2026年労基法改正で14連勤NGへ|中小企業の休日・シフト見直しと現実的な対応策

労基法改正で14連勤NG

※本記事で扱っている労基法改正案については、その後、通常国会への提出見送りが報じられています。
提出見送りの背景や、勤務間インターバル・つながらない権利・管理職規制などの論点を改めて整理した記事はこちらです。

前回は「つながらない権利」と勤務間インターバルについて整理しました。


今回は、同じく2026年の労働基準法改正の議論の中でも、実務インパクトが大きい

「休日」と「連続勤務」の新ルール

人手不足でも現実的に回すためのシフト戦略

をテーマにします。

目次

なぜ「14連勤」が焦点になるのか

現行制度だと、理論上は“かなり長い連勤”が可能

現行の労働基準法では、原則として1週間に1日以上の休日(週休1日制)が定められていますが、業種によっては

「4週間で4日休めばよい」という4週4日の変形週休制

という特例も認められています。

この仕組みをフルに使うと、休日を前後に固めて配置することで、その間にかなり長い連続勤務が入り込んでしまうという問題が以前から指摘されてきました。

実務ではそこまで極端な運用は少ないにしても、

「週休1日は守っているつもりなのに、気づいたら2週間近く休みなしだった」

というケースは、シフト制の現場では決して珍しくありません。

労災基準とのギャップと「14日」の意味

一方で、精神障害の労災認定基準では、「連続2週間(14日)以上勤務」が、強い心理的負荷の一つとして位置付けられています。

つまり、

  • 法律上は「長い連勤」が形式的にはOK
  • でも健康リスクの観点では「14日連続勤務」はかなり危ない領域

という“ねじれ”が存在していたわけです。

そこで、厚生労働省の検討会報告書では

  • 4週4日の特例を見直し、2週2日の変形週休制
  • そのうえで、「14日を超える連続勤務は禁止」という方向性

が示されています(あくまで「案」の段階ですが、健康確保の流れはほぼ変わらないと見込まれます)。

要するに、「形式的にはOKだった長時間連勤」を「健康リスクに合わせて“14連勤NG”に揃え直す」という動きだとイメージしていただくと分かりやすいと思います。

「違法になる前に」やるべきは、まず自社の実態の見える化

「14連勤が禁止になる」と聞くと、

  • うちの会社も違法になるのか?
  • とはいえ、人がいない現場でどうしろと?

と、不安だけが先に立ちがちです。

いきなり「シフトを全部やり直そう」とすると現場は混乱しますので、第一歩は“今の状態を冷静に見える化すること”です。

カレンダーに連続勤務をマークしてみる

具体的な手順は、シンプルで構いません。

  1. 1〜3か月分のカレンダーを用意
    • Excel、紙のカレンダー、Googleスプレッドシートなど、扱いやすいものを使います。
  2. 勤務日と休日をマーク
    • 勤務日:●
    • 休日:○
      というように、一目で分かる印を付けます。
  3. 連続勤務日数を数える
    • ●が何日続いているかを一人ずつチェックし、
    • 10日以上続いているところは赤ペンや色付きセルで囲む。
  4. ビフォーの状態を記録に残す
    • 紙ならスマホで撮影
    • データならファイル名に「2025-11_勤務実績」などと付けて保存

これだけでも、

  • 「特定の人だけ毎回きつい連勤になっている」
  • 「繁忙期は店長だけ14連勤一歩手前」

といったパターンが見えてきます。

「14連勤チェックシート」で危険度をスコア化

次に、次のような項目でチェックシートを作ってみます。

【14連勤リスクチェックシート】

  • □ 1か月の中で、11日以上連続勤務の社員がいる
  • □ 繁忙期は「出られる人から順に詰め込んでいる」のが実情である
  • □ 店長・管理職は、「自主的に出ているだけ」と思っている
  • □ 公休の振替が多く、何が法定休日か誰もはっきり説明できない
  • □ 体調不良が出た場合の代替要員・代替手順が決まっていない
  • □ シフト作成者が「これ以上は無理」と常に感じている
  • □ 「一人辞めたら現場が回らない」ポジションがある

【判定の目安】

  • 0〜2個:
    → 比較的余裕あり。今のうちに軽めの見直しを進めると安心。
  • 3〜5個:
    → 要注意ゾーン。2年以内を目安に、休日・シフト体制の見直し計画が必要。
  • 6個以上:
    → 危険ゾーン。14連勤禁止ルール以前に、今もかなり無理をしている可能性大。

このチェックシートは、ブログ用にPDFやExcel形式で配布しておくと、読者が「とりあえずやってみるか」と行動しやすくなります。

シフト見直しは「3ステップ」で考える

現実的な中小企業向けのアプローチとしては、
次の3ステップで考えると整理しやすくなります。

ステップ1 「山」と「谷」を冷静に仕分けする

まずは、感覚ではなく数字で“山と谷”を把握します。

たとえば飲食店であれば、

  • 【曜日別】
    • 月〜木:夜は落ち着いている
    • 金・土:昼も夜も忙しい
    • 日曜:昼がピーク、夜はやや落ち着く
  • 【時間帯別】
    • ランチ(11〜14時)とディナー(18〜21時)に集中
  • 【季節別】
    • 12月・3月:繁忙期
    • 2月・8月:閑散期

こうした分析から、

  • 「火曜の夜は思い切って休業でも良いのでは」
  • 「2月は週休3日にチャレンジできるかもしれない」
  • 「日曜の夜はテイクアウト中心にして人員を減らす」

といった具体的な判断材料が見えてきます。

ステップ2 “縮小均衡”を「負け」ではなく「戦略」にする

経営者の方からよく聞くのが、

「営業日を減らす=売上が減る=負け」

というイメージです。

しかし、実際には「営業日・営業時間を絞ってプラスに転じる」ケースもあります。

仮想ケース:水戸市内の美容室

【変更前】
・週休1日
・営業時間 10〜20時

【変更後】
・週休2日
・営業時間 10〜19時

この場合、

  • 月の売上は一時的に約5%減少
  • ただし
    • 人件費
    • 光熱費
    • 仕入れロス
      の削減で、利益はほぼ横ばい

さらに、

  • スタッフの定着率が上がり、採用・教育コストが減少
  • 求人で「週休2日」をアピールでき、応募数が増加
  • SNSや口コミで「スタッフを大切にする店」として評価が向上

という「トータルではむしろプラス」という結果も十分あり得ます。

「売上最大化」から「利益と継続性の最適化」へ。
休日・営業時間の見直しは、そのきっかけにもなり得ます。

ステップ3 人・外注・ITを組み合わせて“人だけに頼らない”体制へ

それでもなお、人が足りない場面は出てきます。
そこで検討したいのが、人・外注・ITの組み合わせです。

多能工化(マルチスキル化)で「この人しかできない仕事」を減らす

14連勤が起きる会社の共通点として、「この作業はAさんしかできない」「この現場はこの人じゃないと不安」といった“属人化”が強いことが挙げられます。

いきなり全員を何でも屋にする必要はありませんが、まずは次のようなところから小さく始めるのがおすすめです。

  • レジ担当とホール担当が、最低限お互いの仕事をカバーできるようにする
  • 現場リーダーが1人だけにならないように、「サブリーダー」を育てる
  • 特定の時間帯だけは、2人以上が同じ仕事をできる体制にする

「多能工化」は時間もコストもかかる取り組みですが、「教えるのが面倒だから、結局いつも同じ人に頼んでしまう」という状態を少しずつ脱出することで、中長期的には“人を守れる職場”に近づいていきます。

スポットワーカーの活用で“山の時間帯”だけ人を増やす

最近は、「タイミー」など、1日単位・数時間単位で働ける「スポットワーク」サービスも増えてきました。
金曜夜や土日のランチタイムなど、どうしても忙しい時間帯だけ一時的に人を増やしたい場合には、有効な選択肢のひとつです。

ただし、

  • 教育の手間
  • 常連さんへの対応品質
  • レジ操作や金銭管理

など、任せてよい範囲とそうでない範囲を決めておかないと、逆に社員の負担が増えてしまうこともあります。

「洗い場や簡単な調理補助だけ」「客席の片付けだけ」など、任せる仕事をはっきり絞ったうえで、スポットワーカーを活用するイメージが現実的です。

ITサービスの活用で省力化

ITサービスを活用することで人的負担を減らし、「休むことが出来る職場」作りを進めることを検討しましょう。

小売・飲食業の場合

  • セルフレジや券売機の導入
  • 清掃・仕込み作業の外注化
  • 予約・順番待ちシステムで来店を平準化

建設・製造業の場合

  • 一部工程の機械化・自動化
  • 図面作成・積算・事務作業の外注化
  • 勤怠・工程管理のクラウド化

サービス業の場合

  • 予約管理システムで「空き時間」と「ダブルブッキング」を減らす
  • よくある問い合わせをFAQやチャットボットへ集約
  • 会計処理や給与計算などバックオフィスの外注化

「人が足りないから募集する」だけでなく、
「そもそも人がやらなくていい仕事は何か?」から見直すことがポイントです。

IT・設備投資を後押しする補助金制度という“選択肢”

シフト見直しやIT化・設備投資を進める際、国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。

制度の詳細や条件は毎年度変わりますが、方向性としては:

  • 勤怠管理・予約システム・在庫管理などの導入を支援するIT系補助金
  • 生産性向上のための設備投資と賃上げをセットで支援する助成金
  • 県や市町村が行う、働き方改革・人材定着支援の補助事業

などが挙げられます。

ここで押さえておきたいのは、

  • 多くの補助金は「あと払い」(いったん自己資金で支払い、後から補助金受給)
  • 申請には、社労士・中小企業診断士・税理士など、専門家が関わる場面も多い

という点です。

茨城・水戸の企業が取りやすい“現実的な一手”

茨城・水戸エリアの企業・店舗には、次のような特徴があります。

  • 車社会で、営業時間・定休日の変更を店頭・駐車場の掲示で伝えやすい
  • 常連のお客様が多く、
    「スタッフの健康を守るため」という理由を丁寧に説明すれば
    理解・応援してもらえるケースが多い
  • 郊外型・ロードサイド型の店舗も多く、
    土日祝に営業を集中させる戦略を取りやすい

たとえば、

  • 「スタッフの健康を守るため、○曜日を定休日にします」
  • 「営業時間を19時までに短縮し、その分サービスの質を高めます」

といった変更を、「店頭ポスター」「SNS」「口頭でのご説明」を通じて丁寧に伝えることで、

「ちゃんと働き方を考えている会社だな」

と、むしろ評価につながるケースも十分考えられます。

つむぎ行政書士事務所としての役割

当事務所でお手伝いできること

本記事のテーマに関して、つむぎ行政書士事務所では例えば次のようなご相談をお受けできます。

  • 2026年労基法改正の全体像を整理し、
    「自社にとって特に影響が大きそうなポイント」を一緒に洗い出すこと
  • 「14連勤チェックシート」や勤務実績を使って、
    現状の連続勤務リスクを“見える化”する簡易診断
  • 営業日・営業時間の見直しと、
    売上・利益への影響イメージを数字ベースで一緒に整理すること
    (中小企業診断士としての収益構造・損益分岐点の整理など)
  • シフト変更に伴う、外注・IT導入・サービスメニューの見直しなど、
    ビジネスモデル全体の組み立てを考えるお手伝い

就業規則・労務制度は、信頼できる社労士の先生と連携して

一方で、

  • 就業規則そのものの作成・変更
  • 労働時間制度の具体的な設計
  • 助成金の申請実務
  • 個別の労務トラブルへの対応

といった部分は、社会保険労務士の専門領域です。

そのため当事務所では、

  • 「経営・事業計画・数字」の整理役として作山が入りつつ
  • 必要に応じて、信頼できる社労士の先生をご紹介し、
  • 社長の右腕チームとして一緒に並走する

というスタイルを基本に考えています。

おわりに──「14連勤をなくす」は、会社を守る“攻めの一手”

2026年の労基法改正で、「14連勤NG」に向かう流れはほぼ間違いなさそうです。
「違法になるから仕方なく」ではなく、

  • 社長自身の健康
  • 従業員の定着
  • 採用力
  • 会社の持続可能性

を守る“攻めの一手”として、「長期の連勤をやめる」方向に舵を切っていくイメージを持っていただけると良いのかなと思います。

  • 今のシフトはどこが無理をしているのか
  • 営業日・営業時間をどう組み替えれば、利益を守りながら休みを増やせるのか
  • どこまでを社内で決めて、どこから専門家に相談するのか

こうした問いを、2026年〜2027年に向けた“準備期間”のうちに少しずつ一緒に整理していければと思います。

※本記事で扱っている労基法改正案については、その後、通常国会への提出見送りが報じられています。
提出見送りの背景や、勤務間インターバル・つながらない権利・管理職規制などの論点を改めて整理した記事はこちらです。

お問い合わせ

ご相談は、どんな段階でも大丈夫です。
「手続きの流れを知りたい」「自分のケースで進められるか確認したい」「期限までに間に合うかだけ聞きたい」といった内容だけでもお気軽にお知らせください。

つむぎ行政書士事務所では、茨城県全域(水戸市・ひたちなか市・県央エリアを中心に、つくば・土浦など県南エリア、日立など県北エリアも含めて対応)で、建設業許可・産業廃棄物収集運搬業許可などの許認可申請、創業支援、補助金・経営相談をお手伝いしています。

内容をうかがった上で、「対応可能か」「どのように進めるか」「おおまかな費用感」をご案内いたします。
この時点では正式なご依頼(契約)にはなりませんのでご安心ください。
初回のご相談は無料です。

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