建設業者でも取れる?産業廃棄物収集運搬業との相性と活用方法
1. なぜ建設業者が産廃許可を検討するのか?
建設業を営む中で、工事現場から出る廃材やガラ(コンクリートくず、木くず、廃プラなど)はつきものです。
それらを「産業廃棄物」として、適切に処理することは建設業者としての基本的な責任でもあります。
通常は、産廃処理業者に収集運搬を委託することで処分が行われます。
しかし最近、「自社で産廃を運搬したい」と考える建設業者が増えています。理由としては以下のような点が挙げられます。
- 処分場までの運搬費が高騰しており、利益が圧迫されている
- 委託先の段取りが合わず、現場の作業が止まってしまうことがある
- 信頼できる処理業者が近隣にいないため、法令違反のリスクを感じている
- 元請や自治体から「許可を持っている業者」に限定されるケースが増えている
こうした背景から、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しようと考える中小建設業者が少なくありません。
2. 産業廃棄物収集運搬業許可とは?
この許可は「都道府県単位」で交付されるもので、建設業許可とはまったく別の制度です。
主に以下の2つの形態に分かれます:
- 積替え保管なしの収集運搬:
排出場所(例:工事現場)から直接、最終処分場に運搬する形式。建設業者が取得するのは多くがこちら。 - 積替え保管ありの収集運搬:
一時的に中間拠点(自社のヤードなど)に積み替えてから運搬する形式。こちらは要件が厳しく、設備投資も必要なためハードルが高いです。
許可を取得するには、講習会の受講や事業計画書の提出、経理的基礎の証明などが必要です。
また、運搬用の車両(軽トラでも可)を保有しておく必要もあります。
3. 建設業者が許可を取る3つのメリット
① 運搬コストの削減
たとえば、外注で1回3万円かかっていた収集運搬費が、自社で運ぶことで1万円以下に抑えられるケースもあります。
1現場で20回運ぶと仮定すると、単純計算で40万円のコスト差になります。
また、複数の現場で産廃が出る企業にとっては、年間で数十万〜百万円単位のコスト削減につながることもあります。
② 現場段取りの柔軟性
「この日のうちにガラを全部搬出したい」などの現場判断に、即応できる体制が整うのは大きな利点です。
委託先の車両手配や予約調整に頭を悩ませることなく、自社のスケジュールに合わせた運搬が可能になります。
③ 信用力の向上
元請業者や自治体では、収集運搬の適正管理を重視する傾向が強まっています。
「収集運搬業の許可を保有している」という事実は、コンプライアンス意識の高さの証明になり、発注時の評価にもつながります。
特に公共工事や元請主導の大型案件では、書類選考で加点要素になるケースもあります。
④ 他業者の廃棄物も合法的に運搬できる
ここが実務的には非常に重要なポイントです。
建設現場では複数の業者(内装、電気、設備、足場など)が関わり、それぞれが少量ずつ産業廃棄物を排出します。
その際、自社が収集運搬業許可を持っていれば、他業者の廃棄物も“適正な契約とマニフェストを交わした上で”合法的に運ぶことが可能です。
この仕組みを活かせば:
- 現場の廃棄物を一括管理できるため、発注者や元請からの信頼が高まる
- 他業者から収集運搬費を請求できるため、実質的な収益源となる
- 「産廃管理も含めた現場のまとめ役」としての地位を確立できる
たとえば、「○○建設さんが運搬許可を持っていて助かった」と他業者に頼られることで、
今後の紹介や連携のきっかけにもなるでしょう。
ただし注意点として、排出事業者ごとに必ず「収集運搬委託契約書」および「マニフェスト(紙・電子)」を整備する必要があることを忘れてはなりません。
これを怠ると「無許可運搬」として行政処分や罰則の対象になります。
このように、単なる「自社廃棄物のコスト削減」だけでなく、現場全体を巻き込んだ付加価値の提供ができる点が、建設業者にとっての大きな魅力です。
4. 自社で取る vs 外注する:コスト比較と判断軸
| 比較項目 | 自社で運ぶ | 外注する |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約20万〜50万円(講習・申請・車両等) | 0円 |
| 維持管理 | 更新費用、法定報告義務あり | なし |
| 対応スピード | 即日・当日対応も可能 | 業者のスケジュールに依存 |
| 経費コントロール | 運搬回数が多いほど有利 | 少数なら割安な場合も |
| リスク | 自社管理の責任が重くなる | 委託業者の違法処理に巻き込まれるリスクも |
たとえば「年間20件以上現場がある」「現場の規模が大きく廃棄物が多い」などの場合は、自社で運搬する方が長期的にみて得です。
逆に、「年に数回程度」「自社に人手やトラックが足りない」場合は外注を選ぶのが現実的でしょう。
5. 許可取得に必要な手続きと準備
◉ 必須ステップ
- 講習会の受講(約2日間)
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)主催。
※費用:約4万円前後/修了証は5年間有効。 - 申請書の作成と提出
管轄の都道府県に提出。法人の場合、定款・登記事項証明書・役員の履歴書・経理的基礎など多数の添付書類が必要。 - 車両確保と表示義務の履行
・「産業廃棄物収集運搬車両」の表示
・許可番号や会社名を車体に明記 - 契約書の整備
排出事業者と自社、あるいは中間処理業者との契約書を備え付ける必要があります。
6. 取得後の注意点と義務
- 許可は5年ごとの更新制:
講習の再受講+申請が必要。更新忘れは「無許可営業」扱いとなり重い処分を受けます。 - マニフェスト管理:
紙または電子での管理票の交付・保存が義務。違反すると30万円以下の罰金等の行政処分もあり。 - 変更届・廃止届の提出:
役員の変更や所在地移転、トラックの買い替えなどがあった場合、定められた期間内に届出が必要です。
7. まとめ:自社運搬のメリットはコストだけじゃない
建設業者が産業廃棄物収集運搬業の許可を取得することで、単なるコスト削減にとどまらず、
- 現場の段取り力の向上
- 発注者からの信頼獲得
- 他社との差別化
といった、中長期的な経営の武器になります。もちろん、取得には費用と管理負担がかかるため、自社の実情に照らして総合的に判断することが大切です。
もし迷うようであれば、行政書士などの専門家に相談して、コスト・スケジュール・手続きの全体像を把握してから動き出すのがおすすめです。
許可の取得は、単なる「法令対応」ではなく、建設業経営の新しい地力づくりともいえる選択肢です。
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