保持します。これにより、交付決定前の事前着手と誤解される余地のない証跡管理体制を構築します。
👉 「監査に提示可能」と明記することで、審査員に最も強い安心感と信頼性を与えられます。
6. 行政書士・中小企業診断士からのアドバイス 💡
補助金の採択は、単にルールを守るかどうかではなく、事業計画そのものの優位性で決まります。
中小企業診断士としての視点から言えば、着手以前の段階で事業計画を磨き込むことこそ最大の対策です。
- 「例外を狙う」より「原則を徹底」した方が安全
- 書類不備や時系列の不整合で不採択になるのは非常にもったいない
- 専門家による事前チェックで、採択率と安全性が大きく高まる
補助金は単なる資金調達の手段ではなく、事業成長の起爆剤です。
だからこそ、事前着手のリスクを軽視せず、透明性と証跡管理で勝負することを強くおすすめします。
当事務所は水戸市を拠点に茨城県全域を対象としつつ、全国の事業者様からのご相談にも対応しています。
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