前の職場に連絡が取れない?営業所等技術者の実務経験証明でお困りの方へ

建設業許可の取得を目指すにあたり、「営業所等技術者」(旧称:専任技術者)の要件を満たすために、一定の実務経験を証明する必要があります。

ところが、過去に勤めていた会社が倒産していたり、関係がこじれて連絡が取れないなどの理由で、「実務経験証明書類(いわゆる証明書類)」の入手が難しいというケースは少なくありません。

本記事では、前の勤務先に頼らずに実務経験を証明するための代替手段を具体的に解説します。行政書士として実際に寄せられるご相談内容に基づき、実務的な対応策や公的機関への相談先も交えてご紹介します。


目次

1. 実務経験証明とは?営業所等技術者の基本要件

まず、営業所等技術者とは、建設業法に基づいて営業所に配置すべき専任の技術者のことです。この技術者は、以下のいずれかの資格・要件を満たしている必要があります。

  • 国家資格(例:1級・2級施工管理技士)を有する者
  • 大学・高校等の所定の学科卒業+一定年数の実務経験者
  • 資格を持たないが、10年以上の実務経験を有する者

このうち最もよく問題になるのが、資格なしで10年以上の実務経験を要件とするパターンです。この「実務経験」の証明ができなければ、営業所等技術者として認められず、建設業許可も取得できません。


2. 通常の実務経験証明の方法

一般的には、以下のような資料で「いつ」「どこの会社で」「どんな工事に従事していたか」を証明します。

典型的な証明資料

  • 元勤務先の「実務経験証明書」
  • 雇用保険被保険者証、退職証明書、源泉徴収票など
  • 工事契約書、請求書、注文書、施工体制台帳など
  • 資格試験申込時の経歴書の控え

特に、元勤務先からの「実務経験証明書類」に加えて、工事に従事していたことを裏付ける契約書や請求書が複数年分そろっていれば、比較的スムーズに審査を通過します。


3. 前職と連絡が取れない場合の課題

問題は、こうした「証明書」を発行してくれるはずの元職場が、

  • 廃業・倒産している
  • 社長と音信不通
  • 過去の人間関係の悪化により連絡できない

などの理由で協力が得られないケースです。

このような場合は、「公的に信頼性のある資料」で経験の裏付けを行うことが必要になります。


4. 実務経験の代替証明方法(前職に頼らないパターン)

(1)発注者や元請業者の協力を得る

建設工事には必ず契約相手がいます。以下のような相手方が、工事契約書や請求書の控えを保有している場合があります。

  • 公共工事であれば役所(県、市町村など)
  • 民間工事であれば元請け会社、施主

たとえば、

  • 「○○建設が元請で、下請けとして工事を行っていた」といった記録が残っていれば、○○建設に連絡を取り、請求書や工事実績証明のコピーをもらえることがあります。

公的機関が発注した公共工事なら、入札記録や契約台帳が保存されている場合があり、情報公開請求で入手できることもあります。

(2)役所への情報公開請求

国や地方公共団体が発注者であった場合、工事契約や下請構成などが記録されていることがあります。情報公開請求により、

  • 契約書
  • 工事履歴(完了検査調書等)
  • 施工体制台帳の写し

などの資料が開示される可能性があります。

※ただし、個人情報や契約者情報の制限があるため、情報請求書は目的を明確にし、形式的な不備がないように注意が必要です。

(3)建設業退職金共済(建退共)の記録

建退共に加入していた場合は、勤務していた期間や事業者、工種などの情報が記録されています。これを証明資料として使える場合があります。

加入状況は、自身の建退共手帳や建退共事務所への照会で確認可能です。


5. 常勤性の証明も忘れずに

実務経験の証明だけでなく、「常勤性」=その会社にフルタイムで勤務していたかどうか、の確認も必要です。

前職の常勤性を証明するには、次のような資料が使われます。

常勤性の裏付け資料

  • 雇用保険被保険者証
  • 健康保険被保険者証または資格取得喪失証明書
  • 給与支払明細書、源泉徴収票
  • 確定申告書の写し(個人事業主の場合)

特に社会保険や雇用保険の加入歴は公的な記録として信頼性が高く、前の勤務先が協力的でなくても、ハローワークや年金事務所などで発行申請が可能です。


6. 特殊なケース:個人事業主や一人親方だった場合

個人で現場を請け負っていた場合、法人のような勤務証明書は存在しません。その場合は以下のような資料を整えていくことになります。

  • 確定申告書(収支内訳書付き)
  • 工事請負契約書や請求書
  • 取引先からの証明書(協力業者証明)

この場合も、最低限「10年間以上、継続して建設業に従事していた」ことが証明できるよう、複数年の資料をそろえる必要があります。


7. 申請先(県や政令市)との事前相談がカギ

代替資料による証明は、通常の証明書と比べて説得力や形式が劣ると判断されることもありえます。そのため、あらかじめ許可申請窓口に相談し、「この資料で足りますか?」と確認することが重要です。

担当者によって見解が異なる場合もありますが、正直に状況を説明し、補足資料を組み合わせることで認められる可能性は高まります。


8. 実務経験証明の収集はプロに相談を

資料収集は時間も手間もかかるうえ、場合によっては専門的な文書作成も必要です。前職との関係が断たれている場合や資料の入手先が多岐にわたるケースでは、行政書士に相談することでスムーズな対応が可能になります。

私たちは、以下のようなケースでも対応しています。

  • 倒産した会社での実務経験を証明したい
  • 複数の元請け会社を渡り歩いてきた
  • 書類はあるけれどどこに何を提出すればいいか分からない

一人で悩まず、まずは状況を整理するところから始めましょう。


まとめ|前職に頼らずとも、道はある

前の職場に頼れないからといって、建設業許可をあきらめる必要はありません。

  • 契約相手や公的機関から資料を得る
  • 社会保険記録や建退共の履歴を活用する
  • 確定申告や請求書での実績証明を行う
  • 常勤性の証明もセットで行う

これらを組み合わせて、信頼性のある証明ができれば、申請は十分可能です。資料収集の方向性がわからない場合は、行政書士にぜひご相談ください。

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