高市政権の所信表明演説から読む 中小企業の次の一手
高市早苗氏が首相に就任し、2025年10月24日に国会で所信表明演説を行いました。
この記事では所信表明演説の内容を元に、中小企業への影響と対応策について考察しました。目的は、政治的な評価ではなく「国はこれからどこにお金・人・ルールを入れるのか」を整理し、それが中小企業の現場(原価、単価、人材、資金繰り、信用)にどう響くのかを経営判断のメモとしてまとめることです。
長い話になりがちなテーマですが、章ごとに「この章の要点」を最初に示しますので、必要なところから読んでいただいて大丈夫です。
第1章 強い経済づくりの流れを読み、自社の立ち位置を決める(経済・財政運営)
この章の要点:「国はどこにお金を流そうとしているのか」を知り、自社の強みを国の言葉に言い換えておくことが重要になります。
1. 高市政権の方針
高市政権は「まずは強い経済を作る」と明言しています。
「経済あっての財政」という考え方をもとに、「責任ある積極財政」で戦略的に財政出動を行い、所得を増やし、消費マインドを改善し、企業の収益を押し上げ、その結果として税収も増やしていく好循環を目指すと説明しています。
ただし、無制限のばらまきではありません。政府は、国の借金の増え方を成長率の範囲に抑えること、政府債務の対GDP比を下げることなど、財政の信頼性も同時に示しています。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
政府は「景気回復の果実を国民や事業者が実感できるようにする」と述べています。 これは、地域の中小企業に向けた支援(補助金、交付金、投資促進など)を通じて、需要そのものを作りにいくという意味になります。仕事そのものを国がつくるイメージです。
人の面
「賃上げを企業まかせにしない」との考えが示されています。 人件費が重くなっても、賃上げや設備投資を後押しする仕組みを国側で整えていく、と政府は宣言しています。
信用面
国が「責任ある積極財政」を打ち出している以上、金融機関や自治体は国の重点分野(生産性向上、人手確保、設備投資など)に合う相談には前向きになりやすくなります。
3. 今できる対応策
まず一番大事なこととして、国の投資テーマと自社の提供価値がどこで重なるのかをはっきりさせておくことをおすすめします。これは、自社の強みを国策の言葉に言い換える作業です。
例えば「金属加工をしています」ではなく「災害時に止められない設備の重要部品を安定供給できます」という表現にするイメージです。こう言える会社は、銀行・自治体・補助金窓口で話が通りやすくなります。
あわせて「誰に最初の電話を入れるか(銀行・商工会・自治体産業振興課など)」「相談のときにどんな計画書を持っていくか」を社内で共有しておきましょう。
例えば従業員30人の製造業なら、「新しいラインを入れたい」「雇用を守りたい」という話を、商工会や会計事務所、自治体の産業振興課にまず投げるだけで、実際に使える交付メニューを教えてもらえることがあります。
第2章 コスト高と賃上げの波に備える(物価・エネルギー・賃上げ)
この章の要点:燃料費・電気代・人件費が同時に上がる状況に対し、政府は「現場コストを下げる支援」と「単価を見直す後押し」を同時に進めようとしています。
1. 高市政権の方針
物価高への対応は「この内閣が最優先で取り組むこと」とされています。 主な内容は次のとおりです。
- ガソリン税などの暫定税率について、今の国会での廃止法案成立を目指すこと。軽油引取税の暫定税率も早期廃止を目指すこと。廃止までの間は補助金で価格を抑えること。
- 冬の電気・ガス料金について、寒い時期の負担を下げる支援を行うこと。
- 赤字が深刻な医療機関・介護施設には、報酬改定を待たずに補助金で経営と従業員の処遇を前倒しで支えること。
- 国や自治体から民間への請負契約単価を、物価上昇を踏まえて見直すこと。
- 「賃上げは必要だが、企業だけに押しつけない。継続的に賃上げできる環境を整えるのが政府の役割」という立場を明言していること。
ここでいう「物価高」とは、仕入れや燃料、電気代など、会社の出ていくお金が全体的に上がっている状態のことです。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
燃料・エネルギーコストの支援や、公共側の請負単価の見直しは、見積の根拠を示しやすくする材料になります。建設、運送、設備保守など、燃料費の影響が大きい業種にはすぐ効きます。
人の面
「賃上げを企業任せにしない」という姿勢が示されましたので、賃上げは避けられない流れである一方、処遇改善に対する補助や制度的な後押しを前提に話ができます。 従業員の待遇改善は「会社だけが抱えるコスト」という考え方ではなくなっていきます。
信用面
国が「請負契約単価の見直し」を明言したことで、値上げ交渉は感情論ではなく「公的にも単価見直しは必要」という筋で話しやすくなります。
3. 今できる対応策
価格交渉や見積書の裏付けに使えるように、次のメモを残しておきましょう。
- 燃料代・電気代・外注費・人件費が、いつからどれくらい上がったのか
- どの取引先に、どんな根拠資料を提示したのか
- 相手の反応はどうだったのか
この記録は「単価の妥当性」を示す証拠になりますし、自治体や元請との話し合いで強い武器になります。
「従業員30人の製造業」というイメージでいえば、燃料サーチャージや材料費高騰をどのように請求単価に反映したかをメモしておくことが、後から自社を守る証拠になります。
第3章 人が集まる職場をどう作るか(人材・雇用・外国人材)
この章の要点:パート・アルバイトの働き方の枠が広がる方向と、外国人材の受け入れ管理が厳格化・透明化される方向の両方に備えることが大切です。
1. 高市政権の方針
いわゆる「103万円の壁」について、今年の年末調整では160万円まで対応するという方針が示されています。
「103万円の壁」とは、パート・アルバイトの方が「扶養から外れたくないので、年収を103万円程度にわざと抑える」という働き方のことです。この見直しで、もっと働きたい人がもう少し長く働きやすくなります。
また、基礎控除を物価に合わせてさらに引き上げる税制も検討するとされています。 物価が上がっても「働き損」になりにくい形を整えたいという考え方です。
さらに、外国人材については「人口減少で必要な分野はある」と認めつつ、一部の不正行為やルール逸脱に不安がある現状に言及し、政府は司令塔機能を強化し、新しい担当大臣も置いたと説明しています。 これは今後、外国人材の受け入れ側の企業にもルール順守と説明責任を強く求めるという方針になります。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
シフトを「扶養の線」で無理やり抑えていたパート・アルバイトの方が、もう少し長く入れるようになると、既存メンバーだけで回せる時間帯が増えます。残業や突発派遣に頼る機会が減れば、コストの安定につながります。
人の面
「もっと入れますよ」という既存スタッフの時間数を伸ばせれば、新規採用や教育のコストを下げられます。これは、中小企業にとって非常に大きな差になります。
一方、外国人材は「必要だから受け入れる」から「必要だから受け入れるが、ルールは厳格で透明」という流れになります。 特定技能制度・技能実習制度などの運用が、より明文化されたルールと、見える形の記録・報告を前提にしていく方向です。ここでは、労働条件の説明、教育計画、生活サポートの提供状況、監督機関や監理団体向けの報告書類などを会社側でちゃんと残しておくことが、今後は評価の対象になりやすくなります。
信用面
外国人材の労務管理や教育記録を整えておく会社は、行政や元請から「安心して任せられる」と見なされます。これは採用だけでなく、取引にも影響する信用になります。
3. 今できる対応策
次のようなルールや紙の整備は、面接・求人・監督機関対応のどれにも効きます。
- 賃金テーブル(どの仕事・どの責任レベルでいくらなのか)
- 週何時間から社会保険加入になるのかなど、シフトと社会保険の考え方
- 外国人材を受け入れる場合の教育手順・生活サポート・相談窓口の決め方
- 外国人材に対して説明した内容や教育内容の記録(いつ・誰が・何を教えたか)
これらを明文化しておくと、ハローワークや派遣会社とのやり取りでも「安心して働ける会社です」と伝えられるようになります。結果的に、辞めにくい職場になります。
第4章 お金の詰まりを防ぐ(資金繰り・交付金・手取り)
この章の要点:資金が苦しくなってから探すのではなく、「どこに相談すれば動けるのか」を先に決めておくことが大切です。
1. 高市政権の方針
高市政権は、物価高への対応、米国の関税措置で影響を受ける事業者への資金繰り支援、そして赤字が深刻な医療・介護現場への処遇改善などを柱とした「経済対策」を取りまとめ、必要な補正予算を国会に提出すると述べています。
このなかで使われるお金のひとつが「重点支援地方交付金」です。これは、もともと原油価格・物価高騰等への対応として各自治体に配分されてきた交付金の流れを引き継ぎ、自治体が地域の実情に合わせて、生活者や中小企業・小規模事業者の負担(燃料費・電気代など)を直接下げるために使える枠です。
高市政権はこれを拡充し、賃上げ税制を十分に使えない中小企業・小規模事業者や農林水産業まで届くようにする方針です。
また、税や社会保険料の負担で苦しい中・低所得層の手取りを底上げするために、給付付き税額控除(一定の所得の人に税の控除や現金支援をセットで行い、手取りを増やす仕組み)の制度設計に早期に着手するとしています。
さらに、中小企業には、米国の関税措置の影響に対して資金繰り支援を用意するとも表明されています。海外リスクを「自己責任」で切り捨てないという方向性です。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
重点支援地方交付金は、自治体が「燃料費や電気・ガス料金の負担が重い」という現場の声に応じて、事業者の負担を直接下げることができる枠です。 地域によっては、エネルギー費用の一部を助成するような形で使われます。
人の面
従業員の手取りを底上げする方向(給付付き税額控除など)が示されていますので、「今すぐ大きく賃上げできない」という会社でも、従業員の生活を守る選択肢が増える流れです。 これは人材の定着にも関わります。
信用面
「資金繰りが厳しくなってから慌てて電話する会社」と「相談先と制度をあらかじめ押さえている会社」では、銀行や自治体の見る目が変わります。準備している会社は、経営の安定性が高いと評価されやすいです。
3. 今できる対応策
次の3点を紙1枚にまとめておきましょう。
- 急にお金が詰まったときに最初に電話する相手(メインバンク担当、信用保証協会、商工会議所、市役所の産業振興課など)の連絡先
- どの売上が止まると一気にキャッシュが詰まるのか(特定の取引先や輸出の割合など)のメモ
- 海外依存、とくにアメリカ向け売上の比率
このメモがあると、交付金や資金繰り支援の相談がスムーズになります。「会計事務所や商工会に最初に連絡する」「自治体の産業振興課に交付金の使い道を聞く」という動き方を、社内で共有しておきましょう。
従業員30人の製造業という前提でいえば、「売上のうち30%が米国向け」「ガス代が2割上がっている」といったメモを1ページにまとめておくだけで、支援対象かどうかの判断が早くなります。
第5章 国の重点分野に食い込む(危機管理投資・防衛・半導体など)
この章の要点:「危機管理投資」という名目で、エネルギー・医療・半導体・防衛など“止められない分野”に国が集中的にお金と人を入れていきます。ここに部品や維持管理で入れる会社には新規案件のチャンスがあります。
1. 高市政権の方針
高市政権は、今後の成長戦略の中心として「危機管理投資」という言葉を使っています。
これは、日本にとって止まったら困る分野(経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康・医療の安全保障、国土強靱化など)に対して、官民で先回りして投資し、産業と雇用をつくるという考え方です。
対象は、AI・半導体・量子・バイオ・造船・航空宇宙・サイバーセキュリティといった戦略分野です。政府は、投資促進、人材育成、研究開発支援、スタートアップ支援、国際展開支援、国際標準化などを総合的に行うとしています。
さらに、防衛力については、防衛費の対GDP比2%水準を今年度中に確保し、防衛生産・技術基盤の強化や自衛官の処遇改善に取り組むと述べています。
これは単に防衛費が増えるという話ではなく、装備・部材・保守・補給・修理といった安全保障分野のサプライチェーンに国内企業を入れるチャンスを広げるという意味を含んでいます。中小企業が防衛関連の部品やメンテナンスに参入しやすくなる方向性が示されたと言えます。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
国が「守りたい・伸ばしたい」と名指しした分野(半導体、エネルギー、医療、防災、防衛など)のサプライチェーンに入る企業は、発注の入口が増える可能性があります。サプライチェーンとは、部品、加工、組立、運搬、保守、修理などの流れ全体のことです。
人の面
AI、半導体、防災インフラ、防衛装備などでは、技術や品質管理の経験そのものが価値になります。こういう現場に対応できる人材を持つ会社は、人件費をきちんと価格に乗せやすくなります。
信用面
「うちは国の危機管理投資(安全保障・国土強靱化)に関わる工程を担当しています」という説明は、銀行・自治体・元請に対して非常に強い信用になります。 これは補助金、マッチング、融資などでも有利に働きやすいです。
3. 今できる対応策
自社のサービスや技術を、国の重点テーマの言葉に置き換えて説明できるようにしておきましょう。
例えば「配管工事です」ではなく「災害時に止められないインフラ設備の維持管理ができます」、「検査をしています」ではなく「防災設備・医療設備・半導体設備・防衛装備の品質保証体制を支えられます」という言い方です。
もう一歩踏み込むなら、取引先のさらに先(取引先の取引先)が、防災・エネルギー・医療・半導体・防衛のどこに関わっているのかを洗い出しておきましょう。ここが営業の入口です。自治体や省庁が行うサプライヤー募集や試作支援、公募情報は、官公需の電子調達サイトや自治体の産業振興ページで公開されることが多いので、定期的に目を通せる体制を作っておくと動きやすくなります。
従業員30人規模の精密部品加工業という前提なら、「うちは防災設備のバルブ部品を安定して供給できます」と言えるだけで、話を聞いてもらえる場面が増える可能性があります。
第6章 地域の成長ストーリーに乗りに行く(地域未来戦略・産業クラスター)
この章の要点:国は「地方に大型投資を呼び、そこを起点に仕事を広げる」というモデルを全国展開したいとしています。地元企業にとっては、建設・保守・物流・生活サービスまで一気にチャンスになる流れです。
1. 高市政権の方針
熊本県ではTSMC、北海道ではラピダスというように、国が前に出た支援の結果として大型投資が立地し、その周辺で関連投資と経済効果が広がっていると説明されています。
政権は、このモデルを全国で再現する考えを「地域未来戦略」として示しています。
具体的には、地域ごとに産業クラスター(産業のかたまり)を戦略的に形成し、インフラ整備と投資促進策を一体で行い、中堅企業の広域展開を後押しする方針です。 また、二地域居住など人の流れも含めて地方の活力を取り戻すこと、若い世代が地方に住み続けられるよう教育・行政サービス・税源の仕組みも見直すとしています。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
半導体工場そのものだけでなく、建設、設備工事、保守点検、物流、宿泊、飲食、教育、医療など、周辺サービスまで仕事が一気に増える可能性があります。「最先端ではない業種だから関係ない」とは言い切れない構造です。
人の面
「地方でも働ける・暮らせる」状態を政策として作ろうとしています。 採用と生活基盤(住まい・教育・医療)をセットで考えることが前提になります。
信用面
「この地域はどんな産業クラスターを狙っているのか」という情報は、これから営業の基本情報になります。自治体と対話できている会社は、企業誘致や補助、マッチングの場に呼ばれやすくなります。
3. 今できる対応策
市役所や県庁の企業立地・産業振興の担当に「この地域はどの産業を呼び込みたいのですか?」と聞くことは、すでに営業活動になります。そこで、誘致企業とのマッチング会や、設備投資への補助スキームの情報がそのまま出てくることもあります。
「本社はそのままでも、一部ラインだけ別地域に置く」という複数拠点の考え方は、今後の支援対象になりやすいです。 この場合も、公募情報や補助メニューは官公需の電子調達サイトや自治体の企業誘致ページで公開されることが多いので、定期的に確認できる体制を社内で決めておきましょう。
第7章 災害に強い会社として選ばれる(防災・国土強靱化・BCP)
この章の要点:防災は、これからコストではなく「取引先から選ばれる条件」になります。BCPは社内用だけでなく、営業資料になります。
1. 高市政権の方針
日本は南海トラフ地震・首都直下地震などのリスクがあるため、事前防災と復旧・復興は国として最優先課題だと位置づけられました。
政府は来年度の「防災庁」設立に向け準備を加速し、国と自治体でリスクを総点検し、デジタル技術やドローンも活用しながら老朽インフラの保全・予防保全を徹底すると述べています。
また、首都機能のバックアップ・分散、多極分散型の経済圏づくりの考え方も示されています。 さらに、能登半島地震のような被災地については、インフラ復旧だけでなく生業や伝統産業の復興まで国が関わる姿勢を明確にしています。
2. 中小企業への影響
売上・コスト面
インフラ点検・補修・保全、防災関連の工事、設備管理など、災害対策関連の仕事は全国的に継続的に発生します。建設・土木・設備・点検・測量・保守・ICT支援など、多くの業種に受注チャンスが波及します。
人の面
災害時に夜間対応できるか、現場にすぐ入れるかといった人的な対応力そのものが評価されます。そうした体制を持つ会社は、自治体や大手から「頼れる会社」と見なされます。
信用面
これからは「災害が起きても最低限は止まらない会社か」という視点が、入札や取引条件に入っていく可能性があります。
これは事業継続計画(BCP)の話です。BCPとは、災害などが起きても会社を止めずに動かすための準備計画のことです。BCPを外部に示せる会社は、取引先から選ばれやすくなります。
3. 今できる対応策
最低限でも、次のことを書面にしておきましょう。
- 非常時の連絡先と連絡手順
- 代替拠点(どこなら一時的に業務を続けられるのか)
- どの業務が何日止まると致命的なのか
これは社内の備えであるだけでなく、元請・自治体・金融機関に対する「うちは止まりにくい会社です」という営業資料になります。
BCPは、これから「名刺の裏よりも大事な名刺代わり」になる可能性があります。入札や官公需の場面では特にそうです。
第8章 次の一手を今日まとめる(経営者チェックリスト)
この章の要点:ここからは、社長の手元に置いておけるチェックリストです。1ページで整理しておくと、いざというときにすぐ動けます。
コスト上昇と単価交渉の記録はありますか
燃料・電気・外注・人件費がいつからどれくらい上がったのか、その根拠をどの取引先にどう示したのかを簡単に残しておきましょう。国は「物価上昇を踏まえて請負契約単価を見直す」と明言していますので、記録がある会社は交渉で不利になりにくくなります。
人のルールは次の時代仕様になっていますか
103万円の壁の扱い(年末調整で160万円までの対応方針)、基礎控除の引き上げ検討、外国人材の受け入れ・管理ルールの厳格化と司令塔機能の強化など、働く側の条件はすでに動き始めています。
就業規則・雇用契約書・勤怠管理のやり方が、採用と定着に耐える内容になっているかを確認しておきましょう。教育記録や外国人材への説明記録も残せるようにしておきましょう。
資金繰りと交付金の「最初に電話する先」は決まっていますか。
メインバンク、信用保証協会、商工会議所、会計事務所、市役所の産業振興課。この順番と電話番号を紙で用意しておくと、資金繰りが苦しい場面でも一気に動けます。
重点支援地方交付金(原油価格・物価高騰等への対応を目的に自治体が使える枠)などはスピード勝負になりやすいので、窓口に名前を通しておくことは意味があります。
自社は「危機管理投資」の輪のどこに入れますか
AI、半導体、エネルギー、医療、防災、国土強靱化、防衛。どの課題に自社が役立つのかを一言で言えるようにしておきましょう。
これは補助金、マッチング、融資のすべてで効きます。官公需の電子調達サイトや自治体の産業振興ページで、関連する募集やマッチング会の情報が出ることがあります。
BCP(事業継続計画)は営業資料として見せられますか。
「災害が起きても最低限ここまでは動けます」という計画は、社内の備えであると同時に、取引先への安心材料になります。
これからは、BCPを持っている会社が入札で優先される場面も増える可能性があります。
最後に
資金繰り・人材・補助金・防災は、社長お一人で抱えるには重いテーマです。早めに外の専門家や支援窓口(会計事務所、商工会、行政の産業支援担当など)とつながっておくことも、立派な経営判断です。
まずは1ページの「自社の現状整理シート」を作っておきましょう。どこに相談するか、どのコストが上がっているか、どの分野で国策に関わり得るか、BCPはあるか。この4点だけで十分です。そこから先は、必要になったときいつでも動けます。ここまで読み進めてくださった時点で、もう半分以上は準備できています。

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