社長、その深夜LINEが社員を辞めさせます|勤務間インターバルと「つながらない権利」の現実的な導入法【2026年労基法改正】

深夜LINE

※本記事で扱っている労基法改正案については、その後、通常国会への提出見送りが報じられています。
提出見送りの背景や、勤務間インターバル・つながらない権利・管理職規制などの論点を改めて整理した記事はこちらです。

目次

はじめに:前回の振り返りと今回のテーマ

前回は、2026年の労基法改正の全体像と、中小企業・小さな会社への影響をざっくり整理しました。

今回は、その中でも特に反響が大きかった

  • 勤務間インターバル
  • 「つながらない権利」(勤務時間外の連絡ルール)

この2つに焦点を当てて、

「中小企業でも、現実的にどこまでできるのか?」

という視点で考えていきます。

退勤してもスマホが鳴り止まらない――そんな毎日になっていませんか。
「ちょっとだけだから」「自分もやっているし」と思って続けているうちに、社員のほうはじわじわと疲れがたまり、ある日ふっと会社を去ってしまう。

勤務間インターバルと「つながらない権利」は、単なる“新しいルール”ではなく、
「社員が辞めない会社」をつくるための仕組みだと考えていただくのがポイントです。

勤務間インターバル制度とは?

勤務時間インターバル

勤務間インターバルとは、

「今日の勤務が終わってから、翌日の勤務を始めるまでの“連続した休息時間”を、一定時間以上あけましょう」

という考え方です。

日本では2019年から、企業に対して“導入に努めること”が努力義務として位置づけられていますが、
今後の改正では、一定の時間以上を義務化する方向が検討されています。

なぜ「11時間」なのか?数字のイメージ

11時間という数字は、ざっくり言えば、

  • 睡眠:7〜8時間
  • 通勤:往復1〜2時間
  • 食事・入浴・家事など:1〜2時間

といった“人として当たり前に必要な時間”を確保するための最低ラインというイメージです。

たとえば、

  • 夜23時に退勤したら → 翌日の始業は10〜11時以降
  • 夜0時に退勤したら → 翌日の始業は11〜12時以降

といった形で、「ムリな連続勤務を避ける」方向に持っていくことが狙いです。

もちろん、業種・規模・シフトの組み方によって、すぐには11時間をきっちり確保できないケースもあります。
そのため実務上は、“原則11時間を目指しつつ、段階的に近づけていく”ような導入の仕方が現実的ではないか、という議論になっています。

「つながらない権利」とは?

「つながらない権利」は、勤務時間外や休日に、

メール・電話・チャットなどの「仕事の連絡」に応答しなくても、不利益な扱いを受けない権利

を指す言葉です。

日本では、まだ法律の条文に明確に書かれているわけではありませんが、ただ、「働き方改革やメンタルヘルスの観点」、IT・スマホの普及で「24時間つながってしまう」状況を受けて、

  • ガイドラインの整備
  • 勤務時間外の連絡ルールづくり

などを通じて、実質的な「つながらない権利」を確保していこうという方向で議論が進んでいます。

国際的にはどうなっているのか?(フランスの例)

たとえばフランスでは、2017年から従業員50人以上の企業に対し、従業員が「勤務時間外にデジタル機器から切断する権利(right to disconnect)」を保障するための社内ルール作りを義務付ける法律が施行されています。

目的は、

  • 夜間や休日のメール・メッセージによるストレス
  • 家庭生活への悪影響
  • メンタル不調や燃え尽き(バーンアウト)

などを防ぐことです。

日本でも今後、フランスのように「権利」として法律に書き込むかどうかはまだ分かりません。
しかし、

  • 勤務時間外の連絡はできるだけ控える
  • 連絡が来ても、応じないことを社員が選べる
  • そのことで不利益な扱いをしてはならない

という方向に舵を切る流れそのものは、ほぼ変わらないと見てよいと思います。

勤務間インターバルと「つながらない権利」は今どんな議論になっているのか

ここまでで、「勤務間インターバル」とは何か「つながらない権利」とは何かの“概念の説明”をしてきました。
では、2026年以降の労基法改正の議論の中で、今どのあたりまで話が進んでいるのかを整理しておきます。

まだ「休日連絡一律NG」までは踏み込んでいない

この記事執筆時点では、2026年の労基法改正に向けた議論は、

  • 厚労省の研究会・労政審などでの「報告書・取りまとめ」の段階
  • まだ法案として国会に提出されているわけではない段階

です。

今のところ議論の中心になっているのは、

  • 14日を超える連続勤務を認めない方向性(連続勤務規制の強化)
  • 法定休日の事前特定義務化
  • 勤務間インターバル制度の義務化(「休息時間 原則11時間」を軸に検討)
  • 年休賃金の算定方式の統一 など

であって、

「休日に連絡したらそれだけで違法です。全面禁止です」

というところまでは、少なくとも現時点の議論では踏み込んでいません。

むしろ、

  • 「法定休日をきちんと決める」
  • 「連続勤務の日数に上限を設ける」
  • 「勤務の間には一定の休息時間を入れる」

という、“休みをちゃんと休みにする”ための基本ルールを整えることがメインになっています。

「つながらない権利」は「禁止」ではなく「不利益にしない」がポイント

「つながらない権利」についても、方向性としては

  • 勤務時間外・休日の業務連絡そのものを法律で“禁止”するのではなく
  • 勤務時間外・休日の業務連絡に
    「応じなかったとしても不利益に扱わない」ことをはっきりさせる

という点に重きが置かれています。

もう少し砕くと、

  • 会社がまったく連絡してはいけない、という話ではない
  • 連絡が届いたときに、社員が「今日は休みなので、明日対応します」と選べる余地を保障する
  • そのことで人事評価・昇進・配置などでマイナスに扱ってはならない

という発想です。

ガイドラインや社内ルールのイメージとしては、例えばこんな方向性が想定されています。

  • 「急ぎでない業務連絡を休日に送ることは控える」
  • 「やむを得ず送る場合は、『返信は勤務時間内で構いません』と明記する」
  • 「勤務時間外・休日に連絡に応じなかったことを、人事評価でマイナスにしない」

つまり、

「休日連絡=一律アウト」ではなく
「連絡に応じる/応じないの主導権を、社員側に取り戻す」

という方向で議論されている、と整理すると分かりやすいと思います。

「休日連絡は全部NGになるの?」という誤解

最近よく耳にするのが、

「これからは休日に連絡しただけで違法になるらしい」

という極端なイメージです。

現時点の議論を見る限り、イメージとしては次のような線引きになりそうです。

  • 設備故障や事故対応など「本当に緊急」な連絡
    → 例外的に認めざるを得ない
  • 明日の会議資料修正、来週の予定調整など
    → 原則として勤務時間内に行うべき
  • 思いつきメモや、なくても困らない共有
    → ツールの予約送信・リマインド機能を使って、翌営業日に回す

そして、

休日や勤務時間外に連絡を「送る」こと自体を、一律で禁止するのではなくその連絡に「今は応じない」という選択を社員側がしても、不利益に扱わないことを明確にしておくという方向が、検討の中心になっています。

ですので、社長として意識したいのは、

「一切連絡してはいけない」ではなく
「“今じゃなくていい連絡”は勤務時間内に回す」
「休日・勤務時間外に応じなかったことで社員を評価ダウンしない」

という運用に切り替えていくことです。

休日の社外活動(ボランティア・懇親会など)はどうなるのか

あわせて気になるのが、休日の「会社の社外活動」です。

  • 会社主催のボランティア活動
  • 社内イベント・運動会・勉強会
  • 懇親会・飲み会 など

こうしたものは、次の2点で扱いが変わってきます。

① 実質的に“仕事”かどうか

  • 顧客対応イベント・PRイベント・採用説明会の手伝い
  • 会社の公式行事で、参加が半ば当然とされている

といった場合は、従来から実態としては「休日労働」「時間外労働」と評価され得るという指摘がありました。

今後は、「連続勤務の上限」「休日の明確化」「つながらない権利」の議論とセットで、
休日にこうしたイベントを詰め込み、参加要請を繰り返す運用は、より問題視されやすくなると考えられます。

② 参加が“本当に任意”かどうか

  • 参加しないと人事評価・昇進に響きそう
  • 上司から繰り返し誘われ、断りづらい雰囲気になっている

このような運用になると、

形式上は「任意参加」でも、実質は「会社の指揮命令下」

と見なされるリスクが高まります。

逆に、

  • 完全に有志企画
  • 参加・不参加が評価と無関係
  • 休日に繰り返し参加要請の連絡をしない

という運用であれば、「つながらない権利」の直接のターゲットにはなりにくいと考えられます。

とはいえ、「休日に会社アカウントから一斉に何度もメッセージが届く」という運用は、今後ますます慎重に考えた方がよいラインになっていくはずです。

退勤後もスマホが鳴り続ける会社で何が起きているか

ここからは、少し“現場の感情”に寄せてみます。

社長には社長の事情、でも社員はこう受け取っています

よくあるのが、こんなケースです。

  • 社長「明日の会議の資料、これも入れておいて」
  • 送信時刻:23:45
  • ツール:LINE・会社のチャット・メール など

社長の側の本音は、だいたいこんなところではないでしょうか。

  • 「思いついたときにメモしておかないと、自分が忘れちゃう」
  • 「明日の朝バタバタするより、今のうちに伝えておいた方が親切だと思った」

一方で、社員側の頭の中ではこんな声が回っています。

  • 「既読がついた時点で、読んだことが社長に伝わってしまう…」
  • 「返信が遅いと、『やる気がない』と思われそう」
  • 「通知を無視して寝たら、翌朝の雰囲気が怖い」

結果として、

  • ベッドに入ってもスマホを何度も確認してしまう
  • 休みの日でも、通知が鳴るたびに心臓がドキッとする
  • 心と体が「ずっと勤務モード」のまま、休んだ気がしない

という状態になりがちです。

辞めるときは、だいたい「静かに」去っていきます

そして厄介なのは、こうした不満は、「残業代が出ない」「休日が少なすぎる」といった“わかりやすい不満”と違って、社員本人も言語化しにくいという点です。

「深夜LINEがつらい」とは、なかなか言い出せません。
「こんなことで弱音を吐く自分が悪いのかも」と、自分を責めてしまう人もいます。

その結果、

「すみません、退職したいです」

という一言だけ残して、静かに辞めていく――
そういう形になりやすいのが、この手の問題のやっかいなところです。

だからこそ、勤務間インターバルや「つながらない権利」は、法律対策としても、採用・定着対策としても「先に手を打っておいた方が得なテーマ」と言えます。

よくある3つのケース

ここからは、中小企業をイメージした“よくある3つのケース”を挙げてみます。

ケース1:製造業A社(従業員15名)夜勤明けでも朝礼は全員参加

  • 日勤・夜勤の交代制
  • 社長のこだわりで「毎朝8時の朝礼は全員参加」ルール
  • 夜勤明けの社員も、朝礼に出席してから帰宅する運用

この場合、

  • 夜勤:0:00〜8:00
  • 朝礼+片付け:8:00〜8:30

となると、実質的な休息時間がギリギリです。

実際に取りうる対応例

たとえば、次のような見直しが考えられます。

  • 夜勤明けの社員は朝礼を免除(内容は掲示板やチャットで共有)
  • 夜勤明け → 次の出勤までは最低18時間あける運用に変更
  • どうしても出席が必要な全体共有は、「前日の日勤終わり」に実施する

つまり、「全員朝礼」は維持しつつも、

  • 出席方法
  • 対象
  • 実施タイミング

を少し変えるだけで、インターバルに近づけていくことができます。

ケース2:建設業B社(従業員8名)「現場が終わるまでが仕事」

  • 現場によって終了時間が大きく変動
  • 「現場が終わるまでが仕事」という文化
  • 翌朝も6時集合で出発、という日が続くことも

こうした会社では、

  • 「連日12〜13時間労働」が当たり前になっていたり
  • 帰宅が22時、翌朝5時起きが何日も続く

といった状況も珍しくありません。

一方で建設業界では、
2024年4月から時間外労働の上限規制(年960時間など)が本格適用されており、
工期や人員配置を含めた働き方の見直しが、すでに避けられないテーマになっています。

勤務間インターバルは、この流れの延長線上にあるテーマと考えると分かりやすいと思います。

ケース3:飲食・美容サービス業C社(水戸駅前・従業員10名)LINEグループが24時間営業

  • 店舗のスタッフ連絡は、全てLINEグループで実施
  • シフト調整、お客様からの問い合わせ共有、社長の思いつき連絡など
  • 特にルールを決めていないため、通知は24時間飛んでくる

このパターンでは、

  • 休みの日でも、スマホを見ないと不安
  • 「既読スルー」が心理的プレッシャーになる
  • 店長・サブの負担が特に重い

といった問題が起きがちです。

一見すると「ちょっとした連絡」が、
実は社員の休息時間を細かく削り続けていることも珍しくありません。

中小企業でもできる「現実的なインターバル&連絡ルール」の作り方

ここからは、あくまで「現実的に導入しやすい」ことを重視して、
4つのステップで考えてみます。

ステップ1:まずは「いつ・どんな連絡が飛んでいるか」を見える化する

いきなりルールを作るのではなく、
まずは現状把握から始めてみましょう。

たとえば1週間だけ、

  • 21時以降に飛んでいる業務メッセージをざっくり振り返る
  • 「その時間に送る必要があったか?」を自分に問い直してみる

これだけでも、

  • 「あ、これは翌朝でよかったな…」
  • 「思いつきで送ってるだけの連絡が意外と多いな」

といった気づきが得られます。

ステップ2:最低ラインとして「22時以降は原則送信しない」を決める

勤務間インターバルが11時間だからといって、
いきなり

「21時までに全員退社、翌朝8時まで連絡完全禁止!」

とやる必要はありません。
現実的には、段階的な導入の方がうまくいきます。

まずは、

第一段階:22時以降は、よほどの緊急時以外“業務連絡を送らない”

というラインを決めてみるのがおすすめです。

ツールの機能を活用する

「思いついたことを忘れないために、つい今送ってしまう」という場合には、
ツールの「予約機能」や「集中モード」が役立ちます。

  • Gmailの予約送信機能
    → 夜に書いたメールを「翌朝9時に自動送信」に設定
  • Slackのリマインダー機能
    → 「明日の9時に自分にリマインド」で、今は送らない
  • iPhoneの集中モード
    → 22時〜6時は通知を自動オフにしてしまう

こうした機能をうまく使うと、

「社長が思いついたことは、ちゃんと翌朝届く」
でも
「社員の夜時間は、ちゃんと守られる」

という状態を作りやすくなります。

ステップ3:チャットツールの「在席状況」を味方につける

最近は、中小企業でもいろいろなチャットツールが使われています。

  • LINE WORKS(LINEに近い操作感)
  • Chatwork(国産で中小企業でも使いやすい)
  • Slack(IT企業で人気だが、一般企業にも広がりつつある)

いずれも、

  • 「在席中」
  • 「退席中」
  • 「勤務時間外」

などのステータス表示や、
通知オン/オフの設定ができるのが普通です。

運用ルールの例

  • 社員側
    • 退勤したら「勤務時間外」ステータスにする
    • 休みの日はアプリをログアウト、または通知オフにしておく
  • 社長・管理職側
    • 「勤務時間外」の人には原則メッセージを送らない
    • やむを得ず送る場合は、「返信は明日で大丈夫です」と明記する

これだけでも、

  • 「既読スルー」が“無礼”ではなく“普通”になる
  • 社員が安心してアプリを閉じやすくなる

という効果が期待できます。

ステップ4:それでも必要な「緊急連絡」のラインを決めておく

とはいえ、業種によっては本当に緊急の連絡もあります。

緊急連絡の定義例

  • ○ 該当するもの
    • 設備の故障で営業停止の危険がある
    • 人身事故や火災など、命や安全に関わるトラブル
    • 大規模なクレームで、即時対応しないと被害が拡大する恐れがある
  • × 該当しないもの
    • 明日の会議資料の修正依頼
    • 来週の予定調整
    • ちょっとした思いつきの共有

緊急時の連絡手順の例

  1. まずは責任者へ電話(LINEやメールだけで済ませない)
  2. 電話がつながらない場合のみ、次の担当者へ連絡を回す
  3. 緊急連絡を行った場合は、翌営業日に簡単なメモや報告書を残す

こうして、

  • 「本当に緊急な連絡だけ」は例外として残しつつ
  • それ以外は原則として勤務時間内にやる

という線引きをしておくと、社員も社長も判断しやすくなります。

「社長自身が変わる」だけで、会社全体の空気が変わります

インターバルや「つながらない権利」の話をすると、

  • 「最近の若い人は甘い」
  • 「自分たちの時代はもっと厳しかった」

という感情が湧いてくるのも、正直よく分かります。

ただ、現実として

  • 労働力人口が減っている
  • 採用市場では「働きやすさ」を重視する人が増えている
  • 長時間労働やメンタル不調に対する社会の目が厳しくなっている

という流れは変えようがありません。

だからこそ、

「うちは、社員の休息時間と家族との時間を大事にする会社です」
「その代わり、働く時間にはしっかり成果を出しましょう」

と、社長が言葉にして宣言することが、
これからの中小企業の大きな武器になっていきます。

実際、

  • 求人票に「勤務間インターバル◯時間を確保」と書いた企業で応募が増えた
  • 「勤務時間外の連絡は原則禁止」と明記したことで、若手の定着率が上がった

といった事例も出てきています(具体的な数字は会社ごとに違いますが、傾向としては間違いなくあります)。

改正スケジュールと、今から準備するメリット

2026年の通常国会に労基法改正案が提出され、
多くの項目は2027年以降に順次施行される見込みです。

つまり、いま(2025〜2026年)は、

  • 情報収集をしつつ
  • 自社に合うルールを“試し運用”してみる

ための助走期間と考えることができます。

Q. インターバルや連絡ルールの見直しでコストは増える?

A. 正直に言えば、「短期的に見ると」人件費などが増える可能性はあります。

ただし、同時に、

  • 離職による採用・教育コストの削減
  • 健康悪化による生産性低下の防止
  • 働き方改革に取り組む企業としてのブランド向上

といったプラスの効果も期待できます。

さらに、中小企業向けには、勤怠システムの導入、労働時間管理の高度化、勤務間インターバル制度の導入に取り組む企業を支援する助成金、支援制度も用意されています。

これらの制度のうち、「どのような制度が存在するのか」「自社の取り組みが、おおまかにどのあたりに当てはまりそうか」といった情報収集や全体像の整理は、経営面の検討の一部として取り入れておくと有益です。

なお、具体的な助成金の選定・申請書の作成・手続きの代行といった実務は、社会保険労務士の先生の業務領域にあたりますので、実際の申請を進める際には、社労士の先生と個別にご相談いただく形が安心です。

専門家をどう使うか:社労士+診断士×行政書士の役割分担

最後に、外部専門家の使い方も整理しておきます。

社会保険労務士にお願いすべきこと

  • 就業規則・賃金規程など、労務制度の見直し・作成
  • 36協定など、労基署への届出書類の整備
  • 残業代や割増賃金の計算ルールの設計

いわゆる「労務のど真ん中」の部分は、やはり社労士の先生がプロです。

診断士・行政書士としてお手伝いできること

一方で、勤務間インターバルや「つながらない権利」は、

  • 営業時間・サービス内容
  • シフトの組み方
  • ITツールの導入
  • 公的支援制度(補助金・助成金・融資など)の情報整理

といった、経営全体の設計とセットで考える必要があるテーマでもあります。

中小企業診断士としては、

  • 「営業時間をどう変えれば、売上と負担のバランスが取れるか」
  • 「インターバルを守りつつ、回るシフトを組むにはどうすればいいか」
  • 「どのITツールを入れれば、現場の負担を減らせるか」
  • 「設備投資や働き方改革のコストを、公的支援制度も視野に入れながらどう位置づけるか」

といった部分を、一緒に整理していくことができます。

ここでいう「公的支援制度」には、補助金や融資に加えて、各種助成金も含まれますが、助成金の具体的な申請・書類作成・代行等は社会保険労務士の先生の業務になります。

そのため、経営全体の方向性や投資計画の検討「どの制度を“検討の土台”に載せるか」の情報整理までは診断士としてご一緒しつつ、実際の助成金申請のステップに入る段階では、社労士の先生にバトンタッチする、という分担が基本的なイメージです。

また、行政書士としては、

  • 規程類の文書化のサポート
  • 他の許認可(建設業許可・運送業、旅館業/民泊など)との兼ね合い整理

なども含めて、会社としての「かたち」を整えるお手伝いが可能です。

おわりに:まずは「今日の深夜LINEを1本減らす」ところから

勤務間インターバルも、「つながらない権利」も、条文だけを見ると、どうしても“お堅い法律の話”に見えます。

でも、スタート地点はとてもシンプルです。

今日から、社長の深夜LINEを1本減らしてみる。

それだけでも、社員の心と体には、少しずつ余裕が生まれます。
その小さな一歩が、2027年以降の法改正にスムーズに対応できる会社づくりにもつながっていきます。

次回は、休日・連続勤務・シフトの見直しという、
より「現場の回し方」に直結するテーマについてお話しします。

「うちの場合、インターバルや連絡ルールをどう考えたらいい?」と気になったときは、
社労士の先生とも連携しながら整理していけますので、
モヤモヤの段階からでも、遠慮なく相談していただければと思います。

※本記事で扱っている労基法改正案については、その後、通常国会への提出見送りが報じられています。
提出見送りの背景や、勤務間インターバル・つながらない権利・管理職規制などの論点を改めて整理した記事はこちらです。

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