改正行政書士法で補助金支援はどう変わる?

1.補助金支援を巡る“グレーゾーン”の不安
近年、補助金申請を支援する民間コンサルティング会社が増えています。
しかし同時に、「行政書士法違反になるのでは?」という不安も広がっています。
特に約3ヶ月後の2026年(令和8年)1月1日に施行される改正行政書士法では、文言上「補助金申請支援=行政書士の独占業務」とも読める部分があり、現場では混乱が生じています。
このタイミングで、ある企業が「グレーゾーン解消制度」を使い総務省と経済産業省に正式な照会を行い、回答が公表されました。
この回答は、補助金支援ビジネスの“適法な形”を示す重要な参考事例といえます。
こうした「行政書士法違反になるのでは?」という不安が広がった背景には、ここ数年で急増した補助金支援サービスの多様化があります。
申請書の作成を伴わない助言型の支援から、実質的に代行に近いサービスまでさまざまな形態が混在し、
どこまでが適法な支援なのかが分かりづらくなっていました。
そのため、SNSや一部の解説で「補助金コンサルは行政書士法に抵触する」という誤解が拡散しました。
今回の改正法と総務省の回答は、こうした混乱に対して明確な線引きを示したものです。
2. 2026年1月施行の改正行政書士法のポイント
令和8年(2026年)1月1日に施行される改正行政書士法では、以下の点が変更されます。
| 改正内容 | 実務への影響 |
|---|---|
| 「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言追加(第19条) | 名目上「コンサル料」「助言料」であっても、実質的に申請書を作成していれば違反となることが明確化 |
| 両罰規定の整備(第23条の3) | 法人が違反行為を行った場合、法人と行為者の両方に罰則が適用される |
| 条文番号の整理 | 業務規定が第1条の2から第1条の3へ変更(内容は不変) |
この改正の本質は「業務独占の拡大」ではなく「脱法行為の防止」です。
従来から違法とされていた「名目だけ変えた代行業務」を、より明確に規制できるようにすることが狙いです。
3. 改正で何が変わる?「名目を問わず」の意味
今回の改正で最も注目すべきは、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言の追加です。
これは何を意味するのでしょうか?
従来から、申請書の作成代行は行政書士の独占業務でした。しかし実務では、
- 「コンサルティング料」
- 「助言料」
- 「成功報酬」
といった名目で、実質的に申請書を作成する事業者が存在していました。
改正法は、名目にかかわらず、実質的に「作成」に該当すれば違反となることを明確化しました。
これにより、「補助金コンサルができなくなる」という極端な見方も一部で生まれています。
しかし、法の目的は適法なコンサルティングを規制することではありません。
あくまで実質的な「代行業務」を名目で偽装する行為を防ぐことが狙いです。
4.総務省の回答:合法な補助金コンサルのモデルが示された
今回の総務省回答は、この線引きを明確に示しました。
照会を行った企業のサービス内容は以下のとおりです。
- 補助金内容の調査
- 顧客との面談で経営状況・方向性を整理
- 市場調査・競合分析・収益計画などの資料作成
- 資料をもとに、事業計画書の論理構成や審査項目整合性を助言
- 申請書の作成・提出は顧客自身が行う
このモデルについて、総務省は令和7年10月10日付の回答で次のように示しています。
「顧客が、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成するために、個別に『今後の収益計画および調査結果をまとめた資料を作成・提供』することは、行政書士法第1条の2第1項に規定する『官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること』には該当しないと考えられる。」
ポイントは、「作成するために」使う資料の提供は、申請書の「作成」そのものではないという判断です。
ただし、回答では続けて重要な注意喚起がなされています。
「照会書に記載の①〜⑦の事業の実施が、同項に規定する官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成とならないよう留意いただくとともに、顧客に対し、これらの書類を作成することができるのは、顧客又は行政書士若しくは行政書士法人に限られることを案内いただきたい。」
申請書の作成ができるのは、本人または行政書士に限られます。
この一文こそ、今回の回答の核心です。
5.実務対応:依頼者に誤解を生まない支援設計
今後の補助金支援では、以下のような整理が重要になります。
| 支援内容 | 法的評価 | 対応ポイント |
|---|---|---|
| 市場分析・SWOT・収益計画書の作成 | ○合法 | 「申請書とは別資料」であることを契約書・納品書で明示 |
| 申請書の論理構成・表現への助言 | ○合法 | 文章の書き換えは行わず、口頭・メモで方向性を助言 |
| 申請書そのものの作成・入力代行 | ×違法 | 行政書士資格が必要 |
| 電子申請の代理送信 | ×違法 | 委任があっても資格者以外は不可 |
6.改正の本質:脱法防止と役割の明確化
2026年の改正行政書士法は、適法な補助金コンサルティングを禁止するものではありません。
改正の狙いは2つです:
- 脱法行為の防止 ─ 名目を変えた違法代行業務を明確に規制
- 役割の明確化 ─ 経営コンサルティングと法的手続支援の境界を明示
今回の総務省回答は、この「境界」を具体的に示した重要な事例といえます。
適法な支援を行う専門家にとっては、むしろ「何が許されるか」が明確になることで、安心して業務を提供できる環境が整ったと捉えることができます。
7.参考資料
※本記事は上記公表資料に基づき執筆していますが、個別具体的な事案における法令適用については、必ず専門家にご相談ください。
8.中小企業診断士+行政書士として、法令遵守と経営支援を両立します
補助金支援は、経営戦略と法的整合性のどちらも欠かせません。
私は中小企業診断士としての経営的視点と、行政書士としての法的知見の両方から、事業者様に最適な形で伴走いたします。
- 経営課題の整理やSWOT分析など、「補助金を使って何を実現したいか」を共に考えます。
- 補助金要件や書類の整合性は、行政書士として責任をもって確認します。
- 「助言」と「作成」の線引きを明確にし、法令に沿った安心の支援をお約束します。
特に、申請書の作成ができるのは本人または行政書士に限られるという原則を踏まえ、
ご相談の段階から適法な支援体制を設計いたします。
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