売上が安定しないときに見直すべき3つの経営指標
~個人事業主・中小企業向け、利益を守るための基本チェックポイント~
はじめに
「営業を頑張っているのに、なかなか売上が安定しない」「今月は黒字だけど、来月の資金繰りが不安」――そんなお悩みを抱えていませんか?
こうした不安を解消し、継続的に利益を出せる経営を目指すには、まず“数字の視点”を持つことが何より大切です。
売上を上げることも重要ですが、それと同じかそれ以上に、「どこで利益が出て、どこにお金が消えているのか」を理解する必要があります。
この記事では、売上が不安定だと感じたときに見直すべき、基本かつ強力な3つの経営指標を紹介します。その前に、これらの指標を正しく読み解くために欠かせない「変動費」と「固定費」について、まず解説しておきましょう。
変動費と固定費
経営において最も基本的で、かつ見落とされがちなのが「コストの性質」です。売上が増えるほどコストが増えるのか、売れなくても毎月出ていくコストなのかで、経営判断は大きく変わってきます。
変動費とは?
売上や販売量に応じて変動する費用です。
売れた分だけかかるため、売上ゼロなら変動費もゼロになります。
例
- 飲食業:食材費、テイクアウト容器、歩合給
- 小売業:仕入原価、販売手数料、配送料
- 建設業:材料費、外注費、下請け業者への支払
→ 「売れるごとに発生する」費用だと考えてください。
固定費とは?
売上に関係なく、毎月発生する一定の費用です。
売上がゼロでも、必ず支払わなければなりません。
例
- 店舗・事務所の家賃
- 正社員の給料
- 電気代や通信費
- リース代、サブスクリプション型サービスの使用料
→ 「売上がなくても必ず出ていくお金」です。
これらを明確に区別することが、後述する「限界利益率」や「損益分岐点」の理解につながります。では、この前提を押さえたうえで、売上が不安定なときに見直すべき3つの指標を紹介していきます。
指標①:限界利益率(粗利率)
なぜ重要?
限界利益とは、「売上から変動費を引いた金額」のこと。商品を1つ売るごとに生み出す儲けです。
限界利益率は、その割合を示す指標であり、販売活動でどれだけ利益を生み出せているかを表します。
計算式
限界利益率(%)=(売上 − 変動費)÷ 売上 × 100
例
たとえば、1,000円の商品を売るのに変動費が600円かかるなら、
(1,000円 − 600円)÷ 1,000円 × 100=40%の限界利益率になります。
目安と改善ポイント
- 一般的には30〜50%以上が理想(業種による)
- 限界利益率が低ければ、
・値上げ検討
・コスト削減(仕入れ先見直し、無駄な外注の排除)
・粗利率の高い商品への注力
といった対策を検討しましょう。
指標②:損益分岐点売上高
損益分岐点とは?
売上から変動費を引いた利益が、固定費とちょうど同じになる売上高。
このラインを下回ると赤字、上回れば黒字になります。
計算式
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
例
固定費が50万円、限界利益率が40%の場合:
50万円 ÷ 0.4 = 125万円
→ 毎月125万円の売上が必要ということになります。
改善策
- 損益分岐点が高すぎる場合は、
・固定費削減(例:人件費の見直し、オフィス縮小)
・限界利益率の向上(値上げ、コストダウン)
が有効です。
指標③:キャッシュフロー(資金繰り)
黒字でも倒産する?
「利益が出ていても現金が残らず、支払いができない」――これは黒字倒産と呼ばれます。
会計上の黒字と、実際の現金(キャッシュ)はまったく別物。
資金繰りを把握していないと、どれだけ利益が出ていても会社は潰れます。
チェックすべきポイント
- 月末の預金残高が3か月分の経費を下回っていないか?
- 売掛金の入金が遅れていないか?
- 設備投資が先行してキャッシュが枯渇していないか?
改善策
- 入金サイト短縮(前払い・即時決済などの導入)
- 売掛金の早期回収
- 不要な在庫や設備の圧縮
- 資金調達(補助金・融資)の検討
実例:売上が月によって変動する小規模デザイン事務所B社のケース
茨城県でグラフィックデザインを手がけるB社は、フリーランスから法人化したばかりの小さな事務所。月商は平均して80〜100万円ありましたが、ある月は50万円、ある月は130万円と波があり、経営者は資金繰りに常に不安を感じていました。
ヒアリングと分析の結果、以下の点が見えてきました:
- 限界利益率は高め(約60%)で悪くない
- 固定費が月50万円程度(家賃・人件費・サブスク等)
- ただし、繁忙期と閑散期の差が激しく、安定的な売上が不足
改善に向けて以下の対応を行いました:
- 売上の平準化のため、リピート率が高い保守業務(名刺・チラシ定期発注など)をパッケージ商品化し、月額契約化
- サブスク型のクラウドサービスや不要なデザイン素材購入を見直し、固定費を月45万円に圧縮
- 損益分岐点売上高を75万円→60万円に低下
結果、月売上が80万円あれば常に黒字になる体制となり、余剰資金で外注スタッフも活用できるようになりました。
まとめ:数字を味方につけることが経営安定の近道
売上が不安定なときこそ、感覚ではなく数字で経営を見直すことが大切です。今回ご紹介した3つの指標はすべて、会計ソフトやExcelで簡単に把握できます。
- 限界利益率:利益が出る体質か?
- 損益分岐点売上高:最低いくら売れば安心か?
- キャッシュフロー:現金は足りているか?
これらを定期的に確認し、問題があれば早めに対策を講じる。
それが「売上に振り回されない経営」を実現するための第一歩です。
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