<創業・スタートアップ経営基礎講座>第11回「営業・販路開拓」

販路開拓
目次

1. はじめに

創業からしばらくすると、多くの人がぶつかるのが「営業」の壁です。
商品やサービスには自信がある。価格の付け方も少しずつ見えてきた。
それでも、「どうやってお客様を見つけるか」「継続的に売り上げをつくるにはどうすればいいか」という問いは、常に残ります。

営業という言葉に抵抗を感じる人も少なくありません。
「売り込みたくない」「話すのが苦手」といった声もよく聞きます。
しかし実際の営業とは、“相手の課題を理解し、自分の提供価値を正しく伝えること”です。
つまり、「相手を助ける提案」をする行為でもあります。

前回の第10回では、「価格転嫁の基礎」を通じて、利益率を守るための考え方を整理しました。
今回はその次の段階、つまり「売上を増やす」ための視点です。
限られた時間と資金の中で、どんな方法なら自分に合った営業・販路開拓ができるのか――。

この章では、

  • 営業活動の基本構造
  • BtoCとBtoBの違い
  • フィールドセールスとインサイドセールス
  • デジタルを活用した営業
  • 販路拡大の実践ステップ
    といった要素を整理しながら、創業初期でも無理なく実践できるアプローチを紹介します。

「営業は性格ではなく、仕組みでつくるもの」

本記事は、中小企業診断士兼行政書士が解説する
やりたい!をカタチにする 創業・スタートアップ経営基礎講座』の第11回です。
シリーズを通して読むことで、創業から経営の基礎までを体系的に学べます。

2. 営業活動の基本構造

営業とは「顧客の課題を見つけ、それを自社の価値で解決する活動」です。
単に“売る”のではなく、相手の状況を理解し、その人にとって意味のある提案を行うこと。
創業初期ほど、この姿勢が成果に直結します。

営業のプロセスは、どんな業種でもおおむね次の5段階に整理できます。

  1. 認知:まず知ってもらう。ホームページ、SNS、名刺交換など、入口をつくる。
  2. 接点:問い合わせや見積依頼など、最初の反応を得る。
  3. 提案:相手の課題を聞き出し、解決策として自社のサービスを提示する。
  4. 成約:見積や条件をすり合わせ、契約・発注へ進む。
  5. 継続:アフターフォローや再依頼、口コミ紹介につなげる。

この一連の流れを理解すると、どこで止まっているのかが見えてきます。
「問い合わせはあるけど契約につながらない」なら提案の段階に課題があり、
「そもそも問い合わせがない」なら認知・接点の部分を強化する――という具合です。

創業直後の事業者にとって、最初の数件の顧客体験がその後の営業スタイルを決めます。
成功した取引の流れを観察し、「どの段階がうまくいったのか」「なぜ信頼を得られたのか」を整理しておくことが、次の営業に活きてきます。

そして忘れてはいけないのは、営業は“行動量”だけでなく“仕組み”でも成り立つということ。
訪問件数を増やすより、仕組みで再現できる動線を整える方が、長く続く経営には向いています。
このあと取り上げるBtoC/BtoBの違いや、フィールドセールス/インサイドセールスの章では、
その“仕組みの選び方”をもう少し掘り下げていきます。

3. BtoCとBtoBの違いを理解する

営業の戦略を立てるうえで、まず整理しておきたいのが「BtoC(個人向け)か、BtoB(企業向け)か」という違いです。
どちらを相手にするかで、必要な行動・言葉・営業チャネルがまったく変わります。

1. 購買の決め方が違う

  • BtoCでは「好き」「便利そう」「信頼できる」といった感情的な要素が大きい。
     広告やSNSの発信、口コミなどで“共感”を得ることが効果的です。
  • BtoBでは「コスト」「納期」「品質」「実績」など、合理的な判断基準が中心。
     提案書や見積書、打合せの内容など、信頼性を積み上げていく営業が必要です。

2. 営業のスピードが違う

  • 個人向けは購買サイクルが短く、「問い合わせ → 即購入」も起こりやすい。
  • 企業向けは検討・稟議・契約と段階を踏むため、成約までの時間が長くなります。
     だからこそ、途中で“接点を切らさない”工夫(定期フォローや情報提供)が大切です。

3. 信頼のつくり方が違う

  • BtoCでは、人柄やレビュー、SNSでの発信内容が信頼の土台。
  • BtoBでは、過去の実績や他社の紹介、契約条件の明確さが信頼の土台。
     見積書の正確さやメール対応の丁寧さなど、小さな要素も信用につながります。

創業初期の事業者の多くは、「自分の営業がどちらの性質を持っているか」を明確にできていません。
しかしここをはっきりさせることで、営業手法・使うツール・発信内容の方向性が決まります。

たとえば――

  • 飲食・美容・小売のようにBtoC色が強いなら、「体験・共感・口コミ」の導線を整える。
  • 建設業・IT・製造などのBtoB型なら、「信頼・実績・提案力」を重視した営業を組み立てる。

自分の事業がどちら寄りなのかを意識しながら、次に紹介する 「フィールドセールス」と「インサイドセールス」 の違いを見ていくと、営業スタイルの選び方がよりクリアになります。

4. フィールドセールスとインサイドセールス

営業には、大きく分けて「外で会う営業(フィールドセールス)」と「中で仕組む営業(インサイドセールス)」の2つの型があります。
どちらが優れているという話ではなく、自社の顧客特性や事業規模に合わせて選び、組み合わせていくのが実践的です。


4-1. フィールドセールス(対面営業)

顧客先を訪問したり、展示会・商談会などで直接対話する営業スタイルです。
中小企業では今でも主流であり、特に信頼関係を重視する業界では欠かせません。

特徴とメリット

  • 相手の表情や反応を見ながら、柔軟に提案を変えられる。
  • 面談を通して信頼関係が深まり、長期的な取引につながりやすい。
  • 細かな条件調整や交渉がしやすい。

デメリット

  • 1件あたりの時間とコストが大きい(移動・準備・拘束)。
  • 商談数を増やすのが難しく、効率化に限界がある。

創業初期で顧客が近隣に多い場合は、「訪問+紹介」の組み合わせが有効です。
初期信頼を得るスピードが速く、口コミにもつながりやすいでしょう。


4-2. インサイドセールス(非対面営業)

電話・メール・オンライン会議などを通じて、遠隔で顧客とやり取りするスタイルです。
近年ではZoomやChat、SNSなどの発達により、個人事業でも導入しやすくなっています。

特徴とメリット

  • 地理的制約がなく、より多くの見込み顧客にアプローチできる。
  • 商談履歴をデータで管理でき、改善がしやすい。
  • 顧客の興味段階に応じて、温度感の高い層に集中できる。

デメリット

  • 直接会わない分、信頼を築くまでに時間がかかる。
  • 誤解や温度差が生じやすく、文章・話し方に工夫が必要。

創業間もない時期は、メール・SNS・オンライン面談をうまく組み合わせ、「初回はオンライン、成約前に対面」というハイブリッド型がおすすめです。


4-3. 販売チャネルによって変わる営業の形

営業の進め方は、販売チャネル(売り方のルート)によっても大きく変わります。
同じ商品でも、「どこで売るか」「誰を経由するか」で、必要なアプローチがまったく違ってくるのです。

1. 直販(自社販売)

顧客と直接つながる形。店舗・訪問・自社サイトなどが中心です。

  • メリット:顧客の反応をダイレクトに得られる。
  • デメリット:集客・対応をすべて自分で行う必要がある。
  • 営業のポイント:信頼関係とリピートづくり。顧客満足が次の紹介につながる。

2. 代理店・卸売経由

販売パートナーに商品を扱ってもらう形。建設業や製造業ではよく見られます。

  • メリット:自社の営業範囲を広げられる。
  • デメリット:販売先の動きに依存しやすい。
  • 営業のポイント:パートナー支援型の営業。商品知識の提供や販売支援が成果を左右する。

3. EC・オンラインチャネル

自社ECサイトやSNS、オンラインモール(BASE、Amazonなど)を通じた販売。

  • メリット:地域を超えて販売できる。24時間稼働する仕組み。
  • デメリット:競合が多く、信頼構築に時間がかかる。
  • 営業のポイント: 情報発信と導線設計。 レビュー・発信・SEO対策も「営業活動」の一部と捉える。

4-4. 小規模事業者の現実的な戦略

実際には、多くの小規模事業が「フィールド8割、インサイド2割」またはその逆のようにミックスして運用しています。
限られた時間の中で成果を上げるには、次のような考え方が役立ちます。

  • フィールドで築いた関係を、インサイドで維持する。
  • インサイドで獲得したリードを、フィールドで深める。

また、CRM(顧客管理)ツールを使って商談履歴を記録しておくと、リピートや紹介営業にもつなげやすくなります。
エクセル管理でも十分なので、まずは「誰に・いつ・何を提案したか」を残す習慣をつくるとよいでしょう。

5. 既存ネットワークを活かす

創業初期の営業で、もっとも成果につながりやすいのは「すでに関係がある人」へのアプローチです。
多くの事業者が「新しい顧客を探さなければ」と考えがちですが、最初の数件は意外なほど身近なところから生まれます。


5-1. 最初の顧客は“知り合いの知り合い”

知人・旧職場・地域のつながり――こうした既存ネットワークは、初期営業の最大の資産です。
関係性のある人を通じた紹介には、次のようなメリットがあります。

  • 信頼を前提に話が始まるため、心理的な壁が低い。
  • 実績が少ない段階でも受注につながりやすい。
  • 口コミが広がりやすく、他の見込み客にも波及する。

ただし、友人・知人との取引は「なあなあ」になりやすいため、条件・納期・支払いはきちんと書面で確認すること。
創業者としての姿勢を見せる意味でも、契約書や見積書の発行は欠かさないようにしましょう。


5-2. 紹介営業の仕組みをつくる

紹介を“偶然に頼る”のではなく、“仕組みとして起こす”ことが大切です。
たとえば――

  • 仕事が終わった後に「お知り合いで困っている方がいれば紹介してください」と一言添える。
  • 既存顧客に対し、次回利用の割引や特典を設けて紹介を促す。
  • 協業パートナー(同業・他士業・取引先)との情報交換会を定期的に開く。

紹介が発生したときは、感謝をきちんと伝えること。
お礼の連絡や一言メッセージだけでも、次の紹介のきっかけになります。


5-3. 信頼を“資産化”する

営業は「信頼の貯金」をどう積み上げるかでもあります。
創業初期は特に、仕事の大小にかかわらず、

  • 迅速な対応
  • 約束の厳守
  • 丁寧な説明
    といった地道な行動が、次の受注につながります。

信頼が積み上がると、価格競争に巻き込まれにくいという副次効果もあります。
“この人だから頼みたい”という理由を増やしていくことが、長く続く営業の土台です。


5-4. 小さな関係を積み重ねる意識で

紹介やリピートは、いわば「信頼の証明書」。
1件1件の対応が誠実であれば、営業の手間は徐々に減っていきます。
そして、こうした“地元ネットワーク”の強さは、どんなデジタル施策にも負けません。

新規開拓に出る前に、まずは“いま目の前のつながり”を磨くこと。
それが、創業初期の最短距離の営業です。


6. 新規開拓の実践方法

既存ネットワークでの営業が落ち着いてきたら、次は新しい顧客との接点を増やす段階です。
創業初期は「知られていない」というだけで機会を逃していることが多く、
まずは“見つけてもらう仕組み”をつくることが目的になります。


6-1. 「誰に届けるか」を明確にする

営業手法を選ぶ前に、まず考えるべきは「誰に売りたいのか」。
漠然と動くより、ターゲットを具体的に描くことで成果が安定します。

たとえば――

  • 建設業者なら「同業他社との下請け取引を探している元請け」
  • 美容業なら「近隣エリアで同年代の女性」
  • コンサルや士業なら「事業を立ち上げたばかりの経営者」

このように、“自分が助けられる相手像”を具体化しておくこと。
それが決まれば、どの営業手段が有効かも自然に見えてきます。


6-2. 主な新規営業の手法と特徴

新規開拓と聞くと「飛び込み営業」や「テレアポ」を想像しがちですが、実際はもっと幅広い手法があります。
ここでは、創業初期でも取り組みやすい代表的な5つを紹介します。

① ダイレクトメール(DM)・チラシ配布

古典的ながら今も有効。特に地域密着型の業種では反応が出やすい手法です。

  • 「近所に新しいお店ができた」「地元企業が始めた新サービス」など、地理的親近感を活かせる。
  • 重要なのは“配る枚数”よりも、“誰に何を伝えるか”。ターゲットを絞り、メッセージを明確に。
  • 郵送よりも手配りや地元ポスティングの方が、地域商圏では効果的な場合もあります。

② 展示会・イベント出展

短期間で多くの見込み客に直接会える方法。

  • BtoB企業にとっては見込み顧客の層が明確で効率が高い。
  • 名刺交換や会話でリアルな反応を得られる。
  • 出展には費用がかかるため、パンフレット・QRコード・SNS導線を整えて臨むことが重要。

③ 商工会・業界団体の交流会

「信頼の橋渡し」が起こりやすい環境。

  • 創業間もない時期にこそ、地元ネットワークを築く意味は大きい。
  • 事業内容を一言で伝えられる“自己紹介トーク”を準備しておくと印象に残りやすい。
  • 長期的に見れば、異業種連携や共同企画のきっかけにもなる。

④ 電話・メール営業

企業向け(BtoB)では今も主力の手段。

  • 「見込み客リスト」から接点をつくり、資料送付や面談につなげる。
  • 事前に相手企業をリサーチし、相手にとってのメリットを1行目で伝えるのが鉄則。
  • 継続して行う場合は、顧客管理表で履歴を残すと改善しやすい。

⑤ SNS・Web広告

個人向け(BtoC)業種では欠かせないチャネル。

  • Instagram・X(旧Twitter)・LINE公式・Google広告など、低コストで即実行可能
  • 成果を上げるには「売り込み」よりも「価値発信」型の投稿を意識する。
  • Web広告を使う場合は、小予算でテスト配信を繰り返すのが基本。

手法特徴向いている業種
DM・チラシ地域密着型で効果を測りやすい。建設業・小売・飲食など。
展示会・イベント出展顧客と直接話せる貴重な機会。BtoB、製造・サービス業など。
業界団体・商工会の交流会地元ネットワークづくりに有効。すべての業種。
電話・メール営業見込み客リストを基に接点を作る。企業向け(BtoB)業種。
SNS・Web広告低コストで広く発信できる。個人向け(BtoC)業種。

6-3. 地域を味方につける

地元の商工会や自治体は、創業者向けの支援やマッチングを行っています。
たとえば、茨城県内では

  • 商工会議所・商工会によるビジネスマッチング事業
  • 創業者向け展示会やセミナー
  • 販路開拓補助金・出展支援制度

などが定期的に実施されています。
こうした制度を活用すれば、広告費をかけずに出会いの機会を増やせます。

新規開拓は“孤独な戦い”ではなく、“連携して広げる活動”。
誰かの支援を借りながら、確実に一歩ずつ広げていくことが大切です。


6-4. 新規営業のコツ

新規開拓は「行動量が結果を決める」と言われますが、
本当に重要なのは“量をこなす前に、質を整えること”です。
行動の方向が定まっていないと、どれだけ動いても成果につながりません。
ここでは、創業初期の営業で押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

① 最初の目的を「売る」ではなく「知ってもらう」に置く

初めての取引では、相手はあなたのことをまだよく知りません。
この段階で「契約を取りに行く」よりも、まずは存在を知ってもらうことを目的にします。
「こんなサービスを始めた」「こういう分野で力になれる」と情報を届けるだけでも十分。
一度の接点で契約に至らなくても、印象が残れば後から問い合わせにつながるケースは多いものです。

営業は“刈り取り”ではなく“種まき”。
今日の行動が、数か月後の成果になると捉えて動くと焦らず続けられます。

② 反応をデータ化して、改善の方向をつかむ

「どの手段が効果的か」は、やってみなければ分かりません。
だからこそ、数字で振り返る仕組みが欠かせません。

  • チラシなら配布数・反応数・問い合わせ件数
  • SNSなら投稿回数・いいね数・リンククリック率
  • DMなら送付数・開封率・返信率

こうした数値をExcelなどで簡単に記録し、「効果の高かったパターン」を抽出します。
営業は感覚に頼るより、仮説と検証を回す仕事と捉えると、無駄が減ります。

③ 反応があった相手を重点的にフォローする

すべての見込み客に同じ労力をかけるのは非効率です。
最初の反応を見て、“温度の高い相手”に絞ってフォローするのが基本です。

たとえば、

  • 展示会で名刺交換した相手に3日以内にメールを送る。
  • SNSでコメントしてくれた人には個別メッセージで感謝を伝える。
  • 一度問い合わせがあった企業に、1か月後に再提案してみる。

「興味を持った瞬間に動く」スピード感が信頼を呼び、成約率を大きく上げます。
また、フォロー時は売り込み口調ではなく“情報提供型”にするのが鉄則です。
「最近こういう事例がありました」「新しい資料を作りました」といった形で、
“役立つ情報を渡す姿勢”を見せると相手の印象が良くなります。

④ 断られても情報を残し、関係を絶やさない

営業で“断られる”のは日常です。
大切なのは、断られた理由を分析し、次に活かすこと
「予算が合わない」「今はタイミングが違う」など、
相手の言葉の裏に“潜在ニーズ”が隠れていることもあります。

たとえば、

  • 今回は見送られたけれど、「半年後なら検討したい」と言われた場合、リマインダーを設定しておく。
  • 断られた理由が価格なら、「小規模向けプランを検討する」きっかけにする。
  • 相手企業のニュースやSNSをフォローし、変化があったタイミングで再アプローチする。

営業の関係は「失注」で終わりではなく、休止状態にあるだけと考えると気持ちが軽くなります。
むしろ、誠実な対応をした相手ほど、次の機会に声をかけてくれる可能性が高いのです。

新規営業は“成果を急がない人”が最終的に強い。
数字を追いすぎず、相手との関係づくりを丁寧に積み重ねることが、最短の近道です。


6-5. 小さく試して改善する

新規開拓のポイントは、一度で当てようとしないこと。
たとえば、

  • 100枚のチラシを配って5件反応があった → 次は配布エリアやデザインを調整。
  • SNS投稿でフォロワーが増えた → 次は投稿時間やハッシュタグを分析。

試行錯誤の中で、「自分に合う営業スタイル」が見えてきます。
それを積み重ねることで、少しずつ“自動的に顧客が集まる仕組み”へと育っていきます。

了解。
ではこれまでの修正・追加をすべて反映した、第7章の完成版をお出しします。


7. デジタルを活用した営業

営業というと「対面でのやり取り」を思い浮かべがちですが、
今の時代はデジタルが営業の一部になっています。
しかも、創業初期でも低コストで始められるのが強みです。

ここでは、ホームページやSNS、Googleビジネスプロフィールなどを活用して、
“検索される営業”をつくる考え方を整理していきます。


7-1. ホームページは「営業担当者の分身」

今の顧客は、問い合わせ前に必ずネットで情報を調べます。
つまり、ホームページは「会社案内」ではなく、24時間働く営業担当者です。

  • ファーストビュー(最初に見える部分)で何をしている事業かを一瞬で伝える。
  • 事例・お客様の声・代表あいさつなど、信頼感を補うコンテンツを整える。
  • 問い合わせ導線(CTA)は明確に。ボタンやフォームを見やすく配置する。

SNSや広告で集めた見込み客も、最終的にはホームページで確認してから判断します。
信頼を生む“営業の土台”として、早い段階から整えておくのがおすすめです。


7-2. Googleビジネスプロフィール(MEO)を活用する

MEO(Map Engine Optimization)とは、Googleマップで自社やお店を上位に表示させるための取り組みです。
地域を商圏にしている事業であれば、業種を問わず集客の効果が高く、いまやホームページと並ぶ営業の柱といえます。

1. なぜMEOが集客につながるのか

MEOの強みは、「今まさに探している人」に見つけられる点にあります。
たとえば――

  • 「○○市 カフェ」
  • 「○○駅近く 美容室」
  • 「○○市 リフォーム」

こうした検索をする人は、すでに“利用する前提”で行動しています。
そのタイミングでGoogleマップの上位に表示されると、行動の最初の候補に入れるのです。

さらに、地図上では住所・営業時間・電話・口コミ・写真が一目で分かり、
検索→比較→来店(または問い合わせ)がスムーズ。
「調べた人がそのまま動く」導線の短さが、MEOが集客に直結する理由です。

2. MEOで上位表示を狙うための基本設定

要素内容改善のポイント
ビジネス名・カテゴリ検索キーワードとの関連性実際の業種・サービス名を正確に登録する。例:「○○市の花屋」「住宅リフォーム業」など。
住所・営業時間検索表示の前提情報最新情報を常に更新し、定休日や臨時休業も反映する。
写真・動画信頼感・雰囲気を伝える定期的に追加。スタッフや現場の様子など“動きのある写真”が効果的。
口コミ信頼の可視化実際の顧客に感想を依頼し、返信は必ず丁寧に行う。評価より「誠実な対応」が評価される。
投稿機能(お知らせ)更新頻度の指標新商品・キャンペーン・活動報告などを週1回程度投稿すると露出が増える。

3. 実践ステップ:今日からできるMEO改善

  1. プロフィールをすべて埋める。
     Googleは「情報が多い=信頼できる」と判断します。事業説明・サービス内容・対応エリアは細かく記入。
  2. 写真を更新する。
     静的な店舗写真より、「今動いている」様子が伝わる画像が好印象。季節感のある写真を月1回入れ替えるだけでも効果的。
  3. 口コミを集め、返信する。
     取引や来店のあとに「もしよければGoogleに感想を」と自然にお願いする。返信では感謝の言葉を添え、誠実な印象を残す。
  4. アクセス解析を確認する。
     「何回表示されたか」「どんなキーワードで見られたか」をチェック。人気の検索語を自社サイトやSNS発信にも反映させる。

4. MEOを“地域で信頼を積み上げる場”として使う

MEOは単なる集客ツールではなく、地域からの信頼を見える形にする仕組みでもあります。
写真や口コミの積み重ねは、リアルな営業活動と同じくらい信用を育てます。

  • 店舗を持つ業種なら「現場の雰囲気」や「スタッフの笑顔」を共有する。
  • 訪問型サービスなら「対応エリア」「お客様の声」を明示する。
  • 専門サービスなら「実績や取扱内容」を定期的に投稿する。

これらを継続することで、地元の検索結果で上位に定着し、“地域の顔”として認知されるようになります。

MEOは“押し込む営業”ではなく“見つけてもらう営業”。
すぐに始められて、続けるほど信頼が蓄積されていく、現代の地元マーケティングの基礎です。


7-3. SNSは「人柄を伝える営業」

SNSは「集客ツール」であると同時に、「信頼を築くツール」でもあります。
特に個人事業や小規模企業では、投稿内容がそのまま人柄・姿勢・専門性の証拠になります。

主なSNSと、向いている業種や利用層を示します。

SNS主な利用層・特徴向いている業種・発信内容
Instagram20〜40代女性が中心。ビジュアル訴求に強く、感性・雰囲気を伝えやすい。飲食・美容・雑貨・建築・デザインなど。写真・動画で“世界観”を表現できる業種。
X(旧Twitter)幅広い層が利用。リアルタイム性が高く、話題性・人柄が伝わりやすい。フリーランス、専門職、情報発信型サービスなど。日常の気づきや考え方を共有すると信頼が育つ。
Facebook30〜50代のビジネス層が中心。実名登録のため信用度が高い。BtoB取引、士業、コンサル、地域団体など。人脈・イベント情報の共有に強い。
LINE公式アカウント幅広い年齢層に届く“日常連絡ツール”。開封率が高い。小売・飲食・サロン・スクールなどリピート重視の業種。予約・クーポン・再来店促進に最適。
YouTube幅広い世代に浸透。動画で専門性・人柄を深く伝えられる。専門職・教育・施工・レビュー系など。説明・実演・ノウハウ共有で信頼を構築。
TikTok10〜30代中心。短尺動画でテンポ良く情報を届ける。ファッション・美容・飲食など感覚的な業種。エンタメ性のある発信で拡散力を狙う。

SNSを選ぶときのポイント

  1. 顧客が使っている場所に合わせる。
  2. 投稿目的(集客・信頼構築・再来店促進)を明確にする。
  3. 無理に全部やらず、1〜2種類に絞って継続を重視する。

SNSは「拡散の道具」ではなく「信頼を見える化する場」。
どこに力を入れるかを決めるだけで、発信が格段に楽になります。


7-4. コンテンツ発信で信頼を積み上げる

営業において、発信は“信頼を先に届ける”行為です。
ブログ・コラム・事例紹介などを通して、自分の考えや知識を出していくことで、見込み客が「会う前に信頼してくれる」状態をつくれます。

たとえば――

  • 飲食業なら「仕入れ先へのこだわり」や「調理の工夫」を紹介する。
  • サービス業なら「お客様からよくある質問」や「日々の仕事で意識していること」を発信する。
  • 小売業なら「商品の選び方」や「季節ごとのおすすめ」を提案する。
  • 専門職なら「相談事例」や「仕事の進め方」をわかりやすく解説する。

こうした情報は“宣伝”ではなく、“理解と安心を育てる”ためのもの。
この「知ってもらう→信頼される→相談される」という流れができると、営業活動がぐっと楽になります。


7-5. オンラインツールで営業を効率化する

営業を支えるデジタルツールは数多くありますが、大きく分けると次の4つの目的に整理できます。

  1. 顧客管理
     誰と、いつ、どんな話をしたのかを記録する仕組みです。
     「前回どんな見積を出したか」「次の連絡予定はいつか」を一覧で把握できると、抜け漏れがなくなります。
     少人数の事業でもExcelで十分。成約率を上げる“見える化”の基本です。
  2. スケジュール調整
     日々の打合せや訪問をスムーズに行うための管理です。
     GoogleカレンダーやCalendlyなどを使えば、顧客が空き時間を選んで予約でき、
     電話やメールでのやり取りを減らせます。小さな事務所ほど効果が大きい部分です。
  3. メール配信・情報共有
     商談後のフォローやニュース配信など、“忘れられない仕組み”を作る目的です。
     GmailやSendinblueなどのツールを使えば、見込み客に定期的な情報を届けられます。
     営業が忙しいときでも、発信を止めずに信頼を保てます。
  4. オンライン商談・打合せ
     ZoomやGoogle Meetを使えば、移動時間ゼロで商談ができます。
     遠方の顧客とも気軽に打合せできるので、営業範囲が一気に広がります。
     資料共有や画面説明も簡単で、初回相談などに特に向いています。

これらの目的を意識しておくと、どのツールが必要かがはっきりします。
次の表では、それぞれの目的に合わせた代表的なツールとポイントを整理しています。

目的ツール例ポイント
顧客管理Excel/Notion/CRM(HubSpotなど)商談履歴を記録し、再アプローチを容易にする。
スケジュール調整Googleカレンダー/Calendly時間調整の手間を減らす。
メール配信Gmail/Sendinblue見込み客への定期連絡に活用できる。
オンライン商談Zoom/Google Meet地域を超えて顧客とつながれる。



8. 販路拡大の実践ステップ

営業の仕組みが整ってきたら、次は販路(販売経路)を広げる段階です。
ここで言う「販路拡大」とは、単に取引先を増やすことではなく、“売れる場所・売り方を多様化させること”を指します。

創業初期にありがちな「特定の顧客に依存する」状態から脱し、安定して売上を積み重ねるための考え方を見ていきましょう。


8-1. まずは「現在の販路」を見える化する

販路を増やす前に、自分がどんなルートで売上を得ているのかを整理します。

  • 主な取引先は誰か(個人/法人/小売店など)
  • どこで販売しているか(店舗/オンライン/卸など)
  • どうやって出会ったか(紹介/SNS/展示会など)

このように書き出してみると、「強いルート」と「弱いルート」が見えてきます。
現状を正確に把握することが、販路拡大の第一歩です。


8-2. 販路拡大の3つの方向性

販路を広げるときは、思いつきで新しい取引先を探すのではなく、「どの方向に広げるのか」を整理して考えることが大切です。
方向が定まっていないと、労力ばかりかかって成果が散らばってしまいます。

販路拡大の考え方は大きく3つに分かれます。

① 顧客層を広げる

今の顧客と同じ商品・サービスを、違うタイプの顧客にも届ける方法です。
たとえば、

  • 法人中心だったサービスを個人向けにも小規模化して提供する。
  • 若年層中心の商品を、中高年層にも使いやすい形に調整する。
  • 既存顧客の紹介や口コミを通じて、別の業界へ展開する。

すでに実績のある商品をそのまま使えるため、新商品を作らずに売上を伸ばせるのが利点です。
ただし、顧客層が変わると求められる情報や言葉遣いも変わるため、営業資料や発信内容のチューニングが必要になります。


② 地域を広げる

次に、地理的な範囲を広げる方法です。
「地元での実績が安定してきたので、隣の市・県にも展開する」という形。

  • 出張サービスや配達エリアを拡大する。
  • 近隣のイベントや商談会に参加し、地元外の顧客とつながる。
  • オンラインツールを使い、遠方の相談・取引を受け入れる。

地域を広げると、競合環境が変わります。
地元では名前が知られていても、他地域ではゼロから信頼を築く必要があります。
そのため、口コミ・実績・Web発信など“見える信頼”を整えることが欠かせません。


③ チャネル(販売経路)を増やす

そして最も効果的なのが、販売の方法そのものを増やす方向です。
「直接販売だけ」から「オンライン販売」「委託販売」「イベント販売」など、複数の経路を組み合わせます。

  • 店舗販売に加え、オンラインショップを開設する。
  • SNS経由で予約や受注を受け付ける。
  • 他店舗や他社の販売網に商品を委託する。

チャネルを増やすと、顧客との出会い方が多様化します。
一方で、管理や在庫、対応方法が複雑になるため、最初は1〜2経路に絞って小さく始めるのが現実的です。


このように、販路拡大には「誰に」「どこで」「どのように」売るかという3方向があります。
それぞれの特徴を整理すると、次の表のようになります。

方向内容
① 顧客層を広げる新しいターゲットを加える。これまで法人向け中心だったが、個人にも小規模プランを提供。
② 地域を広げる商圏を広げる、他地域へ進出する。隣の市にも配達/出張対応を開始する。
③ チャネルを増やす販売経路や媒体を増やす。店舗販売に加え、オンラインショップやマルシェ出店を追加。

8-3. オンライン販路を取り入れる

近年、ほとんどの業種でオンライン上の販売・受注経路が欠かせなくなっています。
店舗がなくても商品やサービスを知ってもらえる機会が増え、さらに「24時間・地域を問わず売れる」仕組みを作れる点が大きな魅力です。

ただし、“オンラインで売る”といっても方法は一つではありません。
目的や事業の規模に応じて、次のような選択肢があります。

1. 自社サイトを活かす方法

自社のホームページにオンラインショップや注文フォームを設ける形です。
自分のペースで情報を発信でき、顧客との関係を深めやすいのが特徴です。

  • ブランドイメージを統一できる
  • 顧客データを自分で管理できる
  • 他の媒体に左右されない安定性がある

一方で、集客は自分で行う必要があるため、SNSや広告との連動がポイントになります。


2. 既存の販売プラットフォームを使う方法

BASE、STORES、楽天市場など、既に人が集まっているECモールに出店する方法です。
集客力が高く、開設コストも低いので、初めてのオンライン販売に向いています。
ただし、競合も多いため、

  • 写真・説明の丁寧さ
  • 発送の早さ・レビュー対応
    といった基本の品質管理が重要です。

3. SNSやLINEからの販売

SNSやLINE公式アカウントを活用し、発信からそのまま購入につなげる仕組みです。
投稿を見て興味を持った人が、ワンクリックで予約・注文できる導線を作ります。
特にInstagramやLINEは、アプリ内で購入手続きが完結するため、若い世代やスマホ利用中心の顧客層に効果的です。


4. サービス業・BtoB向けのオンライン受注

物販だけでなく、相談・講座・制作などの非物販サービスもオンライン化できます。
Googleフォームやホームページの問い合わせページを「受注窓口」として整えることで、見込み客の申し込みをスムーズに受けられます。


方法特徴向いている業種
自社ECサイトブランド構築に最適。顧客情報を自分で管理できる。小売・クラフト・食品など。
ECモール(BASE・STORES・楽天など)集客力が高く、手軽に始められる。ネット販売初心者・小規模事業。
オンライン受注フォーム商品販売以外の業種にも有効。サービス業・スクール・制作業など。
SNS連携販売Instagram・LINEから直接購入できる。若年層向け商材・デザイン性の高い商品。

8-4. オフライン販路を見直す

オンライン販路の整備が進んでも、リアルの場でのつながりは依然として強い営業手段です。
特に地域密着型の事業や、人の信頼で成り立つサービスでは、
「直接会って話す」「実際に体験してもらう」ことでしか得られない安心感があります。

販路を広げるというよりも、“今ある地域のつながりを活かして深める”視点で考えると良いでしょう。

1. 展示会・地域イベントへの出展

展示会やマルシェ、地元フェアなどは、短期間で多くの見込み客と直接話せる貴重な機会です。

  • 自社の商品やサービスを「実際に見せる」「体験してもらう」ことで印象に残る。
  • SNSやチラシでは伝わりにくい“雰囲気”や“人柄”が伝わる。
  • 名刺交換やアンケートを通じて、その後のフォローにもつなげやすい。

「地元の人にまず知ってもらう」「新しい層の反応を試す」目的で、創業初期にもおすすめです。


2. 異業種とのコラボ・共同販売

1社だけでは届かない層に、協力関係を組んで販路を共有する方法です。

  • カフェと雑貨店が合同イベントを開催する。
  • 美容室とフォトスタジオがセットプランを作る。
  • 建築会社とインテリアショップが展示スペースを共同利用する。

顧客層が近く、競合しない相手との協力はお互いにメリットがあります。
「一緒に何かできませんか?」と声をかけるだけでも、新しいつながりが生まれます。


3. 地域メディアとの連携

地元紙、フリーペーパー、商工会ニュース、FMラジオなど、
地域に密着したメディアでの紹介は“信頼の裏付け”になります。

  • 新商品やキャンペーンを地元メディアに情報提供する。
  • 商工会などが発行する会報に寄稿して専門性をアピールする。
  • 地域番組に出演して人柄を知ってもらう。

自分から情報を発信することで、思わぬ取材や掲載のチャンスにつながることもあります。

オフライン販路は「出会いを作る場所」。
その出会いを、オンラインでつなぎ続ける――この往復が販路拡大の土台になります。


8-5. パートナーを見つける

販路拡大を一人で進めようとすると、時間も労力もかかります。
一方で、信頼できるパートナーと協力することで、販路は一気に広がります。
ここで言うパートナーとは、単に「共同で販売する相手」だけでなく、
お互いの強みを補い合える関係者すべてを指します。

1. 協業・提携の基本的な考え方

協業の目的は“シェアを奪う”ことではなく、“市場を広げる”ことにあります。
自社だけでは届かない層に、相手のネットワークを通じてアプローチできるのが最大の利点です。

たとえば、

  • 製造業×デザイン会社:製品のパッケージを共同開発し、新規販路を開拓。
  • 美容室×カフェ:合同キャンペーンで顧客同士を紹介。
  • 町工場×設計事務所:地域プロジェクトに共同参加。

共通点は、お互いの顧客層が重ならないが、親和性があるという点です。
この条件を意識すると、自然に協力しやすい相手が見つかります。


2. パートナー探しのきっかけを作る

パートナーを見つけるためには、まず「自分のことを知ってもらう場」に出ること。

  • 商工会や異業種交流会
  • 業界団体のセミナー・勉強会
  • 地元のイベントや展示会
  • SNSでの業界コミュニティ

参加の目的を「すぐに仕事につなげる」ではなく、“お互いを理解する”ための時間を持つことに置くと、長く続く関係が生まれます。


3. 協力関係を維持するポイント

協業は始めるよりも続けることの方が難しいものです。
長く続く連携のためには、次のような意識が大切です。

  • 利益だけでなく価値観の共有を重視する。
     短期的な利益配分より、信頼できる姿勢を見せる。
  • 役割と責任を明確にする。
     どちらが顧客対応をするか、費用をどう分担するかを事前に確認。
  • 小さな成果を積み上げる。
     初めから大きな共同プロジェクトにせず、まずは“試してみる”程度から始める。

パートナーシップは「契約」よりも「信頼」で動く。
無理に広げようとせず、少しずつ信頼を重ねることが、結果的に大きな販路を生みます。


8-6. 効果検証と改善

販路を広げる取り組みは、やって終わりではなく、検証して次につなげることが大切です。
どの方法が効果的だったのかを定期的に振り返ることで、
限られた時間やコストを“成果の出る部分”に集中できます。

1. 数字で見る「販路の健康診断」

まずは販路ごとの結果を数値で確認します。
売上や件数だけでなく、次のような指標も重要です。

指標意味具体例
反応率営業・広告への反応の割合DM100件で5件反応→5%
成約率問い合わせから契約・購入に至った割合10件の見積依頼中3件成約→30%
リピート率既存顧客の再利用割合全体の売上のうち40%がリピート顧客
顧客獲得コスト(CAC)1人の新規顧客を得るための費用広告費5万円で10件成約→1件あたり5,000円

数字を出す目的は、「何が悪かったか」を探すより、「次に伸ばせるポイント」を見つけることです。


2. 改善のサイクルを回す

販路拡大もPDCA(計画・実行・検証・改善)の流れが基本です。
難しく考えず、次のようにシンプルに回せば十分です。

  • Plan(計画):どの販路で、どの顧客層を狙うか決める。
  • Do(実行):小規模に試してみる。
  • Check(検証):数字と顧客の反応を確認。
  • Act(改善):良かった部分を残し、うまくいかなかった部分を修正。

このサイクルを続けることで、販路が「点」から「線」になり、やがて「仕組み」として定着していきます。


3. 失敗から得られる情報を活かす

新しい販路の試みは、うまくいかないことの方が多いものです。
しかし、失敗にも大切な情報が含まれています。

  • 想定していた顧客層と実際の反応が違った → ターゲットを見直す。
  • 商品・サービスの魅力が伝わ

らなかった → 説明や写真を改善。

  • コストに対して利益が合わなかった → 別の媒体や方法を検討。

数値と現場の実感を照らし合わせながら、“なぜ成果が出た(出なかった)のか”を言葉で説明できる状態を目指します。
そこまで整理できると、次の販路拡大の方向性が自然と見えてきます。


4. 継続的な見直しが「販路の筋力」を作る

販路は一度作って終わりではなく、
時期・社会情勢・顧客の嗜好によって形を変えていきます。
半年〜1年に一度は販路全体を俯瞰し、「今、どこが強みで、どこが弱点か」を整理しておくと、市場の変化に強い体制が築けます。

販路拡大は“挑戦の積み重ね”。
小さな実験を繰り返し、確かなデータと感覚を磨いていくことで、売上よりもまず“しなやかな営業体質”が育ちます。


まとめ:販路拡大は“量より質”の積み重ね

販路を増やすというと、「取引先をたくさん持つこと」と考えがちですが、
本質は「つながり方の選択肢を増やすこと」にあります。

  • どんなお客様と、どんな方法で出会いたいのか
  • そのために、どの販路を整えるのが最も自然か

この2点を意識するだけで、やみくもな営業から抜け出し、
自分に合った“続けられる拡大”へと変わっていきます。

販路は「作る」ものではなく、「育てる」もの。
小さな工夫を重ね、信頼を積み上げていくことが、最も確実な拡大策です。


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